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感想・レビュー・書評
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巷でとても評判がいいみたい。
ピアノの調律師をめざす若者の話で、ピアノの音や、その若者が育った場所の風景や、とにかくいろいろな表現が詩的で美しい。そして、いかにも宮下奈都さんの作品らしく、上品でピュアで、心洗われるような、善きものだけでできている、といった感じ。そういうのはどの作品にも感じるけれど、これがいちばん強いかも。
でも、個人的には、ちょっともの足りなかったような。主人公の若者の、前向きな心の声ばかりが多い印象で、ちょっと飽きてくる、というか。。。ちょっとファンタジーめいたところもあるかなあ。。。
登場人物それぞれが魅力的だっただけに、もっと各人の突っ込んだ話を読みたかったかも。まさか続編が出るとか?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2016年の本屋大賞という事で期待して読んでみたが、中身はそれ程引き込まれるものではなかった。調律師という仕事の細かい描写は興味深かったが、物語のクライマックスも特になく。。。主人公の調律師としての成長を描いた物語だった。
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外村くんがこの先どのように調律師として成長していくのか続きが気になった…。
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心地よい気分になる小説だった。今、読んでよかった。好きな作家さんに会えるのって幸せ。
羊と鋼の森を、一歩ずつ一歩ずつ。
2018.1.14 -
いい
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≪音楽は人生を楽しむためのものだ。はっきりと思った。決して誰かと競うようなものじゃない。競ったとしても、勝負はあらかじめ決まっている。楽しんだものの勝ちだ。≫
かけだしの調律師である主人公が、調律師として人として、成長していく物語。
音のイメージを表す言葉が、独特で面白い。
(ピアノをあらわす言葉として、「フェルト(羊)」と「ミュージックワイヤー(鋼)」という言葉を使ったりとか)
「音」の表現はほんとうに個人的なものだと思う。ある人にとっての「良い音」が別の人にとっては違ったり。
また、「こんな音が好き」というのを言葉にする場合も、「明るい音」「暗い音」「きらびやかな音」…など言うけれど、同じ言葉を使っていても、頭のイメージしている音はそれぞれ違うかもしれない。
そんなとらえどころのないものを、目指す「音」になるように作っていく調律師というのはすごい職業だと思う。
じんわりと、本に書かれている言葉が沁みていくような、良い本でした。 -
優しくて美しい世界。醜いものはほぼ登場しない。読んでいると木漏れ日のさす森のなかにいる感覚に。
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主人公の性格がそうだからか、淡々と、静かに一歩ずつ進んでいく印象の物語だった。
大きな事件は何も起こらない。
過去に戻ったりびっくりするようなどんでん返しといった、構成の妙もない。
でも、先を歩いていきたい(ページをめくりたい)と思わされる。
読み終わった時、背中を押されたような、勇気を分けてもらったような、そんな感傷に浸っていた。 -
「蜜蜂と遠雷」でピアニストの話を読んだので、今度は調律師の話を。ピアノの話ながら、全ての働く人に通じる話だった。要求通りにこなしても満足されなかったり、要求外のことをして感謝をされたり、一生懸命やっても認められなかったり、不完全と思っても満足されたり…。正解が無い中で、調律師それぞれの仕事観があって面白かった。
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2016年本屋大賞受賞作。ピアノ調律師のお話。静謐で淡々とした文章で、少し物足りなさと感じながらも、あたたかな気持ちになった。
天才ではないが故に、思い悩み戸惑い成長していく内向的な主人公とともに一歩ずつ歩んでいる感じ。