星の王子さま (岩波少年文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • Kindle Unlimitedで読了

    星から落ちてきたぼっちゃんこと星の王子さまと、サハラ砂漠で不時着した飛行機乗りの、しずかで優しい友情のものがたり。

    これも、私は『大人のための童話』だと思う。読書特集で上位にくるのも、納得いった。子供なら、こんな胸の痛むおはなしは、うーん…。もっと違うものを直感的に選ぶ気がする。それにしても。

    それにしてもうつくしい。
    ガラス細工のようなおはなし。

    挿絵も、物語の一部として、とても味わいがある。イラストとか挿画は知っているけど未読という方、どうぞ読んでみて頂きたい。疲れていても大丈夫。どんな時にも読める一冊だと思う。

    これもまた、いい大人になって、今頃の初読。すごく詩的でうつくしいことばたち。君のそばを離れないよって想いは、どうしていつもこんなにもせつなくて、そして守られるのがひどくむずかしい約束になってしまうのだろう。

    美しくて、洒脱で、ゆったりと読んでいたのに、終わりに差し掛かると、かなしくて、泣きたくなって。遠くに行ったひとたちは、あんなにもあの時近くにいて、大好きだったのに。その人達がいなくても、私は生きている。あんなにも寂しかったのに。平気で熱い紅茶を飲んでいる。未来にもまた、私は誰かと離れるのだろう。

    この本の飛行機乗りと、せめて肩を並べて黙って座り、友達になれたらいいのに。

    ルーブルのガラスのピラミッドの下に、星の王子さまのグッズを扱うショップがあって、可愛いものがたくさん売られていた。夏の、暑い休暇の日。私はそこでおみやげにと、可愛らしいリュックを買った。自分用じゃない。プレゼントにだった。

    そのリュックを贈った小さい子は、それを連れて、いろんなお出かけをした。行事にも持っていってくれた。もうそれは、さんざん使ってくたびれて、大人になったから、お別れしたそうだ。他の子がそんなの持っていなくて、からかわれたこともあったかな?それともお気に入りで、思い出になってくれたかな?尋ねることはないけれど。

    一輪のバラや、きつねや、へびのように。

    忘れられない人と出会って、どうかずっと幸せでいてほしい。失ったなにかの星を数えるんじゃなく、嬉しかった思い出の数を、あたたかい手をつないで、数えてほしい。

    ああ、いま思い切り泣いても、皮肉を言わずに抱きとめてくれる、優しい腕があればいいのに。ことんと自分を預けて、ゆっくり息の出来る、あたたかい胸があればいいのに。

  • Kindle Unlimitedで読了。
    訳者あとがきが1973年とありました。訳語や文体が古いものとなってしまうのは仕方ないことかと思われます。他の訳者の本も読んでみたいです。
    この本の中で1番有名なフレーズ「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えない。かんじんなことは、目には見えない」
    心に刻みたい言葉です。
    昔、TVアニメで放映されていたのを思い出しました。
    「あたまの真上に星がある。あれが、あれが僕の星だよ。プチプランス、プチプランス、ルルル……。あまりに小さい星だから、君の目には何も見えない。プチプランス……。だけど、あるんだよ。見上げてごらん。そのうち君にも見えてくるよ。ルルル……星の王子さま」
    今でも完璧に思い出せる主題歌です。

  • 「あんたが、あんたのバラの花をとてもたいせつに思ってるのはね、そのバラの花のために、ひまつぶししたからだよ」

    「めんどうみたあいてには、いつまでも責任があるんだ。まもらなきゃならないんだよ、バラの花との約束をね……」

  • 内容はもちろんのこと、世界を感じさせる挿絵が好き。

  • 箱根の星の王子様ミュージアム行ったから見た。ミュージアム無くなっちゃうのは本当もったいない。ミュージアム行ってから見ると、そういうことかってなるから面白い。

  • 箱根の星の王子さまミュージアムに行ったときに再読。子供の頃は難解だと思っていたけど、大人になるとまた異なる趣を感じる。役者あとがきで書いてある通り高度な童話。
    正直大人になっても分からないところが多い。

