エコール [DVD]

監督 : ルシール・アザリロヴィック 
出演 : マリオン・コティヤール  エレーヌ・ドゥ・フジュロール  ゾエ・オークレール  オルガ・ペイタヴィ=ミュレー  アナ・パロモ  ベランジュール・オーブルージュ 
  • Happinet(SB)(D)
3.78
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本棚登録 : 177
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953067080

感想・レビュー・書評

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  • INNOCENCE
    2004年 フランス 120分
    監督:ルシール・アザリロヴィック
    原作:フランク・ヴェデキント『ミネハハ』
    出演:ゾエ・オークレール/ベランジェール・オーブルージュ/リア・ブライダロリ/マリオン・コティヤール/ベランジェール・オーブルージュ

    森の中にある寄宿舎、新しく届いた棺桶を取り囲む白い制服の少女たち。やがて棺桶の蓋をあけると、中から一人の少女=イリス(ゾエ・オークレール)が現れる。イリスを取り囲む少女たちは6人、全員違う色のリボンをしており、これは年齢(6~12歳)を表している。新しくイリスが加わったため、少女たちはリボンを交換していく。最年長のビアンカ(ベランジェール・オーブルージュ)は紫のリボン。イリスは最年少の赤いリボン。

    序盤、観客はイリスの目線でこの状況を少しづつ知っていくことになる。森は壁で囲まれており、中には同じような寄宿舎が5つ。それぞれに同じように学年違いの少女たちが7人づつ。7時に起床して、9時からは授業。校舎に全員が集まり、学年ごとに勉強。といっても教師は二人だけ。自然と生物について教えてくれるエディット先生(エレーヌ・ド・フジュロル)と、バレエを教えてくれるエヴァ先生(マリオン・コティヤール)。

    エディット先生は片足が不自由で杖をついており、少女たちの間では、彼女はかつて寄宿舎の生徒だった頃に脱走しようとして足を折られたのだという噂が囁かれている。寄宿舎には召使と呼ばれる老婆が一人づついて、少女たちの食事の世話をしてくれる。男性は一人もいない。最年長の紫リボンの子たちは夜の9時に集められており、そこで何をさせられているかは秘密。

    少女たちは家族とも会えず、閉じ込められているが、森でブランコに乗ったりフラフープをしたり踊ったりして遊んでいる彼女たちの姿はとても牧歌的で幸福そうでもあり、まあ要するに一種のディストピア。

    やがてイリスは他の寮の同じ赤いリボンの少女ローラを仲良くなるが、ローラはこの環境になじめず逃げ出したがっており、ある日ついに湖に浮かべてある小舟で脱走を図るも、小舟には穴が開けられており彼女は湖に沈んでしまう。

    さらに青いリボンの少女たちは1年に1回訪問する校長先生(もちろん女性)の前で踊りを披露し、選ばれた一人だけが外の世界へ連れていってもらえることになっており、踊りの得意なアリス(リア・ブライダロリ)は早く外に出たい一心で頑張るも不合格。ショックで寝込んだあと、突如壁をよじのぼり脱走を図るが…(彼女がどうなったのかは映画ではわからない)

    やがて冬になり、最年長のビアンカの卒業が近づく。一つ下の紺リボンのナディアは、世代交代のためビアンカに連れられて9時の集会に参加することになるが、連れていかれたのは劇場。そこで最年長の少女たちは夜ごと「観客」を前に踊りを披露していたのだった。この観客だけがシルエットながらどうやら男性。

    少女たちは蝶の羽をつけており、どうやらこの出し物は蝶の一生をダンスで表現しているようだ。教師たちは少女らを青虫になぞらえ、蝶の脱皮を観察させたりしてきた(そして蝶の標本を作ったりも)。演技の最後で蝶に扮した少女たちは床に倒れ息絶える。象徴的な場面だ。

    ビアンカとナディアは、終幕後、観客のいた客席にそっと降り、彼らが出て行った扉を開け地下に通じる通路を見つけるが、召使の一人に阻まれ、さらに観客が払うお金でこの学校は運営されていると告げられる。ビアンカは卒業=外の世界へ出ることに不安を感じるようになるが、ついにその日は来てしまう。

    大時計に隠された秘密の通路を通って地下道から地下鉄のようなものに乗せられて出ていく彼女らの姿になぜか「出荷」という言葉が頭をよぎる。そして脳内に流れ出す「ドナドナ」…。映画しか見ていないが『約束のネバーランド』の設定は、この作品(原作)から影響を受けているのかも?とちょっと考えた。

    どう考えても少女たちは大人たちに性的に搾取されるために「飼育(純粋培養)」されているとしか思えないのだけど、予想に反してラストでは、外の世界に出たビアンカが、ある程度の自由と若者(男性)との恋を知っていくかのようなほのめかしで終わった。まあ解釈はさまざまだろう。そして残されたイリスたちのところへはまた新しい少女が棺桶で運び込まれてきて…。

