烏に単は似合わない 八咫烏シリーズ (文春文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • お后選びをテーマに、后候補たちの強い思い、宿命が架空世界で交差するファンタジックな小説…

    と思いきや、の一気読み不可避の意外な結末を迎える。是非、読んでお楽しみいただきたい。架空世界を緻密に描いたファンタジックな小説であり、急転、ミステリー小説となり、ファンタジックな世界に唐突に「人間」が生々しくも現れる。作者の描き切るパワーに感嘆した。続編も読みたい。

  • 豪華絢爛な衣装に調度品
    四季折々の草花などの
    美しい描写

    うっとりしながら読んでいると
    まさかの結末に驚愕
    ちょっと置いてけぼりにされる
    感じがしたので
    次巻も読んでみようと思う

  • 見事に騙された。

    儚く心優しい控えめな姫と若君とのラブストーリーなんて
    大好物ではないか、とページをめくる手が止まらず
    一気に読み終えてしまいました。

    しかし再終章で物語は激変。
    思いもよらなかった展開とあせびのサイコパスな本性に
    今まで持っていた気持ちをどう処理すれば良いか
    わからない、複雑な気持ちに。

    でも白珠と一巳が結ばれてよかった。
    なんだかんだ言って若宮と浜木綿もお似合いだし、
    姫君同士の絆(あせび除く)も見れてよかったかも。
    続編も読んでみたいと思います。

  • 評価が分かれる作品、とのことで、少し警戒して先送りにしていたが、図書館で借りて読了(実際は文庫版)。
    多くの方が言いたいこと(物語の前半と後半、最終あたりで、いきなりトーンが変わるなど)の多くは同感で、この作品のみで評価するのは難しい(^^;。
    思うに、前半の舞台の説明の甘さ、受賞では評価されたらしいファンタジー的世界観の構築などには隙があって説明不足であると感じるところが多々あり、途中、早桃が亡くなるあたりが特に(わざとと言えないこともないが)不親切なほどに説明不足があり、面白い要素は多々あるものの、評価できるかどうかは難しいところだった。ただ、作者が20歳の女子大生で処女作であることなどから、読み手(自分)が割り引いて読んでしまうところもあるのではないかと感じている。それも含めて、騙すテクニックとして「松本清張賞」受賞作、ということなのかもしれないが、もし、これがファンタジーの態ではなく、正攻法の現代ミステリーだったとしたら(それでも成り立ちそうな話ではある)、この書き方は「禁じ手」に近いだろう。

    もう一つ、気になったのは、この世界の「階級制度」と下級の者たちに対する差別意識とも言えそうな蔑視の視線だ。烏に変化するのはともかく、その形態で車を引く者たちが「馬」と呼ばれることなどが、なんの感情もなく説明されてしまうあたりに、この物語の根底に弱者(異端?)に対する切り捨ての思想が見え隠れする気がして不快だった。
    ただ、いわゆる主人公のあせびを通して「女性(少女)」たちの生臭いほどの自分に甘い御都合主義の思考を描いたのは見事で、女性にしか書けないだろうな、と思う。
    読みやすさ、物語に引き込む魅力は高く、読み始めたら、あっという間だった。
    おそらく、それだけに、いろいろと思いが強くなって感想が分かれてしまうのかな、とも思った。

    シリーズの1巻目ということで、今回の書き残しは、次巻以降で回収するための伏線である可能性もあるので、あえて「評価なし」にしておく。

    ※落ち着いてから思い返して、あえて評価を☆一つにする(2022年4月)

  • ミスリードに一生懸命になりすぎて、いろいろととっ散らかってしまった印象。

    山神に仕えた三本足の烏(八咫烏)が人に変異する世界の物語。
    兄を押しのけ日嗣の皇子となった若宮の后を選ぶべく集められた東西南北・四家の姫君。
    権力闘争・愛憎入り混じってはいるが、姫君たちの成長物語&皇子様に選ばれるシンデレラストーリー。
    かと思いきや途中からミステリーもどきになっていった。
    衣装は奈良、舞台は平安時代のようなイメージだろうか。
    どうでもいいが、烏と鳥は似ているので、途中で読み分けるのを放棄した。

    主人公がいない。
    東家のあせび視点で物語が進むので、当初はこの子が主人公だと思って読み進めた。
    主人公としてはふわふわとしすぎていて感情移入もできず、おろおろしているうちに物語が進んでいく。ように思っていた。
    世界観の説明役だったのかもしれないが、あまりにももの知らずで后候補にならずとも貴族の娘としてどうなんだろう、嫁に出す気がなかったのだろうか、と思っていた。
    それが侍女の不審な死あたりからおどろおどろしくなり、最後は姫君たちの人物像もひっくりかえるのだが、謎解き探偵役がまさかの若宮。
    それまで存在がほんのりとしか出てこず、行事も全てすっぽかした若宮が突然乗り込んで4人の姫の事情を露わにし「全部わかっている!」と事件の真相を話し出す。
    ちょっと突然すぎてびっくりした。

