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- / ISBN・EAN: 4988111248947
感想・レビュー・書評
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ボーナスか、休職明けの主人公サンドラの解雇かという、再投票がある週明けまでに、同僚の家を回って自分に票を入れてもらえるようにお願い行脚をする週末という、シンプルだけどかなり悲壮感漂うストーリー。
音楽が最後まで一切なく、ドキュメンタリーのようにサンドラと夫の切迫した空気だけがひたすら響くような緊張感。
「ボーナス諦めて、私を復職させてよー」
こんなこと、たとえ図々しい人間でも、後先のこと考えればなかなか同僚に言いにくい。
ましてやサンドラは精神安定剤をオーバードーズしちゃうような不安定な人間なので
、これはなかなかハードル高い。
色んな同僚の家に初めて出向いて分かる、それぞれの生活や事情。
これが後々の結果に左右してくるわけで、、
日本の文化から言えば、ん??って思うことも多いですが、ヨーロッパの人はドライです。
ハートフルな要素は少ししか無いですし淡々としてます。
こういうのはハリウッドならコメディにしちゃいそうですが、ひたすらシリアスに、むしろサスペンス調に最後まで何が起こるか分からないから淡々としてても飽きずに一気に観れました。
実はこういう抑揚のない演技が一番大変だったりするのかもね。
悲壮感漂う、幸薄なマリオン コティヤールはけっこう良かった。
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病気療養から職場復帰をしようとしたサンドラだが、その場で解雇を言い渡されてしまう。サンドラの復職か、ボーナスかを社員投票で決めた結果、ボーナスが選ばれたというのだ。
しかし、その投票で、所長が社員たちにボーナスを選ぶよう圧力をかけていたことが分かり、再投票が週明けの月曜に行われることに。サンドラは同僚たちに、自分の復職に投票してくれるよう、週末を使って頼みにいくのだが…
この選択はかなり酷……。ボーナスに投票した社員たちも絶対の悪人というわけではなく、普通の人なのが辛いところ……
サンドラの訪問に対し、心底申し訳なさそうに、もしくは困惑しきったように、サンドラの復職には投票しないという同僚たち。さらには居留守を使ったり、何しに来たんだ、と邪険に扱う人もいます。
でもそれは、彼らにも生活があるため。何かしらのローンだとか、家族のためだとか、そうした理由です。そしてそうした対応を取られるうちに、サンドラは自分の行為を物乞いみたいに感じてしまいます。
しかし、人を傷つけるのが人なら、人を救うのもまた人です。一度はボーナスに投票したことを泣いて後悔する同僚。夫と大喧嘩しても、サンドラの復職を支持する同僚。契約を更新してもらうため、所長ににらまれることはしたくないが、それでもサンドラに対して投票しようか悩む、契約社員。そして、精神的に追い込まれるサンドラを励ます優しい夫。
派手なシーンのない作品なのですが、それでも魅せるのは、いい意味でも悪い意味でも人の本質が、サンドラと同僚たちの会話のシーンから見えてくるだと思います。
再投票の行方とラストのサンドラの選択は、とても清々しい! いきなりのクビ宣告、週末の同僚たちとのやりとりと、精神的にボロボロになり、やぶれかぶれになりかけたサンドラ。そんな彼女がこの選択にたどり着いたのは、そんな中でも、人の痛みを知り、人のやさしさに触れ、人生悪いことばかりではない、という結論にたどり着いたからだと思います。
しんどい場面もありながらも、希望の残るいい映画だったと思います。 -
同監督の他作品と同様、淡々としたロングテイクのなかに、切るような演技とも言えない演技が光る映画。感情というものは唐突に、そして表現されるのではなく噴出するものだということが本作を見ているとよくわかる。クライマックスは痛快。
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ダルデンヌ兄弟の新作は、ヨーロッパで、日本で、ますます多くの人たちが直面している職場の残酷な状況がテーマ。。
鬱病をわずらって休職していたサンドラは、ようやく復職しようとしていた矢先に、自分が解雇されたことを知らされます。それも、ボーナスをとるか、自分の復職をとるか、どちらかを選べと言われた同僚たちの投票によって、自分の解雇が決定されたのだと。
私なんてみんなにとっては無価値なお荷物なんだ、私の味方なんてひとりもいない。ショックにうちのめされ崩れ落ちるサンドラに、夫のマニュは、週末の2日間のうちに同僚たち16人をひとりひとり説得するべきだと言う。
あるいは動揺し、あるいは冷淡に対応する同僚たちに頼みを断られ、信頼していた友人には門前払いを受けて、そのたびにさらに深く傷つくサンドラ。もういいから、これ以上彼女にこんなことさせないで、と観ているこちらがマニュに懇願したくなるほど。
