矢樹純作品。
Kindleで読める純粋な「小説」は3冊リリースされており、こ
の作品がいちばん古い。最後までとっておいたのは、唯一の
“長編”であるから。
抽象的なタイトルだが、実際にはストレート過ぎるくらいの
ド直球タイトル。「がらくた少女」はリアルにがらくた少女と
して登場するし、「人喰い煙突」もその通称にキッチリ謂われ
のある象徴的な建造物として物語にそびえ立つ。それでもタイ
トルの印象は不可思議で不気味なのだから凄い。
これまで読んだ短編集と同じく、決して性急で無いゆっくりと
した文章。しかし、行間から滲み出る何とも言えない薄気味悪
さはここでも相変わらずで、舞台設定の異様さと組み合わせら
れると息が詰まりそうになる程。
基本的に“怖い”んだね、この人の文章って(^^;)。
正直、「或る集落の●」や「かけがえのないあなた」などの
短編集で感じたソリッドな恐怖感は稀薄だが、ミステリー部分
の秀逸さがそこを見事に補っている。途中で「コイツが怪しい」
と思った人物は完全に的外れ(^^;)で、結局最後の最後まで
犯人が誰か解らなかった。ちょっと悔しいな、コレは(^^;)。
矢樹純を最も評価出来る点としては、ホラー&ミステリーとい
う実は厄介な両ジャンルの共存をちょうどいい案配で配分出来
る作家であることだと思う。
こういうテイストの作品ならいくら読んでも苦にならない。
次回作品、マジで期待してます!
・・・その前にこの作品の前のエピソードを文庫で読まなきゃ(^^;)。
できればKindleで読みたいんだけどなぁ・・・。