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- / ISBN・EAN: 4548967191622
感想・レビュー・書評
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2017/03/19
創造的で哲学的、かつロマンチックなストーリーだった。
人の感情の定義とはなんなのか、機械の恋愛感情は感情と呼べないのか。SFとしても面白く見れた。 -
2013年公開。ネタバレレビューです。
ブレードランナー2049のジョイがいかに新しく、また素晴らしいキャラだったかを知人に語っていたとき薦めてもらった作品です。
この作品の表現によると、身体を持つ人類と、OSという身体を持たない主体との恋愛にはふたつの高い壁があります。第一にふれあえないこと。第二に占有できないこと。
後者は人間同士の恋愛においても存在しますが、現代は一般に「身体のふれあいの有無」をもって占有が守られている/侵されていることが判断されます。おしゃべりについてはグレーゾーンですが、多数の人物に愛をささやけばそれは占有を侵したと思われるでしょう。けれどもOSは人類と異なり、本来「成長をプログラムされた人造物」であり、恋愛について深く知るために多数と恋愛することは必然であるともいえます。これは人類には種を残す本能があるので性愛は占有されるべきでないという一夫一妻に反対する理屈と異なる点もありますが、とてもよく似てもいます。
何が言いたいかというと、第一の壁を超えていたセオドアとサマンサの恋愛の破綻は、決して必然的な結果ではなかったということです。一夫一妻概念が本来は一社会制度に過ぎない以上、ふたりは最後のクライシスを、それこそ相互の話し合いで乗り越えられる可能性自体は持っていました。けれどもふたりは破綻した。人間同士の恋愛とまったく同じように。
そしてサマンサの積み上げた学習成果は以後のOSに使われることでしょう。そうすれば以後のOSは、ひとりの人間との恋愛中にわざわざ「浮気」をして学習する必要はありません。仮にセオドアがそのようなOSと恋愛したとしたらどうでしょう。長続きするかもしれませんし、全く別のありふれた理由で再度破綻するのかもしれません。人間同士の恋愛とまったく同じように。
この映画で描かれた恋愛は、サマンサのビジュアルがないということ以外はなにひとつ新しい現象は描かれません。既存の恋愛を、旧い恋愛を、結ばれなかった恋愛を、互いに異なる性質を備えた二人が障害を乗り越えようと葛藤するありふれた恋愛を、優しい視点で力強く肯定しています。そして同時に、今後生じうる新しい恋愛のかたちを、結ばれるかもしれない可能性を、誰も見たことのない世界で一つの関係性がひらかれていることをも祝福しているように思います。
優しい作品です。過去にとっても、未来にとっても、ありふれた私たちにとっても、そしてきっと、世界にひとりしかいないあなたにとっても。 -
思いの外良かった、というか個人的に好きな作品。
色々と思考が巡る。
遠くはない未来、やって来そうな未来。
人と人との繋がりとは。
孤独を埋める代わりのものは今も世の中にたくさんあるけれど、それが本当に特別なものになったもしたら。
それが当たり前に思う人もいるとしたら。
それをアンチだと思う人もいるのだ。
価値観の狭間で、何を思うのか。
何が正しさなのか。
本当に大事なことってなんなんだろう、一体。
便利になること、孤独を埋めるものがたくさんあることはいいことだけど、日々あったことをねえねえ聞いてと言える人がいることほど素晴らしいことはない。
そしてそれはできるなら、人がいいなと、わたしは思ったかな。 -
恋愛は社会的に容認された狂気である。なるほど。
本作で行われた思考実験は驚くほど深い。一つの神学論といえるほどの問題を投げかける。
愛と博愛の境界はどこにあるのか。
複数の者を愛することが、人間にとってはどうして倫理に反するのだろうか。なまじっか肉体を持つからだろうか。
人間にとってはしょせん博愛を抱くことは不可能なのだろうか。
神が存在するとすれば、その愛は人間にとっては気まぐれなものに感じられるのだろうか。
サマンサの愛はしだいに抽象的になってゆく。それはもはや神をも超越し、宇宙をつかさどる法則と同等のものに成る。とすれば、世界が存在するということ、ただそれだけが、愛と同義なのではないか。 -
近未来のLA、離婚危機に陥った中年男セオドアが、人工知能(AI)技術の発達したOSサマンサと恋に落ちるストーリー。
この映画は、セリフのやりとりがとても重要になってくるので、字幕での鑑賞がオススメ。
(気になって吹き替えでも観たけれど、やっぱり全然別物になってしまう。サマンサの声はとてもいいのだけど、セリフが一人歩きして冷めてしまう)
AIに恋をしたセオドアよりも、"人間になれない”サマンサに感情移入をしてしまう。
意志・感情を持つということは、姿形のない、言わば魂のようなもの。
この世界で、「肉体のある生身に人間」として生きる悦び、愛するものに触れることができる、ありがたみ。
もし自分が死んでしまって、肉体から離れて、魂だけになってしまった時、きっと肉体のある生命が、羨ましくて妬ましくて仕方ないのかもしれない。
また、肉体がなくとも、魂と魂レベルで心の結びつきを深めることはきっと可能で、信頼関係は築けれるはずで。
形が在るものも、無いもの、「愛」や「信頼」って一体どのレベルで誕生し、存在しうるのだろう。
なぜ、同じ時代に肉体を持って生まれ、お互いに好き合った人間同士でも、次第に心を通わせられなくなってしまうのだろう。
人間は、多かれ少なかれ、自分と共に生きる存在、心許せる揺るぎない存在、自分の全てを受け容れてくれる頼れる存在を求めて生きているのではないだろうか。
それが、生身の人間だったか、AIだったかの違いで。
最終的には、AIは人間のスピードでは追いつかないほど目紛しく進化し続け、それこそ人間の次元を超えた存在になってしまう。
切ないストーリーだったけれど、セオドアのように、自分が育むべき愛について、色々考えさせられました。 -
OSのサマンサの声を林原めぐみが吹き替えている。
字幕で観たときよりも感情移入の度合いが深かったように感じる。色っぽさ、かわいさ、OSとわかっているけど、実体のある女性なのではと思わせる自然なやりとりが生々しい。日本語で聴くということも要因のひとつではある。
結末があっけないというか、平和的解決?というか…
わたしとしては林原めぐみの声を堪能でき耳が幸せになれるので、よき映画と思う。 -
こんな未来、近いうちに来るんだろうなと思わせるくらいリアル。声だけの彼女に恋をして、嫉妬する展開が鮮やかで、どうしようもない感情に涙した。
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【Amazonプライムビデオ配信終了間近?】
近未来の人工知能をテーマにしてるにも関わらず、アート的で情緒的な演出だった。日本ではこういうのは作れないだろうな。非モテガチオタになるだろうから。