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感想・レビュー・書評
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本屋では良く目にする名前、ドリアン助川。真面目な小説らしいけど、どうも名前のせいで手が出なかったのですが、先日ネッ友(死語?)さんが褒めているのを見て読んでみることにしました。
ハンセン病を扱った話です。
主要登場人物が皆、世間の波に踏み留まろうとして叶わず、それでもなお何とかしようと苦闘します。でも暗澹としているだけでなく、どこか柔らかな眼差しがあります。自らの運命を悲嘆するだけでなく、そこに他者を思う心があるからでしょう。
私が子供の頃に「ハンセン病は伝染力は極めて低く、完治可能な病気である」事は教えられてきました。それでもなお続く偏見。主人公の仙太郎もアン作りの名人・徳江さんが元ハンセン病患者と知り、頭では理解していても一瞬の怯みを見せます。私はどうでしょう?
多分、大丈夫だと思うのですが、大丈夫と言い切れない事が問題なのでしょうね。。。
色々考えさせられる良い話でした。
そういう意味で(小説の出来だけでなく)で★5つです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
one of my バイブル
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いままで、自分がどれだけ恵まれた環境にいたのか気づかされた。
どんなに今の仕事が忙しくても、それが一生続くわけではないんだよなぁ…と。 -
千太郎は、出所してから、借金を返すためにどら焼き屋の雇われ店長をしている。そこに、あんこ作りが得意な老人、徳江が働きたいと言ってくる。徳江があんこを作り始めてから店は繁盛するが、それも長くは続かなかった。徳江の生き方に触れ千太郎が変わっていく。
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ーー時給は300円でいい
どら焼き屋の亭主、千太郎の前に現れた
不思議な指の形のお婆さん
ーーあんを作らせてほしい
彼女のあんは極上
自分のどら焼きは食べない千太郎も平らげた
ーー小豆の声を聞いて 耳を澄ませて
彼女との出会いが千太郎の心に変化をもたらす -
ドリアン助川さんの老子シリーズを読んでおいて良かった