Aではない君と [Kindle]

著者 :
  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • 少年犯罪の事、深く考えさせられました。
    一つの犯罪がどれだけ多くの人を傷つけるか。
    自分も大きな傷を負うことになるんですけど、
    その時には気づけないんですね。
    親として子供にどう向き合えばいいのか?
    難しい問題です。
    親は大人であるが、完璧な大人などいないのですから
    挫けるし、辛い事からは逃れたいと思ってしまいます。
    どちらの親の立場にもなりたくないと思いました。

  • 付添人制度についてよくわかる。
    ストーリーは最後に2転3転していい意味で先が気になるのでいいかも。オイラはついついイッキ読みしてしまった。3時間ぐらいで読めます。

  • 離婚した妻が引き取った息子が同級生を殺した…そのショッキングな事実に直面した父親は、彼がなぜそのようなことを起こしたのかを探ろうとするが、息子はなかなか心を開かず、苦悶の日々が続く…

    殺人という卑劣な犯罪、そこに走るまでの息子の心情、事件に直面した父親と母親…。なにひとう明快な答えを得られようもない様々な感情が渦巻く中で、それでも息子とともに生きてゆきたいという父親の想いが響く物語です。

    少年の「こころを殺すのとからだを殺すのとどちらが悪いの」という問いに至った事情があまりに厳しくて、思わず君は悪くないところもある、事情はわかる、と言いたくもなるけれど、「からだを殺すほうが悪い」ときっぱりと答えを出したこの物語は潔いというか、そうでないといけない、と道をただされたような気分にもなりました。

    からだを殺すと、なにもかもを取り戻すことができない。究極の解決法であるようで、きっとなにひとつ解決できない、最悪の解決法なのでしょう。

    また、終盤で、息子が心を開ける場所は、唯一殺した相手の家のなかにしかない、という描写が、厳しくもおそらくは正直なところの現実なのだろうなと思いました。事情を知っても仲良くしてくれる人は現れてくれるかもしれない、けれど、心からすべてをさらけ出せる場所は、あの家にしかない、という痛烈な皮肉。あまりに残酷な結論ですが、ああ、そうだろう、と同意を得もしたのでした。それが、人を殺すという犯罪の重さなのだ、と。

  • 自分の子が人を殺してしまったらどうするか。加害者の家族の視点から少年犯罪を描いた秀作。重たいテーマながら抜群のリーダビリティ。事件について固く口を閉ざす息子。徐々に明かされる事件の真相。戸惑い揺れる父親の心を丁寧に描き出していて引き込まれる。息子が父の愛を心から信じることができたラストの場面が感動的。

著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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