- Amazon.co.jp ・電子書籍 (502ページ)
感想・レビュー・書評
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複数のトピックが入り混じった混沌としたストーリーでありながらも、終盤に向けて本筋に全て巻き付いていくのがおもしろい。
巻き付いていくサブトピックも決して類似したものではなく、宇宙・宗教・性・飢餓など独立したように思われるもので、それらをまとめ上げているところが特におもしろいと感じた。
教団の統制の取り方は、直前に読んだジョージ・オーウェルの「1984年」と対比できるところもあってなおさら深く興味深く読むことができた。(本質的にリンクするものではないけれど)
1つ残念なのが性描写。他の描写に比べて極端に俗っぽいというか男性主観過ぎると感じた。この俗っぽさに限れば文学的意味を見出すことができなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
圧巻のページ数にしては読みやすい印象を受ける。淡々とした文章の中に突如として現れる暴力描写が教団Xの狂気的な世界観を表現していて脳内再生待った無しなわけで、そこに中毒性を感じます。読書好きでオカルト好きには堪んない一冊でした。
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ノッてくるまでけっこう苦しくて、何度か中断しながら、第二部からラストまでの300ページくらいは一気に読んだ、ものすごい熱量で展開していくストーリーに、振り落とされそうになりながら。
闇と光の物語だと、あとがきに著者は書いていた。
1984の世界が頭をよぎり、なぜ、平和で戦争が無く、貧困も飢餓もなく、差別もない世界は実現不可能なのか、そう思うのかを改めて考えた。
なぜ、光の方へ向くことが困難なのかと。
本を読む行為は、自分の内面を常に揺さぶり、考えさせる。
「硬化した人々」にならない為に、私は本を読むのかもしれないと思った。
女性性の扱いについては、嫌悪感も無くは無かった。ああ書かざるを得ない、という諦め?では無いけど、何かステレオタイプな気がして、そこだけ気になり星4つです。 -
色々な目線で物語が進んでいくというのに、飽きていましたが、今回は面白かったです。
よっちゃんの言った世界を肯定する。この言葉が好きでした。世界を肯定するってワールドイズマインでも言っていた気がする。それぞれの肯定の仕方があるけど、僕はまず半径の人たちの事を肯定したい。5年後くらいにもう一度読み直したい。 -
様々な本を読み慣れた方向けだと感じます。
一言で表すと「思想家の物語」
人の原罪について考えさせられ、重厚で先が読めず非常に面白い。
人の思考って興味深いなぁ、と。そして孤独と恐怖は人を狂わせるのだなぁ、と。 -
途中まで読んで一回挫折。宗教モノ読みたいなと思って最挑戦。
苦手な感じが続いて目が滑る滑る。でもこれは確かに傑作。
思想でぶん殴られ続けるのを耐えたから後半のめり込めたんだと思うけど、もうちょっと読みやすくしてくれればお勧めしやすいのに。
映像化...は無理かぁ -
R帝国と内容的には同じだった。
こちらから読めば良かったかな。 -
宗教とセックスと政治とが絡み合った話。とても分厚いけど、思ったほど長くて辛いとは思わなかった。まず二つの新興宗教が出てくる。一つは自分たちを宗教ではないと言い、教祖の哲学的な話を聞くだけの集団。もう一つは完全なカルト集団。後半でもう一つ原始的な宗教も登場するのだけれど、宗教のあり方というか、宗教って何という問いかけがある。信仰が誰かの利益や、政治的に利用されてしまうことで新興宗教のいかがわしさも描かれている。オウム真理教がモデルになっている部分もあるかもしれないが、この小説ではオウム真理教の事件が起こった後の設定になっている。私は面白いと思ったけど、長いし、宗教論やセックスの場面など好みのわかれる小説だと思う。(私は、苦手なところは斜めに読み飛ばしてしまった。)