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- / ISBN・EAN: 4932545987903
感想・レビュー・書評
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原作に忠実な映像化。敬意を感じる
劇中でテレーズの心境は台詞で表現されていないが、小説を読んでも完全に理解するのは難しい
新婚旅行の場面を小説で読んだときは衝撃だった。
ーー 彼はまるではち切れそうな豚のように自分の快楽に夢中だった。豚のように飼い槽の中に鼻を鳴らしている彼の姿を格子ごしにみるのはおかしかった。(でもわたしがその飼い槽だったんだわ)とテレーズは思った。
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「テレーズデスケルウ」観た http://www.imdb.com/title/tt1654829/ … 昔モーリアックを読んだきり忘れてたけど、気にも留めてなかった遠藤周作が翻訳してる理由をこれがカトリック文学だったからだと今回映画を観てようやくわかった。画面内の風景と衣装が美しくて目の保養。邦題テレーズの罪ってのはあんまりだよな
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こんなに、意味もなく、登場人物全てが不幸せそうな映画は珍しい。観ていて途中何度も逃げそうになったくらいあまり得意ではない。
一族のために結婚させられたテレーズが犯す些細ではない、重い罪。
罪を犯すまでのテレーズはただ、幸せではない時間が流れる退屈な女。
その鬱憤の溜まったなかで、彼女にしてはほんの出来心だったのかもしれない。
罪を犯した後は、ただ無意味に土地に閉じ込められて出口のない地獄のように過ぎていく日々。
一族の繋がりで、テレーズを表面上は大切にしていた夫は、罪を知って一転、無用の人間だが家名のためとテレーズを飼い殺しにする。
オドゥレイトトゥが演じる主人公のテレーズの心がなかなか読めず、共感もしないが、それでも後半少しずつだけ人間味を帯びてくる。
ただの退屈な女に見えたけど、実は憐れで、寂しい、本当の情熱的な愛を探し求めていた女だったのかも。
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飛行機の中で鑑賞。
オドレイ・トトゥ演じるテレーズが、家柄の良いおうちに嫁ぐ話ですが、嫁いで楽しく過ごしておしまい、とはいきません。だって、フランス映画だから。
人間の幸せは、平均的なもので測られるものでなく、はたまた他人の定規で決められるようなものではないということを痛感させられます。
結婚することが幸せ、お金があることが幸せ、子供を授かることが幸せ、家庭を持つことが幸せ、そんなのはただ膨大な情報を平均値であらわしたものであって、それが個々人に当てはまるわけがないのだと、まるであざ笑うように、幸せなものをつかんだはずのテレーズはどんどん不幸になっていきます。
閉塞感と周囲の無理解が、画面から匂い立つようで、観ながらも息苦しくなっていく中、テレーズがくだした決断は、ある意味、当たり前というか予測可能だったのだろうなと思います。
幸せの定義、自由の定義。それはそもそも多様なものであって、型にはめようとすること自体がおかしいのかもしれません。
決して幸せな映画ではないけれど、テレーズにとっては、あれは幸せな結末だったのではないかなと、薄暗くも爽やかな気持ちになりました。
この複雑怪奇な気持ちで鑑賞を終えさせるのが、フランス映画の真骨頂ですね。 -
高校生の時に原作を読んで意味不明だったけれどこんな話だったのか。ふわりと「愛」らしきものが生まれかける瞬間を描いている。しかもそのきっかけが「殺人未遂」であるというのがなんとも面白いし倒錯している。