がらくた少女と人喰い煙突 [Kindle]

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  • 2015年8月28日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 矢樹純作品。
    Kindleで読める純粋な「小説」は3冊リリースされており、こ
    の作品がいちばん古い。最後までとっておいたのは、唯一の
    “長編”であるから。

    抽象的なタイトルだが、実際にはストレート過ぎるくらいの
    ド直球タイトル。「がらくた少女」はリアルにがらくた少女と
    して登場するし、「人喰い煙突」もその通称にキッチリ謂われ
    のある象徴的な建造物として物語にそびえ立つ。それでもタイ
    トルの印象は不可思議で不気味なのだから凄い。

    これまで読んだ短編集と同じく、決して性急で無いゆっくりと
    した文章。しかし、行間から滲み出る何とも言えない薄気味悪
    さはここでも相変わらずで、舞台設定の異様さと組み合わせら
    れると息が詰まりそうになる程。
    基本的に“怖い”んだね、この人の文章って(^^;)。

    正直、「或る集落の●」や「かけがえのないあなた」などの
    短編集で感じたソリッドな恐怖感は稀薄だが、ミステリー部分
    の秀逸さがそこを見事に補っている。途中で「コイツが怪しい」
    と思った人物は完全に的外れ(^^;)で、結局最後の最後まで
    犯人が誰か解らなかった。ちょっと悔しいな、コレは(^^;)。

    矢樹純を最も評価出来る点としては、ホラー&ミステリーとい
    う実は厄介な両ジャンルの共存をちょうどいい案配で配分出来
    る作家であることだと思う。
    こういうテイストの作品ならいくら読んでも苦にならない。
    次回作品、マジで期待してます!

    ・・・その前にこの作品の前のエピソードを文庫で読まなきゃ(^^;)。
    できればKindleで読みたいんだけどなぁ・・・。

著者プロフィール

1976年、青森県生まれ。実妹とコンビを組み、2002年、「ビッグコミックスピリッツ増刊号」にて漫画原作者デビュー。『あいの結婚相談所』『バカレイドッグス』などの原作を担う。2012年、「このミステリーがすごい!」大賞に応募した『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』で小説家としてデビュー。2019年に上梓した短編集『夫の骨』が注目を集め、2020年に表題作で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。

「2022年 『残星を抱く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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