人類資金VII (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • この本はピケティよりも後なのかしら、特に調べてないけど。
    ピケティが流行るまでもなく、なんとなく資本主義の限界を日本人は感じていると思う。
    一時はGDPが世界2位になり、東京の地価でアメリカ全土を買えると言われた国にあって、みんなあまり幸せそうではない。
    さらに、人々が資本主義に限界を感じる様になった一因として、インターネットの発展がある様に思う。
    なぜなら、インターネットの発展によって、誰もが情報を発信できる様になり、その結果それまでメディアにあまり取り上げられなかった、資本主義によって虐げられた人達の生の声がインターネットと言うメディアに溢れる様になった。そして、当事者でない人も虐げられた人の声を聞く機会が増えたからだ。

    まぁ、そんな面倒なこと考えなくても、バブル崩壊とか、リーマンショックとか体験してると、「あれ?なんか変やな。資本主義で社会が発展して幸せになるはずが、不幸になっている人が結構いてるな。」とか思うのではないだろうか。

    そして、そんな時代に資本主義の限界をテーマに生まれたのが、この人類資金と言う小説だ。

    資本主義が限界だと言う話とよくセットになってテクノロジーの発展によって、資本主義だけでは実現できなかった善意や人柄なんかの見える化、数値化ができるのではないかという話を見かける。
    ただ、その話は基本的に先進国でしいたけられている層(所謂負け組)に恩恵があるというもので、世界規模で置いていかれている、発展できなかった国家に住んでいる人のことは考えられていない。ように見える。話の筋が違うだけかもしれないが。

    ただ、この小説ではその負け組国家に資本を呼び込む方法が示されている。と言う点で私としては目新しいアイディアだった。

    勿論、そのまま実現するのは色々問題があるだろうが、資本主義に取り残された半分の世界に未だ見ぬ才能が眠っていることは間違いなく、人類はそういった才能を無駄なく拾い上げられないと先がない。
    私個人としては、肝になるのは情報インフラと教育だと考えている、この話の中では暢人がどっちもガッツリ抑えてたね。

    でこっからは、小説の感想なんだけど。
    美由紀は結局「みんな」で待ってんのかいと、まぁ、お話的に自然な流れだけどさ、ちょっとひねっても、ちょっとねじれても良かったと思う。
    にしても、最終巻流石に熱いシーンが多かった。
    3回は泣いたね(心の中で)、ヤクザの座敷のシーンや、1巻に出てきてそのままだった仲間たちがでてきたところ、暢彦の活躍シーンとか、真舟のゲームが終了するところどのシーンも印象に残る良いシーンでした。
    そして、所々に出てきては笑かしてくれる酒田のおっさんがいい感じだった。ホント最後まで非常に楽しめる小説でした。

  • 人類資金最終巻
    読み応えのある内容
    何が世界を変えていくか考えさせられる

  • 終わったー。長くまった、まあ、個人的にはよかった、エピローグでM資金のMは。。。。。いい。

  • M資金をめぐる話の完結編。
    ちょっと中だるみ気味だった前巻までと違って、仕手戦、遠藤との戦い、ハロルドとの戦いと緊張感のあるシーンが続いてとてもよかった。
    笹倉父子の親子愛も印象的だった。

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著者プロフィール

1968年東京都墨田区生まれ。98年『Twelve Y.O.』で第44回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年刊行の2作目『亡国のイージス』で第2回大藪春彦賞、第18回日本冒険小説協会大賞、第53回日本推理作家協会賞長編部門を受賞。2003年『終戦のローレライ』で第24回吉川英治文学新人賞、第21回日本冒険小説協会大賞を受賞。05年には原作を手がけた映画『ローレライ(原作:終戦のローレライ)』『戦国自衛隊1549(原案:半村良氏)』 『亡国のイージス』が相次いで公開され話題になる。他著に『川の深さは』『小説・震災後』『Op.ローズダスト』『機動戦士ガンダムUC』などがある。

「2015年 『人類資金(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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