バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) [DVD]

監督 : アレハンドロ・G・イニャリトゥ 
出演 : マイケル・キートン  ザック・ガリフィアナキス  エドワード・ノートン  エマ・ストーン  ナオミ・ワッツ 
  • 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
3.58
  • (27)
  • (28)
  • (29)
  • (13)
  • (5)
本棚登録 : 234
感想 : 43
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988142105813

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • BIRDMAN OR (THE UNEXPECTED VIRTUE OF IGNORANCE)
    2014年 アメリカ 120分
    監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
    出演:マイケル・キートン/エドワード・ノートン/エマ・ストーン/ナオミ・ワッツ/アンドレア・ライズボロー
    http://www.foxmovies-jp.com/birdman/movies/

    マイケル・キートンといえばティム・バートン版の『バットマン』。私はリターンズまで映画館で見ている世代です。今の若い子にとってはクリスチャン・ベールだろうけど、私の年代だとバットマンはやっぱりこの人。そのマイケル・キートンが、自らの人生のパロディのような、アメコミヒーロー映画『バードマン』で一躍スターとなるも、今は落ちぶれて舞台での再起をかける中年俳優リーガンを演じたのが本作。そんな脚本書いた監督も凄い(酷い?)けど、よくこの役のオファー受けたなあ。でもこの映画のおかげでマイケル・キートン自身も再評価されたわけで、そういう意味でも映画と本人が二重映しになってしまうのも結果オーライ?

    ラストシーンの解釈は正直どう判断すべきか自分にはわからないし、そこだけはちょっと難解といえば難解だけれど、テーマ自体はいたってシンプル。要約するとこれは単純に「愛されたかった男の話」、ただそれだけだと思う。注目されたい、評価されたい、認められたい、愛されたい。映画の中で娘のサムが指摘するようにそれはツイッターやフェイスブックで「いいね」してほしがる若者の自己承認欲求と実は同じ。人間はいくつになっても他人に必要とされていたいし愛されていたい。しかも身近で特定の誰かにではなく、むしろ不特定多数に。それは役者という職業を選ぶ人間にとっては余計に強い願望で、リーガンだけではなく共演女優二人も似たようなことを口にする。

    這い上がろうともがくリーガンの姿は、痛々しく悲愴でありながらもどこかコミカルで、マイクと取っ組み合いになる場面など私はかなり微笑ましかった。真面目に語り合っていた女優二人が突然同性愛的感情に目覚める(?)ところなども(笑)。パンツ一丁でのし歩く場面は、そういえば宝塚の人だったかな、似たようなエピソード(うっかり楽屋口から出たら戻れなくなってしまい、正面ロビーからファンをかきわけて戻ったというような)を聞いたことがあった気がする。意外と舞台俳優あるあるなのかも。パンツ一丁かどうかは別として(笑)

    リーガンの超能力に関しては一種の中2病と解釈しました。タクシーの運転手が無賃乗車で追ってくるくだりで、すべてはリーガンの脳内妄想にすぎなかったことはわかる。かつて映画の中で演じたヒーローのように、現実の自分にも特別な力がある選ばれた人間なのだと彼は思いたかったのかもしれない。けれど映像で見るそれらの妄想現実はとても幻想的で美しかった。リーガンの背後にバードマンが現れて翼を広げるシーンなど、とにかく印象的。あとリーガンの感情に寄り添うかのようなジャズドラムのインパクトも素晴らしい。

    しかしだからといって、ラストの病院での一連のシークエンスまでリーガンの妄想だったとは思いたくないなあ。対象を映さずサムの表情だけで見せるラストシーン、あのとき彼女は確かに飛翔する父親の姿を見たのだと私は信じたい。

    • 淳水堂さん
      yamaitsuさんこんにちは。
      この映画最近見ました。
      バットマンはやっぱりマイケル・キートン、ジョーカーはジャック・ニコルソンですよ...
      yamaitsuさんこんにちは。
      この映画最近見ました。
      バットマンはやっぱりマイケル・キートン、ジョーカーはジャック・ニコルソンですよね。
      有名な俳優たちが大真面目にコスプレしてるということで、アメリカ映画ってすごいなーというインパクトが大きいです。

      「バードマン」のラストは、素直に良いように受け取りたいですよね。
      2022/08/04
    • yamaitsuさん
      淳水堂さん、こんにちは!(アイコン変わってる!)