でもこの夫は、決して彼女といっしょに同僚を説得しようとしたり、彼女に対して「家族のためにがんばるべき」とは言わないのですね。薬が手放せず、時には自暴自棄になって別れ話さえ切りだす妻に対して、自分自身で同僚たちを説得するようにくりかえし促すのは、彼にとっても辛いはず。でもそれは、ここで彼女が無力感にうちのめされてしまわないため、そして、彼女にはこの困難を乗り越える力があることを、彼女自身よりも信じているからなのです。
説得の結果、考えを変えてくれる者は決して多くない。でも同僚たちと話をするなかで、彼らにとってこの選択は、決して贅沢を選ぶことでも、彼女の価値を否定することでもなかったこと、苦しい選択を強いられて彼ら自身も良心の呵責に苦しめられていたことが明らかになっていきます。彼女への同情と家族の要求の板挟みになって苦しみ、あるいは上司からの圧力を恐れながら、それでも自分のした選択を見直そうとする者もいる。ひとりひとりが抜き差しならない状況の中でそれぞれの選択をしていることを理解するからこそ、サンドラは同僚たちを責めたり同情を求めたりはしないのです。
そして迎える月曜日の朝。もう結果は問題ではないのかもしれないと思うことができるようになったその瞬間、監督はサンドラの前にひとつの難問を投げ出します。彼女が答えを出す一瞬の間に、選択を問われているのは観客ひとりひとりにほかならない。あなたは自分自身の問題としてこの困難に立ち向かえるのかと。
同じように苦しんでいる者たち同士が、選択を迫られ、加害者の立場におかれてしまう。辛く苦しい状況を描きながら、これほどに人間を肯定してくれる映画もまたありません。
ダルデンヌ兄弟の作品の中ではいつも小さな奇跡が起きる。仕事の中で傷ついたことのあるすべての人たちの心に、傷をむしられる痛みとともに、きっと小さな救いをもたらしてくれるはずです。 -
体調不良から休職をしていたが、ようやく復職できることになった矢先の金曜日に、上司から解雇を言い渡されたサンドラ(マリオン・コンティヤール)。
解雇を免れる方法は、16人の同僚のうち過半数が自らのボーナスを諦めること。
ボーナスをとるか、サンドラをとるか、月曜日の投票に向け、サンドラは家族に支えられながら、同僚たちを説得に回る。
愛とかすかな希望を抱いて、彼女の長い週末が始まる…。
不景気を理由に弱い者を切り捨てるかボーナスか選択させる状況はフランスだけでなく世界的に広がっていて、弱者切り捨てではなく、富も苦労も分け合い共存する方法を考えるきっかけになる映画です。
自分がやっていることは物乞いと一緒ではと迷いながら家族や友人の支えを得て、少しずつ強くなっていくサンドラを演じたマリオン・コンティヤールの演技が印象的です。 -
うつ病からの復職希望者を従業員が拒否すれば1000ユーロのボーナス、拒否しなければ今いる従業員を一人解雇。さあ、あなたはどちらを選択する?私ならボーナス一択ですね。投票結果後の社長の提案に対して"彼女自身が決断"したわけなので、そこまで考えての提案だったとしたら、あの社長は相当な策士だと思う。
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体調不良から復職し働こうとした矢先にリストラが決まった女性。部署内でボーナスのカットか彼女の解雇がの投票で決まったのだと言う。上司に週明けの再投票を約束させた彼女は週末に同僚達を訪ね歩く。
これはなかなかエグい話。みんなそれぞれ苦しい暮らしがあってボーナスは欲しい。そんな同僚達をひとりひとり説得していくのはさらに苦しい。
以下ネタバレ。
同数票になり解雇となるも会社が部署内の分断を嫌がり、任期切れの人を切った後の再雇用を提案。誰かが解雇されて自分が残ることを主人公が嫌がり会社を去るんだけど、やっぱり小さい集団での椅子取りゲームって人の心を削りすぎる。雇用と生活をある程度切り離さない社会は怖い。 -
2016/3/25 想像してたイメージではなかったし、仕事復帰したい!という熱い思いは感じられなかったけど…結局 回りに与える影響や 解雇イコール ボーナスどちらか?人の選択肢やラストでは
自分が同じ視点に立てた時に スッキリ 気持ちが新たになったって事かな?自分ならどーだろう?って考えるキッカケにはなったけど…最終的には自分が何処に向かってるか?ちゃんと知る事が大切なんだね。映画的には特に感動はなかった。 -
マリオン コティヤール演じるサンドラがうつ病から職場復帰しようというタイミングで、解雇を言い渡されます。サンドラを解雇するか、従業員のボーナスか選ぶ投票を行わせた結果だったのですが、投票に不正が有り再投票を行うことになります。そこでサンドラは従業員仲間を説得しようと検討します。。。
舞台であるベルギーの法律はわかりませんが、従業員の投票で解雇を決めるなんて、違法にはならないのでしょうか。その設定がなかなか納得できず、映画に集中できませんでした。
大変な状況になって手のひら返したような対応になる同僚、サンドラのために一緒に闘ってくれる同僚、、、
サンドラ自身も変わって行きます。
マリオンコティヤールが全然キラキラ感のない、うつうつとした人に見えて、さすが一流女優!と思いました。
新興国の隆盛で、仕事がない閉塞感はこれから日本も味わうことになるのかな、とも感じました。