人生を面白くする 本物の教養 (幻冬舎新書) [Kindle]

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  • 幻冬舎
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  • 現代を代表する博学・教養の人ともいえる著者が書かれた「本物の教養」についての本であるので、とても興味深く読んだ。

    著者の教養の定義は、「教養とは、人生におけるワクワクすること、面白いことや楽しいことを増やすためのツール」とされている。補足的にはこうも述べられていた。

    「人からの評価を高めたり箔をつけたりするものではなく、自分の人生をより彩り豊かにするためのもの」

    著者は、「教養の本質」を「自分の頭で考えること」と述べている。自分の頭で考えれば、腑に落ちる。この腑に落ちるということが、行動力やバイタリティの源泉であり、本気を呼び起こすのだと。

    うーん、この考えがすでに、腑に落ちる!(笑)

    著者は、戦後の日本を通り越した今の日本に少々危機感を持っておられる。

    戦後の日本は、アメリカを参考モデルとして、先進国にキャッチアップするという明確な目先の目標があった(著者は、ルートが見えている登山と言っていた)。
    それに、自然増の人口増加の流れがあった。それで高度成長がどんどん波に乗っていった。

    これまでは、放っておいても成長していく条件が揃っていたのであり、自分の頭で考える必要はなかったのだと指摘。

    終身雇用、年功序列、定年の三点ワンセットで自然とうまく回り、人口増加傾向は社会保障や福利厚生を自然と潤してきたと。

    しかし、それが通り過ぎて、周囲の競争力が高まり、人口は減少傾向に入り、夢の国はガラパゴスとなった現在、もはや「自分の頭で考えない」は通用しなくなってしまった。つまり、「自分の頭で考える」=「教養」が必要だという主張である。

    現在の日本は、国際競争力が低いと指摘したうえで、経済社会への女性進出率が低いことや農産物の輸出量が少ないことなどは、今後の日本の伸びしろであると我が国のポテンシャルに期待している。

    本書には、著者の流儀や技が多く紹介されている。著者自身もそれを読者に参考情報のスタンスで提供されている。つまりは参考にして、自分の頭で考えて、活用してくださいという暗黙のメッセージなのでしょう。

    そうした意味で、一番面白く感じたのは、第3章の「出口流・知的生産の方法」。この章の節タイトル(例えば、「数字・ファクト・ロジックで考える」等)を追っていくだけで、出口流を実行するチェックリストとしても使えそうだ。

    例えばその節では、源平の合戦で、平氏が滅んだのは、当時の西日本の気候不順というファクトが農作物の不作を生み、それが平氏の敗けにつながったという挿話を入れて説明されている。著者の豊富な知識は、本書のいたるところで教養として息づいている。

    著者がいつも語られていることだが、著者自身が教養を培ったものとして「本」「人」「旅」の3つを挙げられる。本書でも、「本を読む」「人と会う」「旅に出る」の章が設けられていて、著者の体験談などが紹介されている。いずれも、その行動の根底には常には「面白い」がある。

    「面白い」ということを自由な心で追求していくことで、こんなにもアクティブな人生を送れるものかと感じられる本でした。

  • 『「人間社会とは、いびつな欠片が集まって一つの安定状態を形成するもの」なのです。大事なのは「いびつな欠片」を指摘することではなく、全体としての「安定状態」を把握することです。』

    「批判的思考」という言葉は、色んなところで大切なことだと述べられているけど、「何でもかんでも揚げ足を取る」ようなイメージがあって正直苦手な言葉だった。けれど、
    「本質との整合性が保てているか分析すること」
    もっとざっくり
    「よく考えること」
    と解釈してみたら、随分と気持ち的に楽になった。

    本書とは関係ないけど「哲学」という言葉も取り留めがなくて苦手だったけど、批判と同様に「よく考える」と取ってみると、かなり身近に感じられるようになった。

    これはある種のライフハックだと思う。

  • 自分の頭で考える必要性を身にしみて感じる本。例えがとても分かりやすく、さらさら読めた。自分って、全然頭使ってないな、ということがよく分かった。笑

  • 自分がどこに向かうべきかがわからなくなったことで、時間には追われるものの、ある意味怠惰な日々を過ごしていると感じ、何か変わればと手に取った。何かにワクワクしたり、面白いと感じる事が少なくなっていたけれど、身の回りの出来事や物事の背景理解をすることで、もっと生活や仕事を楽しむことに繋がると思った。※教養は自分を武装するために必要なものではなくて、人生を味わい深くし、楽しむためのもの

