月刊群雛 (GunSu) 2015年 07月号 ~ インディーズ作家を応援するマガジン ~ [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 自分が参加している号はそうでない号と比べると、他の方の作品を読む回数は多くなるし、思い入れも増してしまうので、ブクログ上の評価は全て自重して☆4つで統一しておりました。(変に依怙贔屓と誤解されるのも嫌ですし)
    ですが! 今回はそのマイルールを撤廃したいと思います。それくらいどこから読んでも面白かったし、僕の心にヒットする作品が多かった。
    外れ無しの要因としては、「作者の得意ジャンル/手法」をぶつけてきたという事に尽きるでしょう。それでもって、ストーリーはボリュームとスピード感が程よくあり、読後感も爽やか。自分自身の実感としても、群雛で何度もステップを経験する事によって「自分の文章力で伝えられること」を意識できる様になったと思います。今回揃っているのはそういう作品なのかもしれません。
    ただ、同じ☆5評価とした2015年1月号と比較すると、この号は初心者向けというよりも「セルフパブリッシングに興味がある方」向けではないでしょうか。作者の人となりや文体、作風を事前に理解していると、面白さは倍増されると思います。ぜひこの号で興味を抱いた作者がいれば、各々が販売している作品を購入してもミスマッチは発生しないでしょう(ついでに僕のも←)
    ジャンルとしては、「ベタ×ライト」。ベタ要素が強めですかね。

    晴海まどか/合川幸希『ギソウクラブ』
    私も予想屋の端くれ(?)ですので、「ははーん、次のギソウはXと思いきや実はYだという話だな!」と思っていたので、ここは予想的中。でも、話の流れ自体は予想外だった。「先入観」や「思い込み」でなかなか人と人との気持ちが繋がらないというのが、この回における一番重要なテーマではないでしょうか。
    あのシーンからラストシーンまでの流れも非常に気になる。そして、連載として4話かけて引いた各々の複線はどう回収されるんだろう? という部分も注目したいところです。

    和良拓馬『幸福すぎる90分間』
    自分の。感動的な(自称)ラストにしたのですが、実は横河武蔵野は翌年もあっさり天皇杯に出場し、あっさりFC東京と試合をしております。
    その模様は下記のリンクよりお確かめ下さい
    http://will-be-rugby.blogspot.jp/2013/09/blog-post_10.html

    くにさきたすく『ポースター』
    以前kdp60内で作品を拝見したのですが、ショートショートへの強いこだわりと職人的な雰囲気を感じさせる作者だと思いました。「ポースター」自体はSFチックというより、実現できそうな気がするんですけどね……笑
    最初は広告の話だと思っていたのですが、2回目に「トースター」という視点で読み進めると新たな発見がありました。要するに、これは「コンテンツの盛衰とそれを見守るファン」を描いた作品ではないか? と。この視点であれば、ラストシーンの主人公の心情をすんなり消化することができる……というのは、深読みですかね?

    王木亡一朗『ライトセーバー』
    確かに口調が某D書ちゃんっぽい……笑
    最初は「無声映画と活弁士」みたいな感じで読んでいたのですが、後半戦の構成は見事に裏切られたなあ。内輪ネタ色が薄くなってきて、その代わりに物語パートがどんどん深まって、文章がテンポアップしていくのが心地よかった。ラストシーンの転調も「やられた!」の一言。王木節(と僕が勝手に言っている)を堪能できました。
    あと、作品の設定は違うのだけれども、5月号で平乃ひらさんが書いた「パレード」と通じる世界観があるとも思いました。

    波野發作『オルガニゼイション』
    いい作品揃いという意味で今回はベストを選ぶというのも悩ましいというか、選んでいいのかという気にもなっているのですが、「自分は書けない作品だな」と思ったのが「オルガニゼイション」でした。連載は終わるまで評価を下さないぞ! というスタンスでもあるのですが、それすら崩れてしまうくらい掴みが良かったです……笑
    「商人」に対するステレオタイプを思う存分生かしつつ、文章からはテンポの良い駆け引きが続きます。情報量は多いのですが、あまり躓く事も無かったです。(「ヴェニスン」と「ガッデン」を読んでいたというのも大きいでしょうが)で、オチも秀逸。「商人の悲しい性」が伝わってきますなあ

    青海玻洞瑠鯉『Professor』
    私も大学時代に文筆活動を始め、社会人に入って袂を分けたはずが今現在こんな事になってしまいまして……。今号で一休みという事ですが、いつでもお暇な時に帰ってきて下さい。というか、文筆業にどっぷり浸かってしまった者は、いかなるかたちであれあるべき場所に帰ってくると思いますわ。
    というわけで、作者へのエールに時間を費やしてしまいましたが、本題に。今回の詩のテーマは大学。色々と自分のキャンパスライフを思い出してしまいますね。「卒業なんて」を読んでふと思うのは、疎遠になるもの色々ある中でも、刹那的な日々は案外忘れないものだ、ということです。

    きうり『うさぎ』
    うーん、切ない! 「うさぎ」という言葉の負の側面をしっかり物語に溶け込ませている。以前読んだ「超能力カメラマン」の時と同じく、話の流れや気持ちの移り変わりも丁寧に形成されつつも、ショート路線に耐えうる切れ味も持っていましたね。
    ところで、↑までの文章はsezmar氏のレビューを読む前に書いたものなのですが、なるほど、確かに物語の解釈次第では「怖い」という風に受け取ることも出来るな、と。それを「不足」と感じさせないのは、しっかりと作中に色々な要素を詰め込んでいるからなのでしょうね

    澤俊之『Timber!』
    「LANDLADY」を読んでいるから、「なるほど、この話はこういう部分に繋がるんだな!」というのが見えてきて楽しかった。ひとつのロードムービーとしてはもちろん、各シリーズの「プロローグ」としても楽しく読める。というか、各シリーズの作品を買わせたくなる1本ですなあ……笑

    もりそば〈表紙イラスト〉
    どこなのかは解らないけれど、「どこかで見たことがある」とみんなに思わせる表紙。初夏のノスタルジーを想起させるワンシーンですなあ。緑色が綺麗!

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著者プロフィール

株式会社ボイジャー代表取締役。1957年生まれ。北海道大学薬学部卒。1981年、レーザーディスク株式会社(後のパイオニアLDC)入社。レーザーディスクの市場導入、作品の企画制作に従事。1992年、ボイジャー創立に参加、デジタル出版への取り組みを開始。WEBのプロデュース、出版ツールの企画開発・営業・販売を担当。現在、電子書籍の読書リーダー「BinB(ビーインビー)」、デジタル出版ツール「Romancer(ロマンサー)」を推進中。ボイジャー刊行書籍の担当作品多数。2013年より現職。

「2024年 『50代から始めるデジタル出版 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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