ハケンアニメ! [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 舞台はアニメ業界。お仕事小説。

    この業界やアニメについては無知だけれど、NHKの朝ドラ「なつぞら」を観ていたので、イメージしながら読むことができた。
    そしてこの仕事に対する情熱を類似体験できたように思う。最後は清々しい気持ちになれた。

    また、辻村深月さんのある小説に出てくる人物が登場する。
    あ!ここに出てくるんだーー!と、嬉しくなった。
    確かにこの小説の世界で活躍していてもおかしくない人物であろう。辻村さん、うまいなぁ〜。

    • ポプラ並木さん
      なおなおさん、

      <<辻村深月さんのある小説に出てくる人物

      =はい、びっくりしました。久しぶりに会えてよかったです。V.T.R.も...
      なおなおさん、

      <<辻村深月さんのある小説に出てくる人物

      =はい、びっくりしました。久しぶりに会えてよかったです。V.T.R.も読もうかな!
      辻村作品はリーダビリティ抜群で、すぐに読めました。
      2023/07/03
    • なおなおさん
      ポプラ並木さん、おはようございます。
      あの方が出てきて、おお!ここで!?とびっくりですよね。
      私もあの方のV.T.Rを読もうかなぁ。辻村作品...
      ポプラ並木さん、おはようございます。
      あの方が出てきて、おお!ここで!?とびっくりですよね。
      私もあの方のV.T.Rを読もうかなぁ。辻村作品は読む順があり、その通りに読むとより面白いとか。
      それで言うと私は次にV.T.Rを読むべきなんです。省略するなら「冷たい校舎の時は止まる」。
      辻村深月さん、面白いですよね。
      2023/07/03
  • 辻村深月さんのハケンアニメ。来週、吉岡里帆主演で映画公開されますね。
    著者もアニメ好きらしく、アニメ業界を舞台にしている。
    アニメ業界のことはシロバコというアニメでしか知らないけど。
    原作者の失踪とそれに対応するプロデューサーとの恋愛ありきみたいな内容だった。
    アニメというもしかしたら後ろめたい、恥ずかしいという思いをいまだ持っている人がいたら、自分が好きなものを好きと言っていい勇気をくれる作品かな。
    この作品には「スロウハイツの神様」のチヨダ・コーキが出てきて、手塚治虫のスターシステムを取り入れています。
    がんばっている人が報われていく。そんな物語。

  • 「アニメは、日本を代表する文化、いわゆるクールジャパンを象徴するもの。世界に誇れる文化と産業のひとつ」と言われた時があった。今は、そうでもないようだ。
    雲南省の昆明にいたときに、日本語を学ぶ学生は2000名近くいた。そして多くがアニメを見て、日本語を勉強したいと思ったと言われ、アニメの貢献度は高い。
    日本に来て、庵野秀明監督のエヴァンゲリオンなどを見ても、やはり異文化でしかない。まるで文化の根っこが違うように思えた。ただシンジの「なぜ、生きているのか?自分のため?だけど生きてて嬉しい?」という問いかけと、父親がシンジに要求する無理難題をしっかり受け止めていることだけはわかった。
    Twitterには最近よく本の話題が出ていて、本書を褒めるのがあった。うーん。『ハケンアニメ』という言葉から、アニメ業界は低賃金でハケン(派遣)が多いので、その実態を明らかにする小説かと思って読んだら、「覇権」アニメだった。そのクールで一番かどうかを争って、勝った番組のことを言うようだった。それでも、4章に分かれていて、初めにプロデューサーの有科香屋子と王子監督。女性の斉藤監督とプロデューサー行城理。神原画を描く並澤和奈と市役所観光課の宗森周平。そして最終章。実にテンポが良く、そしてつきあたっている課題が浮かび上がってくるのが、よく見えて面白かった。アニメ業界では、こんなことを悩んでいるのだと言うのを理解した。やはり、みんなアニメが好きなのだ。職人技という感じがするが、音と絵の連動、主人公の表情と声、コスチューム、セリフ、圧倒的な視覚に訴え、魅せる。王子監督は、イケメンで、それで持って、わがまま、アニメ界の星の王子さまと言われる。自分の思い通りでないと気が済まない。「いいものを作りたい」と思っている。モデルは、庵野秀明なんだろうと推定される。アニメには、さまざまな人たちが関わっている。
    そんな中で、王子監督は失踪する。有科は、そのことで悩まされる。関係者にそのことを話せない。
    影で泣いていることなんて、王子監督は知らないのだと心の中で思う。
    「生きろ、君を絶望させられるのは、世界で君ひとりだけ」というのがアニメのテーマだ。
    王子監督はいう「アニメは、それを観た各自のものだ。作り手なんて関係ない。俺の作品に一番詳しいのは俺じゃなくていい。一番愛情を注いだ人のものだ。キャラのその後だった、全部見てくれた人が自由に決めていい」。この言葉が、アニメの中心核なんだね。
    並澤和奈は、目立つことが嫌いな、引っ込み思案で、自分のやっている世界に閉じこもっている。それを観光課の宗森周平の故郷思いに、打ち解けていく。聖都巡礼に、どう関わり合うか。村おこしのやり方が、スタンプラリーから始まる。ふーむ。そんなもんでとバカにしているが。
    アニメをめぐって、さまざまな思惑が、本書に出てくるが、なんとなく、アニメの見方が少しわかった気になった。オタク文化は、強かでもあるが、古い体質があって、イノベーションできないのだね。
    「神様、私に、アニメをありがとう」という本書の言いたいことがよく書けている。