    視点を変えたら全く違う物語、をやりたかったのかもしれないが、そもそも若宮全然出てこなかったから印象薄いし、そんなに事件が見えていたなら人死には防げただろうし、何よりも若宮がやらなければならなかったのは姫たちとの対話だろう。
    身代わりにした近習にしても、あんな状況で女の園に放り込んだらどうなるのか想像できなかったのだろうか。ちょっと周りの人間を軽く見ているような気がする。
     
    家臣の力を抑え宗家中心にしたいのはわかるが、即位もしていないこの時期に四家を敵にまわすようなことをして大丈夫なのだろうか。
    もっと穏便に姫君たちを脱落させていく方法はあったと思う。妃を誰にするかはとっくの昔に決めていたようだし。

    面白いことは面白いのだが、いろいろと物足りないなぁという印象。
    姫君たちのキャラが変わっていくのはいいとして、侍女たちがうるさいし総じて無礼。

    烏太夫(その場にふさわしくない者)が浜木綿とのことだが、彼女は両親に問題があったとはいえ血筋は確かだ。
    血統を重んじるというならばこの場に一番ふさわしくないのは白珠では。
    あせびも最後のニュアンス的に母が下男と通じた娘だというならやはりふさわしくはないだろう。
    そもそもあせびに懸想していた下男は以前にも勘違いさせられてあせびの姉を襲ったらしい。
    その時点で取り押さえられなかったのだろうか。だとしたらしたたかと言われている東家の当主が間抜けか、あせびに操られているのだろうか。
    あせびの母にしても、彼女と同じ質だというなら下男と子供を作らずさっさと今上帝の側室に収まればよかったのに。

    若宮は白珠を「何もしていないのに想い人が死んでから嘆くな」というようなことを言った。
    しかし白珠は家のために「入内する」ということを選んでいた。一巳に別れも告げた。最後の思い出も作った。何もしていないわけではない。駆け落ちを選ばなかっただけである。
    恋を自覚していなかった13歳位の娘にさっさと駆け落ちすればよかっただろうというのは、あまりにも彼女の事情も感情も無視した身勝手な物言いに思える。
    市井の暮らしを知るらしい若宮ならいざ知らず、庶民は家がなくとも愛があれば鳥の姿で温めあうから大丈夫、なんていうのは深窓の姫君には無謀すぎる。
    何でもお見通しの聡明な若宮ならば、姫たちの情報も登殿してくる前に入手が可能であろう。その時点で白珠たちが困らないように駆け落ちさせてやればよかったのに、と思う。

    若宮の登場が唐突すぎて辛口になってしまったが、本来は「子供の頃に出会った男女が実は高貴な出で、実家が敵対関係にあるが再会して共に国を盛り立てていく」という、萌え要素満載な設定のはずである。
    次巻はこの巻の別視点からの物語だそうのなので、そういったことも期待しつつ読んでみたいと思う。

    また、「目を丸くした」「ぞっとした」というような描写があったが、そいういうのは雰囲気である程度読ませて欲しい。
    じわじわと読者に感じさせる間がなく、直接文字で書かれるとちょっと醒めてしまう。

    その後がどうなるかわからないが、あせびをそのまま里に帰すのだろうか。
    彼女のような、自分は汚れず一定の人物を狂わせる女は毒のようにじわじわと周囲を蝕んでいく。
    いっそのこと今上帝の側室に上がって暗躍し、浜木綿たちと宮廷で争ってほしいものだ。

  • 華やかでありながら闇深い宮廷の政治劇を描いたファンタジーだと、私も思っていました(笑)裏切られたと落胆する人は、この本が「松本清張賞」を受賞したことに想いを馳せるべきでしょう。

    八咫烏が支配する世界において、四つの方角の名前を冠した貴族が次期皇后の座を狙い、それぞれの思惑を持って姫を入台させる。近づいたり離れたり、語りの姫に女房が明かさない秘密があったり。出生の秘密や侵入者が起こした流血事件なども相まって、謎解きなのかな?と思わせる。

    すべてを知っていた若宮(皇太子)が痛快に妃候補の陰謀を暴いていくところの展開がやや早いように感じたが、私の読みが浅いせいかもしれないので星を減らす要素にはいれなかった。

    妃候補に与えられる部屋の位置、宴で姫たちが座った位置まで頭に入れながら注意深く読むべき作品である。

    あせびさぁぁぁん??と叫んでしまうこと請け合いです。

  • ティーンズの夢いっぱいの恋愛小説と思いきや、サイコパスの話。私にはこの展開はちょっと無理があってついていけなかったかな。

  • 小難しい系かなと思ったけど、スラスラ読めた。ファンタジーな大奥という感じ。シリーズものらしいが、一旦離脱。また気が向いたら読もうと思う。

  • ここまでの世界観を構築できる若者とは、続きが楽しみだ

  • 荻原規子さんの勾玉シリーズのようなお話を期待して読んでしまったので個人的にはハマりきれずに終わってしまいました。
    お話としては面白いと思いますが、私の好みではなかったです。

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2023年 『烏は主を選ばない(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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