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感想・レビュー・書評
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子どもの学力にまつわる身近な疑問から、国の教育施策に至るまで経済学の手法を使って応えている。著者の教育界への経済学的アプローチ推進にかける思いが詰まった内容で非常に読ませる内容である。
日々の子育てとかに使えそうだなと思ったのは以下
- 「目の前ににんじん」作戦は、人間の近くの未来を満足を優先するという性質を逆に利用した作戦
- 教育学的に正しいご褒美は、アウトプットではなくインプットに対して、遠い将来ではなく近い将来にご褒美を与える
- 子どもをほめるときには具体的に子どもが達成した内容を挙げること
- 幼児期に人的資本投資するのが最も収益率が高い
教育施策については、日本の学校教育に関する施策が全然エビデンスベースではないというのは驚きであった。例えば少人数学級という教育施策について、日本では公立小学校を35人学級を40人学級に戻すかという話があったが、教員の負担やきめ細やかな指導ができなくなるという理由で35人学級となっている。
一方で、アメリカではエビデンス調査の結果、少人数学級で効果があるのは20人前後であることがわかっている。また、低年齢学級や、貧困家庭の子供に対する効果が大きい。しかし、他の教育施策に比べて費用がかかるため費用対効果が悪い施策であることがわかっている。
このように日本の教育施策においては活用されておらず、合理的な判断がなされているか疑問である。 -
子供を持つなら必ず読みたい。
経験則が全くなく、事実や根拠に基づく。
大変興味深い内容でした -
教育経済学がデータを用いて明らかにした発見として、次のようなものがあるそうです。
・子どもをご褒美で釣ってもよい
・ほめ育てしてはいけない
・ゲームをしても暴力的にはならない
・躾を受けた人は年収が高い
・少人数学級は費用対効果が低い
・教員研修には効果はない
・教員免許は、教員の質の担保にはならない
日本の教育界でも、もっとデータに基づいて客観的に業務の効能について検証していくようになればと思いました。 -
★★★☆☆根拠がわかる、でも使い方に注意
✨子育てに役立つ一言
▷「目の前にニンジン」作戦は勉強を先送りさせない戦略
「教育の成果をデータで裏づけた本」としてベストセラーになっただけあって、科学的根拠がびっしり!ゲームは何時間まで?いつ、どんな教育にお金をかけたら?どんな声がけがこの子のためになるの?など、親のありがちな疑問にデータで答えてくれています。根拠が欲しい人にはもってこい!な一冊。
だけど、使い方を間違えると大変だな、というのが私の感想。
データが示しているのはあくまで全体として言えること。地球上の全員を調べたのではなく、一部を調べて傾向を示しているわけです。当然ですが。
そのデータを参考にして教育方針を考えることは重要ですね。同時に、目の前の子供が何を感じて、親の言葉にどう反応して、どんな願いを持っているのか。そこに目を向けることも忘れてはいけないのです。
以前ご紹介した本『アルケミスト』の中で、スプーンに入れた2滴の油をこぼさないようにしながら、宮殿の中の素晴らしい芸術品を鑑賞することが幸福の秘密だ、という話がありました。子育てにおいても同じことがいえます。
「こうしたい」という未来の方向性を見定めつつ、目の前の子供と向き合い、1日1日を大切に生きる。じゃあ具体的にそれは何なのか、というのを言葉にして行動にしていくのがコーチングです。自分の想いを行動にすることが大事であり、それを引き出すためにデータを参考にする、くらいがちょうどいいですね。
例えば、今日の一言。ご褒美で子供を釣るのは、親としてどうなのか?と思うけど、やり方を気をつければ有効だよ、ということ。
人間、目先の利益が大きく見えてしまう習性があります。遠い将来に大きな利益があっても、すぐに得られる利益だと、例えそれが小さくても、それを選択してしまう。(←時間割引率という考え方) なんとも耳の痛い話です。