  • アニメの制作の裏側の話。それぞれ熱い想いを持って仕事に取り組んでいる。アニメーターの恋の話はよかった。

  • アニメ業界のことがなんとなく見えてくるお仕事系のお話でした。
    それぞれの登場人物の視点で物語が展開していき、広い視点で楽しめました。

  • アニメ制作に関わる人々の群像劇。以前に読んだ『デルタの羊』と題材は似ているが、描き方がそれぞれの「人」を中心にしている点が大きな違いか。それぞれの人物が絡み合いながら、爽やかな青春小説のような感がある。デルタもそうだったが、アニメを文字で説明されても、追体験をするのは難しい。今後映画化されるので、アニメシーンがどのようなものになるか、期待したい。

  • ハケンアニメ=覇権アニメ:戦国状態のアニメ業界で1クールで一番をとるアニメ

    アニメ業界で活躍する女性たちが主人公のお仕事小説。
    アニメ業界がこんなにしんどいものだとは思ってなかったのでビックリした。
    辻村深月先生の作品らしく登場人物の心理描写が丁寧に描かれていた。

  • この人の作品にしては、明るくて好き。アニメの世界には全く詳しくないけど、制作の裏側が見られて興味深かった。甘酸っぱさもあったのが、ポイントかな。

  • アニメ制作の現場をアツく描いていた。アニメが好きな私にとっては製作者が情熱的だと嬉しいのでそこにかける思いには感動した。ただ監督がモデルに劣らないほどの超イケメンとかありえなくないか?イケメンだとしてもかなりのコミュ障とかじゃないと釣り合いが取れないというか、なんでイケメンで喋りも達者なのにアニメ選んだのか説明がつかない。美男美女が登場しすぎてて、結局作者が見た目重視なんじゃ?と思った。

  • アニメ業界で、アニメ愛に身もだえしている人々の群像。「死ななきゃ花道にならないような古い感動なんて、・・やらない。」「喪失とか死とかそんな楽な見せ場に頼らない」というメッセージはなるほどと思った。
     人生には大事な何かを失っても、何かを成し遂げたい時がある。やらなければならない時がある。
    「アニメだからと容易に失ったものが戻ってくるなんてことは(しない。)、実際にもあり得ない(のだ)」というメッセージ。視聴者に対しての誠実な姿勢を感じた。
     作者が、アニメ業界を舞台に借りながら言いたかったことだろう。

著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻村深月の作品

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