      この作品自体も面白かったですが、淳水堂さんの感想で書かれていたようにアメコミヒーロー...
      淳水堂さん、こんにちは!(アイコン変わってる!)

      この作品自体も面白かったですが、淳水堂さんの感想で書かれていたようにアメコミヒーロー映画の歴史についても考えさせられる作品でしたね。ベテラン俳優が大真面目にコスプレ、その流れを作ったのはティム・バートンだったのかも。

      余談ですが、少し前に呼んだ桜庭一樹の映画エッセイ本で、アメリカ人は他の歴史の長い国のような独自の「神話」を持たないから、アメコミヒーローが彼らの新しい「神話」なのではないかという考察をされていたことなど思い出しました。
      2022/08/05
  • これをコメディと紹介するのは誤解を生むんじゃないかなあ。たぶん、あまり映画を観ない人が「沢山賞をとってるし、コメディだったら面白そう」と観てみると頭の中が「?」だらけになりそうだ。賞に選んだのは一般人ではなく業界関係者なので、皮肉や自虐(悪い言い方をすれば内輪ウケ)を理解した上で観る必要がある。それでも現実と妄想が混在していて理解しにくい内容なんだけど。
    アメリカのショービズ界は日本のように曖昧ではなく、映画スターと舞台俳優との間で『格の違い』をめぐる牽制のようなものがあって、業界を描いた映画では度々皮肉られてきた。この映画にもそれがあり、一般受けするヒーロー映画の元スターが娯楽映画を低俗とみなすプライドの高い演劇界でもう一度再起をかけるというのはかなり難しいことだ。この映画に出てくる人々の大半は精神的または人格的に不安定で、ワンカット風映像も振り回されているかのようで不安定。笑えるようなものではない。ラストはハッピーエンドかバットエンドか議論が分かれるところだけれど、全体的にこの映画は切ない映画なのだ。

  • 実際にかつてヒーローを演じた経緯の主役のマイケルキートン。
    自分は役者なんだと証明するために小難しい舞台をブロードウェイにかけるが・・・

    演技派といわれるエドワード・ノートンがいかにもな配役。
    こずるく立ち回りいやらしいくて大変良い。
    NYタイムズ批評家の人もいそうな感じプンプン。

    監督の今のショービズ界への批判満載の映画。
    評判の作られ方の今昔、
    舞台のプレビューはすぐに忘れられるものとされ
    ネットに上がった映像を本人は見っともないといい
    世間的には再生回数が評価だったり。
    舞台内容ではなくセンセーショナルな事件が注目される。

    ストーリー的には中盤まではちょっと退屈かなと思ったのだが
    終盤に向かって苦悩感が増すにつれて盛り上がってきた。
    つまんないなと思いかけては惹きつけられたりの繰り返し。
    演出の力技にねじ伏せられた感があります。

    ふわふわ感に好き嫌いはあるとしても「バードマン視点」とも
    思わせる見事というしかない全編ノーカットで撮られた
    様な映像でとらえている。見たこと無いですね・
    ドラムソロだけのBGMもとても効果的だったと思います。

    実にユニークな映画でした。

  • かつて大スターだった男の再起をかけたブラックコメディ。
    アメリカンビューティを思い出す感じで、万人受けはしなさそう。
    ラストの意味深な終わり方も賛否分かれそうだけどなかなか面白かった。

  • 2023/11/17
    演劇の舞台裏、面白い。

  • かつてスーパーヒーロー「バードマン」を演じて人気を誇った俳優リーガンだが今は落ち目でブロードウェイに進出して再起を図ろうとしている。彼が自ら企画したレイモンド・カーヴァーの短編小説を戯曲化した「愛について語るときに我々の語ること」のプレビュー公演直前に俳優が負傷する。代役として出演者レスリーの恋人でブロードウェイで活躍する俳優マイクが抜擢される。類まれな演技力を持つがワガママ放題のマイクのせいでプレビューはめちゃくちゃに。その上、ハリウッドを目の敵にする劇評家タビサに「舞台を酷評する」と宣言されリーガンのストレスはピークに達する。バードマンの声で目覚めたリーガンはニューヨークの街を飛び、舞台の最後の場面、銃で自殺を図るシーンで実弾を使用する。弾はリーガンの鼻を吹き飛ばし、タビサの批評のタイトルは「無知がもたらす予期せぬ奇跡」となっており、プロデューサーのジェイクはロングラン間違いなしと喜ぶ。バードマンに別れを告げたリーガンは窓から身を投げ、娘のサムは窓から空を見上げて微笑む。