ダイエット、喫煙、多めの飲酒などは、わかっちゃいるけどやめられない。
勉強もそれに該当します。子供の頃に勉強しておくことで、将来の収入が高くなることがデータで示されている。だから、目の前のTVやゲームなどのすぐに得られる利益より、遠い将来の大きな利益を得るために「にんじん」作戦は有効だということ。
年代によって何をにんじんにするかが違うので、その辺りも本書を参考にされるとスッキリすると思います♪
このようなデータを知った上で、自分にも取り入れるのかどうかを自分で決めること、大事です -
いい意味であっさりしてる。
すごく読みやすい。
研究結果の紹介が海外事例に偏っているのは裏を返すと日本の実情か。
「データを開示すれば、政府がわざわざ雇用しなくても、世界中の優秀なエコノミストがこぞって分析をしてくれる」
という某国のポリシーには心を打たれた。 -
色々な疑問に答えてくれる本だった。
・ご褒美はテストの点数などのアウトプットではなく、本を読む、宿題をするなどのインプットに与える。
・アウトプットではなくインプットに、遠い将来ではなく近い将来にご褒美を与えるのが効果的
・子どもをほめるときには、もともとの能力でなく、具体的に達成した内容を挙げることが重要。
・1日1時間までならテレビもゲームも問題ない。
見るか見ないかよりも、その決めた時間を守れるかどうか。
・子どもの学習時間を増やすには手間暇がかかるが、親以外の親族や、先生などの助けを借りてもよい。
・友達が与える影響
学力の高い友達の中にいると、自分の学力にもプラスの影響、ただし、これは上位層だけ。
問題児からは負の影響を受ける可能性。
習熟度別学級ではもともと学力が低かった子どもには大きな効果をもたらす。
学校や学級を選ぶ時の参考に再読したい。
・人的資本への投資はとにかく子どもがちいさいうちに行う
・投資は学力だけのことではなく、いわゆる非認知能力。
・もしも学力テストの順位を公表するなら、学校名だけでなく、その学区の生活保護率、就学援助率、学習塾等事業者の数や売り上げなど、家庭の資源を表す情報も紐づけて公表すべき。
・少子化が進む中では、教育の数を増やすよりも教員の質を高める政策の方が有効。 -
色々なデータを用いて学力を説いていたのだが、世の中に訴えたい気持ちが強く学校とか政治とか大きい枠組みの話が多かった。
もう少し個人が使いやすい、参考にしやすいデータや活用方法がを知りたかった。、 -
・・・以下メモ・・・★は自分が思ったこと
■教育は一億総評論家
→全くの素人でも意見を述べたがる
自分が病気になった時に、長生きしているだけの老人に長寿の秘訣を聞きにいく人はいないのに、こどもの成績に悩む親が、子供を全員東大に入れた老婆の体験記を買う
所詮一つの事例に過ぎないものを、あたかも全体を表しているように捉えてしまうことは危険
そもそも個人の成功体験を一般化することはとても難しい
→★なりたゆうすけも同じようなこと言ってた
■相関関係があるだけで因果関係があるかはわからない
■見せかけの相関に気付けない
第三の要因があることによって、相関があるように見えるだけかもしれない
■目の前のニンジン、作戦
子供を今勉強するように仕向け、勉強することを先送りさせない戦略
→ひとは、目先の利益や満足をつい優先してまう
インプットにご褒美をあたえるか
アウトプットにご褒美を与えるか
→インプットにあたえたほうがよい
アウトプットは具体的でない(やる気があるのに何に向けたらいいかわからない)
→アウトプットにご褒美を与える場合は、どうすればそれができるか方法を教え、導いてくれる人が必要
■自尊心は結果にすぎない
自尊心が高まると学力が高まる
のではなく
学力が高いという原因が自尊心が高いという「結果」をもたらしているのだと結論づけた
→★これは衝撃。4月生まれ理論が崩れる。逆の考え方。
■あたまがいいのね、より、よく頑張ったね!
能力を誉めることは、子どものやる気を蝕む"