文學界 2015年 09 月号 [雑誌]

制作 : 文藝春秋 
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  • / ISBN・EAN: 4910077070959

感想・レビュー・書評

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  • 読む物が手元になくなったので
    買い置いてた文學界を読了。
    又吉さん、羽田さんの受賞後第1作も
    おもしろかったですが
    木村紅美さんの「八月の息子」が
    読みごたえありました。

  • 「小説が好き過ぎて書けません」

    新芥川賞受賞作家特集では、受賞後初作品として羽田圭介、又吉直樹の最新原稿掲載。
    羽田圭介の芥川賞受賞パロディ小説も、又吉の芥川龍之介に宛てた手紙と称するエッセイもおもしろかった。
    また、それぞれの作家対談も読み応えがあった。
    島田雅彦がおもしろいことを言っていたので引用する。

    ーーーユーモアに不可欠なのは自己批評。ーーー

    ーーーピタゴラスイッチみたいにいろんなメカニズムをわざわざ通して、迂遠と遅滞を経て辿り着かせる。その工夫に成果があるし、読む側は、その迂回をさせられたことに対する驚きや意外性に感動する。ーーー

    それぞれ両名に思い入れのある作家論が寄稿されていたが、杉田俊介というかたの羽田論は小説のラストを完全公開するなど内容に深く入り込みすぎる文面が事前注意なくあり、未読の作品に関しては完全なるネタバレであった。読んだことを少し後悔した。。。

    戦後70年特集に、寄せれらていた文章の中から引用。

    ーーー被爆者だけでなく戦争や事件、事故などの被害者という存在には、わたしたちははじめは関心を向け、同情を感じて寄り添いはしても、しばらくしたらなんとはなしに疎ましくなってくる。数年も過ぎたら彼らに無関心になり、七十年も過ぎたら「まだやっているのか」とつぶやくのだ。ーーー

    あけすけない、でもある側面でまぎれもなく事実である文章だとおもった。
    みんな死ねばいい、という言葉は、戦争経験者でないと語ることのできない言葉だとも。

    『無声抄』 諏訪哲史
    小説が書けない、ということですら、小説はかけるのだ。書けないことなんて、この世にないようにおもう。

    『八月の息子』 木村紅美
    奇妙でおもしろく、引き込まれた。
    ただの恋愛でも再会でも終わらず、ちょっとしたサスペンス感がたまらなくスリリングだった。

    巻末の文學会図書館で東直子が紹介していた『悪声』いしいしんじ、読みたくなった。

  • 中森明夫の又吉評がよかった。
    松本人志の「遺書」が熱狂的ファンの間のバイブルになったのと対照的に又吉の「火花」が文学に敗北し、そこに文学の力があること。そして、それはひとえに又吉の文学に対する尊敬と愛情の現れである。

    「お笑いの魂を文学にぶつけること。」21世紀の文学は、こういう表現の多様性や奥行きを持つ者により更新されて行くということなのだろうか。

     そして、中村文則は、又吉の笑いの持つ暗さこそが、又吉が人を救うことができる芸人である、と述べる。それは、作家中村文則を又吉の文学愛を通して知ることになった私にもよくわかる話だ。

     そして、羽田圭介×島田雅彦のトークも面白い。ユーモアのある人の会話(対談)って飽きないわ。

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