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【チームの力 -構成構成主義による"新"組織論】西條剛央著、筑摩書房、2015年
著者の西條さんは東日本大震災の直後に立ち上がり、後に日本最大の総合支援組織となった「ふんばろう東日本プロジェクト」の代表を務められている。同じく復興支援活動に携わったので、一度、お打ち合わせをさせていただいたこともあり、高い成果を挙げられた活動に頭が下がる思いをするとともに、あの時代のことが懐かしく頭をよぎる。あぁ、そういうことがあったなぁとか、そういう風にはできなかった、とか。
最後まで読んで、感想を書こうと思って改めて序章や気になった箇所を読み直してみて、最初に思ったのは「組織とチームとは何が違うのか?」ということだった。
組織は所属することに安心感がある
→継続性が大切
→部分最適になりやすい
→静的、受動的。
→組織は、目標を実現するために「何かを守る」
チームは目的を達成するため
→目標達成が大切
→全体最適を求める
→動的、能動的。
→チームは、目標を実現するために「何かをする」
そうしたら、まさに、「あとがき」でも著者が同じことを書いていた。。。
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チームと組織とは何が違うのだろう。本書を書き超えて去来したのはその問いだった。
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それ以降、著者がまとめていることを読みながら、自分が新陽高校でやってきたことは、・組織のチーム化だったように思った。
着任前の新陽高校もそうだったように、一般的には学校というものが超がつく「組織」であり、段々と「なんのためにやっているのか」の目的を失って、手段そのものが目的化しているように思うが、一度、「目的志向」になると学校とはパフォーマンスの高い集団になると肌身で感じている。
そう考えると、東北の復興支援の活動は、僕はできたことよりもできなかったことの方が多かったのだが、そこでの七転八倒がその後の新陽高校の復興活動に活きてきたのかもしれない、と久方ぶりに、高校運営の前と後を振り返ることができた。
あり方そのものを問い直す時代にはいっただけに、著者の説明する「構造構成主義」をしっかりと学んでみたい。
あと、チクセントミハイの「フロー」についての記載を久方ぶりに読んでちょっと「おっ!」となったので、ここに転記しておく。
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「フロー」とは、M・チクセントミハイ(1934ー)という心理学者が提唱したもので、「最適経験」ともいわれる。「一つの活動に深く没入しているので他の何ものも問題とならなくなる状態」や、「その経験それ自体が非常に楽しいので、純粋にそれをするということのために多くの時間や労力を費やすような状態」を指す(M・チクセントミハイ著「フロー体験 ー喜びの現象学」世界思想社)
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まさに「フロー」の種を学校生活で各人が植えることができたらいいなぁ、という打ち合わせをしたばかりだったので印象に残った。
#優読書