    アカデミー賞作品賞受賞。全編ほぼワンカット(風)に撮影し、リーガンの逃げ場のない精神世界に観客も引きずり込まれていく。ドラムがメインの音楽も引き込まれる。現実とリンクさせ方もよい。どこまでが夢でどこまでが幻か。最後のサムの微笑みの意味は?色々な解釈ができて奥行きがある。
    マイケル・キートン、ナオミ・ワッツなど芸達者な俳優陣もみもの。金髪アバズレ風のエマ・ストーンはとにかく可愛いし、エドワード・ノートンは相変わらず達者。危ういバランスがきちんと計算されていている映画ならではの傑作。

  • 怒ってたり、言い争うシーンが多めで、うまくいかない主人公と一緒になってしんどい精神状態になったりして、疲れた。ブロードウェイのすごさわからないから、冷めてたところもあるかな。芸術は大変だ。

  • BS12(土曜洋画劇場)録画>エディーの芸達者ぶりには毎度唸らされる。感服です(*´ω`*)。あの曲者俳優マイクのキャラは難あり過ぎてちょっとアレだけどw
    バットマンのイメージが強いマイケル・キートン(主人公リーガン)がどん底から這い上がろうともがき苦しむ様が何とも痛々しい。。
    周りの登場人物達もキャラが濃く、強くて大変。
    ラストも観客に委ねる形で終了したので何かモヤモヤ(;^ω^)。。

  • Netflixにて。哀愁漂うかっこよさ。

  • もう少しわかり易い話でも良かったかな

  • 今の彼氏に重ね合わせて見てしまった感じです。


    無知が奇跡につながることこそ奇跡に等しいのだということを、声を大にして叫びたいと思います。

  • アカデミーに愛された理由がわかった。全てのバランスが素晴らしい。
    実際に劇中劇のスタイルをとって、大衆好みのヒーローシリーズが
    台頭する今の映画業界を辛辣に描く内幕劇にもなっている。

    ひどい楽屋と古い劇場、資金不足、整形疑惑、ドラッグ、アル中、家族の不和、
    起訴、レイプ、妊娠、威圧的な批評家、傲慢な俳優とその浪費、
    貯蓄より長生きしている寿命、そして、自殺。
    窮屈な空間の中、現実と幻覚が行き来する。
    これらすべてが途切れなく、滑るように展開されていく。

    撮影賞は当然、キャスティングも絶妙。
    ザック・ガリフィアナキス、メリット・ウィヴァーなど脇を固める役者たち。
    この顔ぶれでの、辛辣コメディに作品賞を送った映画人たちは
    この映画に何を感じ、胸打たれたのだろう。
    コメディだけど、それは笑いではなかったはずだ。

    ドラムの音が緊張感を生む。
    感情を揺さぶられる。
    そして、見上げた笑顔に奇跡を感じた。

  • ドラムソロが緊迫感や停滞感の創出に大いに役立っている。
    ハリウッド映画でありながら、アベンジャーズなど大衆娯楽映画を揶揄し、ニューヨークの演劇界、ブロードウェイ文化に対し敬意と挑戦をつきつけているのか?
    演劇を創り上げるということに挑戦した物語として、少しドキドキしながら見続けた。リーガンの超能力は想像の世界なのか、最後に飛び出すために積み重ねたものなのか。映画ならではの不思議感があるが、空を飛び回った後にタクシー代の請求があるあたり、「単純な」超能力ではないことが示されているのか。

    エマストーン目当てで見たのだが、最近とはかなり異なる荒々しさが逆に初々しい。

  • 「もう一度輝くために。もう一度愛されるために。」
    人生をやり直そうと奮起する男の可笑しくて切ない物語。

    「ショービズの世界に精通した者によるショービズ自体を風刺した映画」
    「ニューヨークの街とブロードウェイは本作のキャラクターだ。
     街で起きていることや行き交う人々、照明や車の往来、
     そこにあるものすべてが必要だ。」