  • 自分の中にいる子供性を大事にしたい。

  • はじめて読んだのは小学校四年生の時でした。
    こんなにもすてきで優しい物語があるんだと胸が熱くなったのを、よく覚えています。
    自分も薔薇と王子さまのような恋をしたいとか狐のような友だちを作りたい。王子さまと僕のようにしゃべれる人と出会えたらなんて夢を描いたりもしました。

    子どもの頃の純粋さを思い出させてくれる懐かしくて温かい、そんな本です。

  • 世の中いろんな人がいる
    いろんな人に出会うから私が浮き彫りになってくる

    何かを学ぼうとするんじゃなくて、ありのまま読みたい本でした

  • いつか読みたいと思っていた作品。
    それでも、なかなか読む気になれなかった。

    ずっと以前から、他人と共通の本で感想交換をしてみたかったのだけれども、思いがけない所でその機会に巡り会えた。いや、結果として強要した一面もあるが。。。
    こんな機会が今後訪れるかは分からない。この大切なチャンスにふさわしい作品は一体どれか、始めは浅い読書経験の中からワンダーを選んでみた。
    理由は、レバスケがティファニーで朝食を を好きだという話から自身が鑑賞した経緯から、自分も今まで読んだ本からちょっちょっとチョイスするのが良いと思ったから。
    しかし、どうせなら一緒に読んだ方が楽しそうだという単純かつ、これ以上無い素直な理由にたどり着いて、この作品にしてみた、たみして。

    本を勧めるという行為はこれがなかなか難しくも楽しいもんだ。

    前振りはここまでにして本編の話しと感想に移りたい。

    あらすじ。
    とある飛行士が一人ぼっちでいるところ、星の王子様と出会い、王子様のお話しや交流から、心の内側にしかない大切な物や事の存在を知るお話。

    【作者について】
    1900年にフランスのリヨンで貴族の家に生まれたサン・テグジュペリ
    1943年に挿絵付きの星の王子様を出版し、同年1943年にフランス軍に復帰、
    翌年の1944年にコルシカ島沖合で行方不明となる。

    【読み終わった後のざっくり感想】
    この背景から邪推すると、作者の人生観、人間への願いや祈り、これまでの教訓がこの作品に込められているように思う。
    また、自分の愛する存在を大切にするという事の素晴らしさを謳っているけれども、それを平和というものに繋げていない所に説得力を感じた。
    世界平和のような重苦しいものを持ち出して来ない点において、作品に変な色が混ざらずに綺麗にまとめ上げられていると感じられる。
    優しさと愛を自身の届く範囲のみの大切なものとして扱われている点は本当に素敵だった。
    全ての存在を愛せ、となると宗教臭くなるし、愛は素晴らしいと大声を上げる作品には品がなく煩わしい。
    この作品には簡単そうに見えて、どこか透明なメッセージ性に溢れており、気づかないうちに深く考えさせられてしまう魅力と難しさがあった。

    【作品内容について】
    この作品には、作中で語られている「おとな」が小さな星に点々と住んでいた。
    大人達はとても身勝手だけれども、決して書物の中の登場人物としてではなく、現実でも見かける事が多い。もしかすると、自身とこの大人に共通点を見つけてしまうかもしれない。
    ・支配欲を満たす事しか頭にない王様。
    ・他人からの評価を恐れるあまり、自らを更に追い詰める呑み助。
    ・金もうけに意味を見出すあまり、目的を見失っている実業家、
    ・自分の価値を認めてもらう事にしか執着がない自惚れ屋。
    他にも色々登場する大人は独りよがりに描かれており、決して埋められる事のない欠乏感を一時的に満たすため、孤独に延々と同じ事を繰り返し繰り返し続けていくのだと思う。
    この大人達を自身と照らし合わせて見ると、どこかで共通点を見つけてしまう。
    呑み助の恥ずかしいことを忘れようとする部分や、点灯夫の仕事に言いなりな点に他人事として捉える事が出来ない、うっすらとした不安、焦りを感じてしまう。

