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感想・レビュー・書評
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日替りセールに出ていたのでサンプル確認して購入。
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企業が不祥事を起こす度に深々と頭を垂れる責任者の姿が報道されるが、多くのメディアは彼らを糾弾するばかりで事実関係を仔細に分析することはなく、センセーショナリズムにかられて不正確で感情的な記述が目立つことも多い。本書はそういった報道とは異なり、不祥事が発生する原因と対策について真摯に検討したものだ。
第1章 企業不祥事とは何か
第2章 企業不祥事の原因を考える
第3章 事例研究
第4章 コーポレートガバナンスと4つの安全装置
第5章 わが国のコーポレートガバナンスの問題点
第6章 実効性のあるコーポレートガバナンスの構築に向けて
第7章 コーポレートガバナンスの新潮流
1章と2章では不祥事の定義と背景、3章はケーススタディー、そして4章以降では不祥事を防止するための制度と今後への提言が述べられる。3章の事例研究で取り上げられているのは以下の10件。最初の2件を除くと他は最近5年以内の事件で、記憶に新しい。
大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件(1995)
NOVAの破綻(2007)
東京ドームシティ「舞姫」事故(2011)
安愚楽牧場問題(2011)
大王製紙巨額借入事件(2011)
オリンパス粉飾決算事件(2011)
カネボウ美白化粧品事件(2013)
JR北海道検査データ改ざん問題(2013)
みずほ銀行反社会的勢力融資事件(2013)
阪急阪神ホテルズメニュー偽装事件(2013)
通常、企業不祥事には積極的な犯罪意思を持つ「悪人」がいるわけではない。悪人がいるならそれは単なる「犯罪」であって「不祥事」ではないだろう。
良かれと思ってした行為が裏目に出てそれを隠そうとしてますます傷が深くなったとか、ただ慢心や責任感が希薄な社員が多くてミスが重なったとか、経営判断が著しく甘くて破綻したとか、ことなかれ主義が行き過ぎてトラブルを矮小化しようとしたとか、どこにでもありそうな原因が発端となって起きている。
その「発端」は明日にも自分の身を襲うかもしれない。ミスやトラブル自体を皆無にすることは不可能であり、その時どう対処するかが不祥事になるか否かの分かれ道なのだ。
本書はコーポレートガバナンスという概念に集約しているのが目次から明らかなように、経営者視点で不祥事を防ぐ仕組みづくりを提言している。しかし下っ端の社員としても、ミスやトラブルを不祥事に繋げないような意識を持つことが重要だ。そのためにも、こういう本を読んで過去の失敗事例を学ぶことには価値があるだろう。 -
リスク管理上は、人は善でも悪でもなく、弱いものであるという人間性弱説に立つべき
生産性向上、コスト削減のために、会社のシステムが頻繁に変わります。それに伴い、現場の人間が覚えなければいけないことが膨大に出てきます。そうなると、訳が分からず、面倒くさがったりして、定められた手順を無視する、違うことをする衝動に駆られてしまいます。
システムに適合できない現場が、現場がスムーズに使えるようなシステムにしてないシステム作成者、システムとは何ぞやを理解できていない幹部、誰が良くないのでしょう。みんな良くない?
一担当者としは、真面目に取り組むといくら時間があっても足りないとは頭で理解しつつも、サボるくらいなら真面目に取り組んだほうがまし、という感じで臨めたらと思ってます。