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- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4933672246253
感想・レビュー・書評
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☆☆☆☆
裕福な夫のもとに後妻として入ったエレナ、彼女の生活環境は‘裕福’を絵に描いたようように描かれているが、彼女自身は彼女の育んできた習性から抜けられず、質素で夫に対して献身的なものだった。
エレナは、年の離れた2人の子どもを持つの無職の息子家族を彼女の年金で支えている。
あるとき、エレナの夫が心臓マヒで倒れ、自分の遺産をひとり娘に残す遺書を残す意思をエレナに伝える。そこからの、エレナに心さざ波がたちはじめる。
夫の人生を支えてきた彼女の人生は、夫の遺族年金だけで、彼が築いてきた多くの財産はけっして彼だけが作り得たものではないのに、それを自堕落な娘にすべて相続させるという彼の言葉に触れたとき、「(あなたは)自分のためだけに私をを愛していただけ」という『ヴェラの祈り』で表現されていた、ロシア人男性の‘都合のよい愛’と同じものが、エレナの胸にも去来したに違いない。
「彼のひとり娘と私の息子の家族、この豊かさの異なるふたつの世界」に神に代わってバランスをもたらすことを神は赦してくれるだろうか。そう思っての彼女の行動を私はカメラのこちらから眺めている。
「正義っていったい何だろう」
夫の寝ていたキングサイズのベッドで眠っている小さな命の姿は、エレナの息子が手にした富が、その所有者に相応しくない、過剰さを表現していることを暗示させる。
2017/05/09詳細をみるコメント0件をすべて表示
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