  •  教養をつけるには、「人と会うこと」。

     実際に会いに行くこと。読書を通じて、歴史上の人や遠隔地の人と会うこと。旅をすることも結局「人と会うこと」、と。

  • 「今日の皆さんが一番若いのです。」

    啓発される。
    相手の外見は違う、ならば中身もそうだ。
    部下をパートナーに置き換えて考える。
    機密情報ではなく、日常からいかに考えるかが大事。
    歴史は1つしかない、解釈がたくさんあるだけだ。
    預金で重要なのは流動性。自分がいなくなっても会社は回る。

  • 会社に依存しすぎない事は大事。
    精神的に、依存しすぎていた自分に気づきました。
    教養をつけて、活力にしていきたい。

  • - 「自分の頭で考える」際には、「 腑 に落ちる」という感覚が一つのバロメーターになります。「何となく腑に落ちないな」という感覚が少しでもあれば、安易な妥協はせずに探究を続けることが大切です。別の見方を考えてみる、さらに情報を探してみるなど、いまでは情報を探る方法はたくさんあります。
    - 厳しいことを言うようですが、「どちらとも言えない」を選んでしまうのは、ほとんどの場合「考え不足」が原因です。本当は、その問題に正面から向き合って十分考えていなかったり、手持ちの情報が少なかったりするのが原因なのに、「それは難しい問題だから」と理由を置き換えて、自分を 誤魔化しているのです。
    - 物事を考える際には理屈だけではなく、常に数字(データ)を参照して考えることが重要です。数字に基づかない理屈は説得力を欠いていると疑うべきです。 「国語ではなく算数で」考えるということは、「数字・ファクト・ロジック」で考える、と言い換えることもできます。
    - 物事の本質は、たいていシンプルなロジックでとらえることができます。なぜなら、人間は本来シンプルな生き物だからです。逆に言えば、シンプルなロジックで理解できないものは、本質をとらえていない可能性があります。

  • audiobook
     豊かに生きるための教養の必要性と高め方について述べた本。自分の頭で納得行くまで考えられること=教養としており、自分の人生を豊かにするためのツールとして教養が大事だとしている。
     教養と聞くと、幅広で一定の深さをもった知識があることというイメージを持っていたが、本書では、それらの知識を活用して自分の頭で考えられることを教養としている。また、教養を高めるために必要なのが人・本・旅の三要素であり、本は歴史軸、旅は地域軸で異なる人と接することのできる手段ということ。
     言葉の定義はさておき、ニュースやSNSの情報に踊らされ、自分の頭で情報の信憑性や逆の可能性に目を向けられない人がいかに多いことかと思う。限られた情報収集の時間を自分の興味のある情報に目を向けがちなので、意識的に知識の幅を広げることにも取り組まないとなぁと思う。ウクライナ侵攻なんかも、戦争や虐殺は絶対によくないものだとは思いつつも、中東の歴史についての認識も薄く、ロシア側の理屈の理解とかが全く十分でないなぁと感じる今日この頃。

  • 仕事の時間は一年のうち20%でしかないのに、人生の大半を占めているような気になっている。実際には圧倒的に長い時間を占めている他の時間を有効に使うこと、そして20%しか占めていない仕事の時間は本気で行って、人生を有意義にすること。

著者プロフィール

出口 治明(でぐち・はるあき):立命館アジア太平洋大学(APU)学長。ライフネット生命創業者。1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒。日本生命入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退職。同年、ネットライフ企画(株)を設立し、代表取締役社長に就任。2008年4月、生命保険業免許取得に伴いライフネット生命株式会社に変更。2012年上場。2018年より現職。著書に『全世界史(上・下)』(新潮文庫)、『0から学ぶ「日本史」講義』シリーズ(文春文庫)、『歴史を活かす力』『日本の伸びしろ』(文春新書)、『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)、『一気読み世界史』(日経BP)、『ぼくは古典を読み続ける』(光文社)等多数。

「2023年 『人類5000年史Ⅴ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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