情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記 (文春文庫) [Kindle]

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著者 : 堀栄三
  • 文藝春秋 (1996年5月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (285ページ)

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情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • うーむ。なんとも。著者が第一線で戦っていただけに、太平洋戦争への悔しさや、現在の日本への危機感は高く、その後の自衛隊組織についての意見も、おそらく的を得ているのだろう。

    批判に尽きており、多少の啓蒙も含まれるが、バランス的に批判が多いかなぁと。

    米国が敗戦の理由を指摘したとおり、敵戦力の錯覚、制空権の軽視、組織の不統一、情報人材の軽視、精神主義重視などはよくよく肝に命じておきたい。

  •  太平洋戦争で陸軍の情報参謀を務めていた著者による、自伝とドキュメンタリーの中間的な一冊。単行本は1989年9月に出版され、1996年5月に文庫化、2015年8月に電子書籍化されたものです。なお1913年生まれの著者は1995年に亡くなっています。

     昭和18年に著者が大本営陸軍部参謀に任命されるところから始まります。朝令暮改の辞令に翻弄されながら各部門で情報のなんたるかを学び、戦場では米軍の行動を分析する大役を担うようになり、多くの戦場で米軍の行動予測を的中させ、また同時に日本軍の前線が伝える「戦果」が極めて疑わしいことも見抜いていきます。

     米軍の上陸作戦の場所と日時と兵力をあまりにも正確に言い当てることから「マッカーサー参謀」などと呼ばれた・・・という話は本人の筆によるものですから少し差し引いて読むべきかもしれませんが、かなり優秀な方だったのは確かでしょう。

     戦後の著者はしばらく田舎で百姓をして暮らし、請われて自衛隊に入って情報将校となり、武官として西ドイツに駐在。しかし最後は自衛隊のあり方に失望して辞表を出したそうです。戦後の武官時代のエピソードはスパイ小説みたいで面白いのですが、本書の内容としてはやや蛇足に感じました。

     本書で初めて知った事実も色々ありました。まず太平洋戦争時代の日本軍は陸軍と海軍だけでしたが、米ソを初め列強諸国にはすでに独立した空軍があったということ。どの国でも空軍は戦後にできたと思っていたので、これは意外でした。しかし本書によれば、戦時中すでに「軍の主力は航空なり」と言われていて、制空権こそが最重要であると理解されていたそうです(日本以外では)。

     本書でも日米の戦略の最大の違いとして航空兵力の扱いが繰り返し語られています。より高い所を取った方が有利という原則は古くから指摘されてきたもので、昔は山、今は空であると。そして今後は宇宙になっていくという予想は現実となっています。日本はどうするのでしょうか。

     以前読んだ『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』や『日本軍と日本兵 米軍報告書は語る』でも当時の日本軍のダメなところが語られていますが、いずれについても感じたのは、「今の日本人も変わってない」ということです。それは日本企業についても同様で、最近起きた三菱自動車の燃費偽装や東芝の粉飾決算なども、きっと同じような根があるのだと思います。

     教訓を活かすことは重要ですが、簡単ではありません。

  • 戦争の一つの側面。
    なるほど日本の情報戦はこうだったのかと。
    日本のダメさ部分は相変わらず。

    けれど日本の飛びぬけた人材は飛びぬけて優秀で
    常に跳躍する可能性を秘めていると思います。

  • 戦前は大本営情報参謀として米軍の作戦を次々と予測的中させ、戦後は自衛隊情報室長を務めた著者が、太平洋戦争と諜報活動について記した一冊。

    一次資料だけあってその価値自体貴重なのもさることながら、とても読みやすくて、当時の諜報がどういうものであったか、そして太平洋戦争をどう考えてたかがよくわかった。

  • 情報の扱いにおいて、自分では浪花節的感覚は排しているつもりでも、この本を読むとマダマダであるなと認識させられる。
    かの大戦での「ペリリュー島の戦い」以降で、日本軍は最終的に玉砕するも徹底的に米軍を苦しめ抜いた背景(=いかに情報をとらえ、その情報からどのように戦ったか)がよくわかる。

    当書には、戦後の連合軍による日本軍の分析にも触れており、その分析内容よりも勝った相手の戦略や戦術を真面目にレビューする連合軍の姿勢を目のあたりにし、これはもう完敗だな。。。という気持ちになった。

    最後に"兎が速い脚を持っていても、あの長い耳ですばやく正確に敵を察知しなかったら、走る前にやられてしまう。だから兎の耳は、兎にとって自分を守るための最重要な戦力だというのである。(中略)ますます複雑化する国際社会の中で、日本が安全にかつ確乎として生きていくためには、なまじっかな軍事力より、情報力をこそ高めるべきではないか。長くて大きな「兎の耳」こそ、欠くべからざる最高の〝戦力〟である。"とある。

    生涯、情報と向きあってこられ、連合軍にも一目おかれた著者からの提言が心に沁みる。

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