    役者が認められようとする気持ちは万人に共通するものだ。
    「リーガンは今まで賞賛を受けることが愛情だと勘違いしていたが、
     そうではないと気付いたことで、
     自分自身を認め他人を愛する方法を苦しみながら学ばなければならなくなる。」
    真に認められたい主人公と、すぐに有名になることを求める現代社会。
    現代人にとって、成功とは作品の成果ではなく、 
    “いいね!”を手にし、すぐに有名になることだが、
    それは勘違いに過ぎない。SNSメディアの即効性は、現実を簡単に捻じ曲げる。

    「愛と許しを気まぐれに求める」
    リーガンは愛されたいと願い、その愛をどこに求めればいいか、見つけようとする。
    彼は徐々に、芝居で自分が演じている男になっていく。
    絶望した男、モーテルへ出かけ、自分を愛してほしいと懇願する男に変わっていく。

    人に委ねるものが評価なら、自分に委ねるものは答えだ、真実だ。
    自分を愛し、許すのなら、鳥のように自由に羽ばたいて行ける。
    人を愛すことも自由だ。理由などないのだから。愛したいから愛すのだ。
    いつでも輝ける。いつでも愛される。人生は自由なのだ。

  • 全盛期を過ぎた中年俳優の再起を掛けた挑戦に、魔法をかけてみせられた感じ。
    どこか空想めいたシーンをちりばめた事でファンタジックでシュールなタッチが特徴的な作風だった。

    舞台での演技に最善を尽くす主人公(かつての英雄・バードマン)は誠心誠意頑張って(いるつもり)だか、もがけばもがくほど周囲から孤立していくのだ。家庭でもダメのレッテルを貼られ、プライドも底を尽き掛けた時、過去の自分=バードマンが現れ自身を鼓舞するのが主題の様だ。話の筋としては「人生のリベンジ」って意味でよく取り上げられるテーマだし、そこの所は過去の成功体験による浮き沈みを味わっている最中のトラウマを最新CGで鮮やかに見せた位で、特質して面白いか?と言われるとそうでもない。

    本作はアカデミー賞の賞レースには勝った方だが、個人的にはイマイチ。

  • 〜2015

  • 自分はもっと何かになれるはずだったと思う。リーガンはその何かを少し味わったことがあるので、喪失感が凄いのだろう。アイアンマンをこき下ろしたりするの可笑しかったし。娘に指摘されて何も言えない。バードマンは過去のことだと自分でもわかっているから、足掻く。カーヴァー作品を舞台劇にした理由もまぁ陳腐だけれど、そこもいい。超能力のようなものや、幻聴は精神世界をあらわしていると思った。観念的なのが苦手な人は無理かも、この映画。ワタシはとても気に入った。これから、何度も何度もみることになりそう。しかし、鼻の形がかわると全く別人ね。最後のシーンについてはもっと色んな風に考えられそう。ワタシはリーガンは死んでいないと思う。

  • 訳のわからない映画だった。一体どっからどこまでが幻覚なんだろう。と思ってまた見たら最初から宙に浮いていた。フィクションでそれを言っちゃおしまいよってやつなのかなー。
    愛されたい、認められたいの欲求が強すぎで、あまり感情移入できない。最後、黒のバードマンとの対比を顕著に意識した白の仮面を剥ぎ、バードマンの影響なしに空を飛ぶという狙いは分かるんだけど、そこに希望を感じることはなかった。ただそれだけ。
    批評家受けが良くてのオスカーなんだろうか。大衆映画とは言えない。この映画が好きな自分が好きタイプ。

    カメラワークは面白かった。ドラムの効果音も含めてスタイリッシュな映像がこの映画の世界観を作っているんだと思う。でもぐいぐい引き込まれることはなかった。単純に相性の問題と思うけど。
    エドワードノートンってやっぱりいい役者だなーと思った。

  • 素晴らしい映画だった
    全編通してカメラの動きとドラムの音がずーっと臨場感出してて
    超能力、達観、幼稚、エゴ、無知、栄光すべてしっくり理解できた

    久しぶりに揺さぶられる映画みた

  • 2回観ても面白い

全43件中 1 - 20件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×