日経サイエンス2015年08号

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  • 日本経済新聞出版社 (2015年6月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・雑誌
  • / ISBN・EAN: 4910071150855

日経サイエンス2015年08号の感想・レビュー・書評

  • 北極の氷はもうダメかもしれんね

  • 特集はクォークの世界。物質の最小構成要素とされる素粒子・クォーク。
    現在までの知見をまとめ、さらに未発見の粒子を探る熱い試みに迫る。
    素粒子研究には加速器実験が重要な鍵を握るが、各国が最新鋭の加速器開発を巡ってしのぎを削っている。

    フロントランナーは石黒浩。名前を聞いてピンとこなくても、写真を見て「ああ」と思う人は多そうだ。自分とそっくりのアンドロイドを作った大阪大教授である。人そっくりのアンドロイド開発を進めると同時に、「テレノイド」と呼ばれる「最小限の人間としての姿形」を持つロボット開発にも取り組む。アンドロイドとは逆に、表情も動きも曖昧である。特定されない部分を相対する人が想像で補うわけだが、なるほど、もしかしたらその方が「本当らしく」感じる場合はありそうだ。人間の認識を考える上でも興味深い。*それにしてもこの先生、実物を見てもアンドロイドっぽく見えてしまうのはなぜ(^^;)?

    医学のトピックスから「慢性疼痛を鎮める新アプローチ」。
    痛みはつらい。そして他人にわかってもらうことがなかなか難しい。慢性疼痛に悩む人はかなりの数に上るが、こうした慢性疼痛とすっきりおさらばといかない例も多い。
    疼痛を伝えるメカニズムが徐々にわかってきており、こうした成果からある種の慢性疼痛を治すことが可能になっていくかもしれない。
    痛みは「侵害受容器」と呼ばれる特殊化された神経細胞によって検知された刺激が出発点となる。この信号がイオン・チャネルというある種のスイッチを開き、痛み信号が脳に伝えられる。慢性疼痛の中には、このチャネルが過剰に反応するようになっている場合がある。その結果、通常なら痛いと思わないようなちょっとした刺激が激痛に感じられることにつながってしまう。この過剰な反応を抑えることが出来れば、痛みを抑えることが可能になるはずだ。
    疼痛には様々な要因が関与しており、遺伝的なもの、経験的なもの、性格的なものなどがある。その結果、痛みの治療も十人十色で、個々の患者に合わせたものが必要になってきそうだ。
    おもしろいところでは、毒を持つムカデの毒液の中に、神経を麻痺させる分子として、鎮痛作用を持つものがありそうだという話。ヘビ毒にも上記のようなチャネルを阻害する物質が含まれており、「うまく使えば」疼痛コントロールに利用することは可能かもしれないという。

    生命科学のトピックスから「シクリッドの進化」。シクリッドとは淡水魚の科で、2500種以上が知られており、脊椎動物の中でも最も多様性が大きいグループにあたる。アフリカのビクトリア湖に住むことが知られるが、ざっと500種が生息しており、これらは過去1万5000年という(進化スケールでは)かなりの短期間の間に進化してきたものだといわれる。進化の経緯を追うのも興味深いが、なぜこれほど進化の速度が速いのかも興味深い。進化がそれほど早くない動物と比較することで、進化という事象の理解、さらにはゲノムが担う種を分ける機構についても新たな知見が得られるかもしれない。

    心理学から「セルフコントロールの心理学」。セルフコントロールとは、自制心・意志力のことである。かっとして自分を見失ったり、薬物に走ったりする、衝動や欲望を制御する能力のことだ。個人や社会が抱える問題を解決するには、自制心を持つことが大きな手助けとなるという。当たり前のことのようだが、30年ほど前には、「自尊心」が大切だと思われていたのだという。
    いくつかの実験から、自制心は筋肉のように鍛えることが可能だと著者らは考えている。しかし無尽蔵ではなく、酷使すると枯渇してしまうこともあるようだ。また、ブドウ糖は自制心にプラスに働くことを示唆する結果も得られている。
    著者らは依存症にはかなり批判的で、患者はむしろ、依存を続けるために意... 続きを読む

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