    キツネと王子様のお話はこの作品の中でも特に好きだ。
    お互いに関係を築くことの素晴らしさを説き、それは別れを迎えても、その愛は終わりではなく、相手を心の中で想うことが出来る永遠性を見いだせる神聖さにまで及んだ。
    ここでようやく、自分の星の花をどれだけ愛していたのかを知り、責任というものがあるとキツネに諭されていた。
    この「責任」という言葉には少し違和感がある。なぜ違和感を覚えたのか、前後の文章を何度も読み返してみたけれどもハッキリとした答えは見つからなかった。
    責任という言葉は縛り付けるネガティブなイメージがあるから?もしかすると、相手に責任を持つという行為に、自分自身が恐れを抱いているから、なのかもしれない。
    こういった違和感や疑問というのは、海外文学の翻訳や時代背景、あるいは作者自身の言葉の選択により生まれてくる場合と、自身の考えとの完全不一致、見たくない自分の内面が拒絶に似た反応を示す場合とがあると思う。
    今回は、自分の内面から生じた違和感かもしれない。
    ここに違和感を覚えたことを、書き記しておく。

    王子様と飛行士が砂漠で井戸を探す話にも胸を打つところが沢山あった。
    あまりにも多すぎて全ては上げられないけれども、飛行士が王子様の笑う所を好きになった事に、愛情の素晴らしさを羨む気持ちでいっぱいになった。
    p.20では飛行士が笑われた事に対して腹を立てていたけれども、p.154では飛行士にとって掛け替えのない大切なものに変わっていて、人の感情というのはとても美しいと感じる。
    王子様の笑いを、星を眺める事への喜びにまで昇華させた話には、飛行士を心配させまいとする気遣いと思いやり、優しさに溢れており、事実その通りだと思わせる力強さを感じる。
    この作品からは、他者への思いやりや優しさといった愛情がゆっくり伝わってくるだけなく、別れというものの辛さと苦しみ、儚さも教えてくれたので、愛というものが素晴らしいだけでない、とても大切であると考えるようになった。

    【好きな台詞や文章】
    「ちがう、ちがう!ぼく、ウワバミにのまれてるゾウなんか、~ぼくんとこ、ちっぽけだから、ヒツジがほしいんだよ。ね、ヒツジの絵をかいて」p.15

    「ぼくは、あの時、なんにもわからなかったんだよ。~あの花を愛するってことが、わからなかったんだ」p.55

    「そりゃ、もう、あたくし、あなたがすきなんです。~それほど弱みを見せるのが嫌いな花でした。p.59-p.60

    「ぼくは、この世に、たった一つという、めずらしい花を持ってるつもりだった。~えらい王さまになんかなれようがない……」p.115
    「あんたたち、ぼくのバラの花とは、~ぼくのものになった花なんだからね」p.126-p.127

    「さっきの秘密をいおうかね。なに、なんでもないことだよ。心で見なくちゃ、ものごとはよくみえないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」p.127

    「それに、きみは、いまにかなしくなった____かなしいことなんか、いつまでもつづきゃしないけどね~するとぼくは、きみにとんだいたずらをしたことになるんだね……」p.156-p157

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著者プロフィール

フランス・リヨンに伯爵家の長男として生まれる。海軍兵学校の入試に失敗したあと、21歳のときに兵役で航空隊に入隊。除隊後、26歳で民間航空会社に就職し郵便飛行に従事する。同年、作家デビュー。以後さまざまな形で飛行し、その体験にもとづく作品を残した。代表作に『南方郵便機』(29年)『夜間飛行』(31年、フェミナ賞)、『人間の大地』(39年、アカデミー・フランセーズ賞)などがある。『星の王子さま』(原題は『小さな王子』、43年)は第二次世界大戦中、亡命先のニューヨークで書かれた。翌44年7月、偵察任務でコルシカ島の基地を発進したあと消息を絶った。

「2016年 『星の王子さま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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