ルック・オブ・サイレンス DVD

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監督 : ジョシュア・オッペンハイマー 
  • バップ (2016年1月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988021144742

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ルック・オブ・サイレンス DVDの感想・レビュー・書評

  • 1965年、「共産主義者」とレッテルを貼られた百万人もの人々がインドネシアで大量虐殺された。前作が『ゆきゆきて神軍』を思い出させる迫力で加害者の自己欺瞞に迫ったのに対して、今回の作品では、身内を虐殺された貧しい家族の今を、静かに見つめている。
    手のひらの上で跳ねる小さな種を見つめながら、死んだ息子に語りかける年老いた母親の姿が胸に迫る。自警団に連行され、切りつけられながらも這って家まで逃げてきた息子を、虐殺者の手に渡してしまったという悔恨を抱え、加害者と冷淡な傍観者に囲まれてきた長い年月の下でも、彼女の胸の底に燃える憤りは消えていない。夫は認知症がすすんでしまって、死んだ息子のことを思い出せない。事件の後に生まれたアディは、なんとか母親の想いに接近しようとしているけれど、兄に会ったことはない。母親と死んだ息子の記憶を共有できる者は、もう家族の中にもいないのだ。
    殺害行為を自慢げに語る加害者たちの様子をジョシュア(監督)の撮った映像で観て、アディは兄を殺した者たちに会いに行くことを決める。殺された兄を直接知らない彼にとって、この行為は復讐ではありえない。それは、傷痕の中から生まれ出た自分という存在を確認し、もういちどこの社会と繋ぎなおしたいという希望の行為だったのではないだろうか。その決心においては、加害者の観点が公的な歴史となっているインドネシア社会の中で育っていくことになる彼自身の息子という存在は大きかったに違いない。
    当時のことを自慢げに語ったり一般論で切り抜けようとしていた加害者たちは、犠牲者の遺族という立場を明かしたアディの前で激しく動揺を見せながらも、「共産主義者には信仰心がなかった」「国家のためだった」という言いわけをもちだして、責任を逃れようとする。そんな相手に対して言葉で切り返すことなく、黙って見つめ返すアディのまなざしは、そうした薄っぺらい言葉の背後にいる「人」を見つけようと、あるいは、自分自身と対話するかのようだ。
    加害行為に加担した者は、母親の弟という、ごく身近な親族の中にさえいた。身近な隣人や親族までもが、大義名分さえあたえられれば、平気で軍の手先となって人を殺せるようになったという事実は、関東大震災時の朝鮮人虐殺を思い出させる。信仰心も厚く良き隣人良き父親であった彼らをそのような化け物に変えた力、「狂気に陥らないために犠牲者の血を飲んだ」というその狂気は、いまアディや彼の幼い息子が吸っているこの空気の中にも満ちている。重くたちこめる闇の中でビデオの画面を見つめ続けるアディの姿が苦しい。
    前作よりも特に衝撃的であったのは、この映画ではまさに日本の私たち自身の姿を見せられているように感じたからだ。最後の2つのインタビューは、いずれも当時の事件に直接的に関わっていない、加害者の遺族(家族)と犠牲者の遺族との対話である。つまり、前作が焦点をあてた虐殺の加害者たちの姿が、太平洋戦争で加害行為を行った私たちの祖父たちに重なるとすれば、これは、日本の侵略戦争で犠牲となった人々の家族と対面する、私たち自身の姿でありうる。「祖父たちのそんな話など聞きたくない」と目の前の映像から目を背けて怒りをぶつけるのか、それとも、やさしい祖父が犠牲者の血をすすったという事実に衝撃を受けながら、自身のその衝撃を深くつきとめようとせず、すぐに呑み込んでしまえる振りをするのか。
    日本においても「和解」があまりにも簡単に口にされる。しかしなぜ被害者は受け入れられないのかを理解するには、この映画が静かに告発している否認のメカニズムがなぜ今も作用し続けているのか、自分自身を「沈黙のまなざし」で見つめ返さないことには不可能だろう。それでも、加害者の子孫である私たちもやはり、傷痕から生まれ出た者たちなのだ。その傷に自分自身を繋ぎなおすこと。それが未来へ... 続きを読む

  • ☆☆☆☆☆インドネシアで1965年に起きた、共産主義者の100万人規模に及ぶ大量虐殺を、被害者のうちに1人の弟が、同じ街の加害者側の眼鏡作りのための視力検査で

  • 前作とはまた大分趣の違うアプローチ。話が進むにつれ、この主人公の彼や家族の安全性はどう確保できているんだろう?と心配になる。それ位怖い。前作同様、間に挿入される”日常風景”(子どもたちの遊ぶ姿や老父の日常)がまたその思いを強める。

  • 大義と命令を与えてやれば、人を殺しても平気でいられるのだ。
    アイヒマン実験のように。俺は悪くない、あいつらは悪いやつなんだ、命令されたから、そういう時代だった。
    後に何が残るのか。裁かれない勝者は世にはばかる。今の日本を見ているようだ。日本負けてるのに。清算などできようはずもない。

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