    原作はフランク・ヴェデキントが1903年に発表した小説『ミネハハ』。ずっと読みたいのだけど図書館にもない。この映画『エコール』の翌年に別の監督が同じ原作で撮った映画もあるが、そちらも未見。この『エコール』は映画館で見損ねてからずっと観たかったのだけど、まさか今になってアマプラに入るとは思わずビックリ。

    監督のルシール・アザリロヴィックは、ギャスパー・ノエのパートナーで、初期の短編『ミミ』はそれほど好きじゃなかったけど(映画館で見た)、2015年の『エヴォリューション』(これも映画館で見た)はものすごく大好きで、今思うと、『エヴォリューション』は『エコール』の少年版であり未来版だったのかもしれない(https://booklog.jp/users/yamaitsu/archives/1/B01N0ZMS1B

    わざと少し褪せさせたような映像はノスタルジックで大変美しく、少女たちはそれぞれ違う魅力がありみんな可愛かったし、私自身こういう映画が大好物ではあるのだけど、ただガチで少女を性的対象にしているような人間には見せたくない作品でもあり(6~7歳の子たちは基本パンツ一枚で水あび、12歳設定のビアンカもヘア出しヌードがある)少し複雑な気持ちにはなる。2022年現在では、もうこういう作品は撮影できなさそうだ。

  • 美しいのひとこと。

  • ついに観れました、ずっと観たかった『エコール』!!
    とても不穏で可愛いかったです。と同時に物語は凄みを帯びてもいて、アリスの選別シーンでは和やかな感じがかえって怖かった……。でもそんな世界観がものすごく好み。カメラワークも良かった(笑)
    関連した人形写真集に、陽月さんの『Ecole(エコール)』がありますが、いつかこちらも手に入れたい!
    箱庭の中の少女……。澁澤龍彦の『少女コレクション序説』を彷彿とさせます。

  • 川の流れ。棺桶から裸のイリスが登場する。
    迎えるのは、少女たち。森の中にある学園。
    6歳から12歳の少女だけの世界。
    少女たちは、水遊びして、バレエのレッスンをする。
    2人の女教師。豊かな森なのに、閉ざされている。
    従順こそが、幸福になると言われる。
    イノセント、無垢、無邪気、純真。
    森の中で、あそぶ 少女たち。
    ここから、抜け出るためには、少女でなくなる時。

  • 高い塀で外界と遮断された森の中の学校に、6歳の少女イリス(ゾエ・オークレール)がやってくる。そこでは6歳から12歳までの少女たちが年齢を区別するリボンと白い制服を身につけ、ダンスと自然の生態を学んでいた。やがて、男性のいない女性だけの閉ざされた世界にイリスは順応していくが、1人の少女が脱走を図り…。

    外界に閉ざされた森の学校で集団生活する純粋無垢な少女たち。学校の存在意義、厳しい規則、最年長の少女が夜中に外出する理由など謎だらけですし、美しい映像、性的なものや犯罪的なものを匂わせる描写などが相俟ってとても神秘的です。世界観や少女の儚さを楽しむ映画だと思いますが、教師役を演じたマリオン・コティヤールに一番魅力を感じた私にはあまり嵌まりませんでした。

  • 少女映画として、これ以上ない出来。
    少女から女になるまでの、世界に対する怪しさと早く冒険したくて飛び出しそうになる危険を孕んだ多感な時期を描ききっている。
    二度と戻らない少女時代、その美しさごと乗り越えなければならない。

    MIMIと同じ監督なので、空気が似ていて、音響はギャスパーノエ映画でお馴染みのあれ。

  • その道の人々の間で話題になったことは知っていたが、なんとなく避けていた作品。

    自分の下司で下世話な感性を試されるかのような設定。

    しかし映像の端々は非常にきれいで、リリックな描写がすばらしい。
    森の描写、じゃれあう少女たち。
    これはすごい! と思ったのは、ビアンカによる自慰を彷彿させるシーン。
    客の残していった手袋をはめて、自らの足をなでるシーンは非常に官能的だった。

    ほか、テーマ性はなんとなくわかるが、言語化しようとすると結構長くなるので、ひとまずこのへんで。

    ≪ネタバレ!!≫
    校長による選別を経て身請けされるひとりの少女と、
    選ばれなかった少女たちのバレエ(お遊戯レベル)。
    このふたつによって資金が調達される学校。

  • 同じ《ミネハハ》という小説をベースとした別映画を最初に観たせいか、常になにか起こるんじゃないかという緊張があった。
    脱走を試みた少女の溺死やちょっとしたサディスティックな展開はあるものの終始少女の無垢が際経つ演出。
    その無垢さが怖くもある。

  • 少女たちの住む森

    外の世界は危険かもしれない
    でも、中の安全な世界にいるだけじゃ物足りない

    外にあるのは何だろう…


    不思議で絵本のような映画

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