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- / ISBN・EAN: 4547462096845
感想・レビュー・書評
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近未来の南アフリカ・犯罪都市ヨハネスブルクを舞台に人工知能(AI)を搭載したロボット(チャッピー)をめぐるストーリー。
派手に敵を倒して終わりなら並のアクションSF映画で終わっていただろう。
でも監督は「第九地区」のニール・ブロムカンプ。
チャッピーに意識が宿ることで他のAIと違った特異性が生まれるストーリーとなっている。
赤子が言葉を覚え、徐々に環境に適応しながら成長するように、起動したばかりのチャッピーも学習し適応を繰り返す。しかしその生育予想の範囲を超えて、成長したチャッピーがより人らしく見えてくる。これは決して人間に似た動作や仕草のためだけではない。(ちなみにモーションキャプチャでチャッピーを演じているのがシャールト・コプリー)
バッテリーの残量をみて、死への恐怖を口にする。
生みの親であるエンジニアと育ての親のギャングがムーア(ヒュー・ジャックマン)の巨大ロボに襲われたとき、必死に闘おうとする。
終盤では「お前一番悪い奴。でも、チャッピーお前殺さない。許す」。と、ムーアを追い詰めボコボコにしつつも許したこと。
死を怖れる。憎しみより許すことができる。誰かのために闘おうとする。ストーリーで描かれるチャッピーを通して私たちが曖昧に形容する「人間らしさ」という深遠を浮き彫りにする物語構造はお見事。
「第九地区」ほどではないけれど、前作の「エリジウム」の単調さより監督らしさが戻ってきた内容だった。ストーリーや派手なアクションはもちろん、凝ったガジェットデザインは日本のアニメと「ロボコップ」の影響があるとはいえ、相変わらずセンスがいい。
ムーアが操作する巨大ロボが「ロボコップ」のED-209そっくりだったのはちょっと笑ったけど。(クラスター爆弾搭載って、そりゃ治安用じゃなく軍事用だろう。笑)
日本のアニメといえば、意識をロボにインストールするラストの描き方は士郎正宗の「攻殻機動隊」の影響だろうか。ただ、自在に意識(攻殻でいう魂・ゴースト)をロボにインストールすることは永遠の命を手に入れたとも解釈でき、それだとチャッピーに生まれた「人間らしさ」も変化するか消滅するのではないかと思った。そもそも、人間の身体は意識をインストールするためのただの器なのかという疑問もある。
が、こんなに小難しく考える必要はないだろう。アクションや世界観を単純に楽しめばいい。
充分見応えある映画だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すごいおもしろかったんだけど感想を述べようと振り返ると「テンション」しか出てこない。
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内容紹介 (Amazonより)
『第9地区』監督の原点回帰的最新作!圧倒的リアリティと衝撃の結末を体感せよ!
2016年―犯罪多発地区、南アフリカ ヨハネスブルグに世界で唯一の“感じ、考え、成長する”AI(人工知能)を搭載したロボットが誕生。
彼の名はチャッピー。
起動したばかりのチャッピーは真っ新でまるで子供のようだが、彼の余命はたった5日間しかない。ギャングにさらわれたチャッピーは、ギャング式の生きる術を覚え加速度的に成長する。
ただ「生きたい」と願うチャッピーの人知を超えた行動に、我々は衝撃の結末を目撃する。
アマゾンプライムで観ました。
DVD購入特典には『もう1つのエンディング』があるようで それを観たくなりました。
観終えて思ったことは 人間って本当に愚かだなぁ...(自分も含めて...)とつくづく思いました。
自分達で開発したいろんなモノにのみ込まれて 自分達の首を自分達で締めているような気がします。
まぁ...そんな邪な変な欲を持ってるのも人間ならではとも思いますが...
『もう1つのエンディング』を観たら何か気持ちが和らぐのかなぁ...?
純粋無垢で生まれたばかりのチャッピーが どんどん人間の邪悪な面を受け継いでいく様が 観ていて腹立たしく感じ それを使う人間の愚かさが私の中で増大されていきました。
将来、人間が開発したAI搭載のロボットたちに支配される時が来るのでは...と思ってしまいます。 -
人工知能とは、感情とは。
以前、NHKで2045年に人工知能は人類の能力を超えるというようなことをやっていたが、まさにその問題を突きつけた作品。
最終的には攻殻機動隊的な話だが、人格が義体に入ることによって、ある意味”命”は永遠に受け継がれる。それがさらに進むとルパン三世のマモーの話になっていくのか?
人間とは、命とは何かというものを考えさせられる。 -
想定内の面白さでした。
「第9地区」の空気感があって、名作SFのオマージュたっぷりの作品でした。
チャッピーの自然な存在感は愕くほど愕かない。ww
ロボットだけど身のこなしは人間そのもの。
映像技術がすごい。
ギャングに育てられた子供。
でもその子供は無垢なAIを仕込まれた廃棄寸前の警察用ロボット。
ギャングに芽生える母性、父性・・・
ここまでの判断が伴うやりとりが実現するのは
テクノロジー的にはもう少し先だろうけど
友愛に関しては何となく足音が聞こえて競う
iOSのシリ、ペッパー君とか、、、ほら。
うがった見方も楽しく出来るけど
あんまり難しく考えずにエンタメ映画として見ていいのかも。 -
中盤まではチャッピーの紆余曲折に心和んだり胸を痛めたりしていたんですが、終盤に嫌な予感がしてからラストで一気に血の気が引いた。
ニール・ブロムカンプはこういう人だった…と思い出しました。単純に終わらせてくれる筈がなかった。 倫理観をえぐるのが巧い。むごいけどクセになる。