脳を最適化する ブレインフィットネス完全ガイド [Kindle]

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  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (380ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 体に良い食事、運動、ストレスをコントロールする。
    昔から言われている体に良いこと、というのは科学的に裏付けられているということ。どうしても現代人は運動不足になるし、食事もファストフードなどが増える。これをどう克服していくか、というのは簡単なようで本当は難しい。

    ただ、高負荷の運動なんてやらなくてもいいし、つまらない勉強をする必要もないだろうから、背伸びしてちょっとできるかできないかのところでチャレンジしていく、という姿勢が、人生を豊かにして終わらせてくれるのだろう、と思う。

  •  端的な感想は、非常に総花的。換言すれば、広く浅く。
     その為か、私にとっては未知の内容が余りなく、やや凡庸に感じた。

     本書の内容は端的に言えば、『脳は鍛えられる』という一文に尽きる。私が若い頃、脳細胞の増殖は20代でピークを経てあとは減る一方(しかも不可逆的)、従い脳の能力も応じて低下してゆく、そしてそれは仕方のない事だ、と喧伝されてきた。

     現在の研究では、そのような低下してゆく脳の能力を向上できるという。方法はさまざまで、運動で鍛える、コンピュータゲームで鍛える、食事で調整する、はたまた社会的なつながりを強化する等々の方法が提案されている。

     なかでもなるほどと思ったのは、エクササイズの強度の閾値について、脳に有用な運動的エクササイズのポイントは『心拍数と呼吸数』(P.125)が上がることと述べている。つまり『近所まで楽しみながら歩く』だけでは不十分という。この譬えはわかりやすい。つまり負荷がかかって初めて”効く”ということだ。とは言え、同箇所でウォーキングだけでもポジティブな効果があることが述べられている。はい、これからはウォーキングよりややきつめにエクササイズします笑。

     もう一つ示唆的であったのは、認知症に関する記述。
    エクササイズにより認知症の発症は先延ばしにできるという。とは言え脳細胞の死滅傾向は不可逆的である(脳の能力とは違って)。その先延ばしが意味することは、『認知力が高いまま生きることができる割り増し時間を買い、認知症を抱えて生きる時間を短くする』(P.169)と表現している。これはまさに日本人が望んでやまない「ぽっくり死」ではないか!日本は長寿リスクが叫ばれるが、家族に迷惑をかけないように生きようとするのならば、お金を用意して介護施設に入るよりきちんと脳を鍛えた方が良いのではないか、と思ってしまった。

     他方、いまいちだなーと読中感じたのは、どうにもマーケティング臭がプンプンするということ。どの製品が一番脳に効くとか、空軍向けに納入した製品は非常に脳の認知力向上に役立ったとか、少なくとも全9章中2章でこのような話になっていた。そうした製品の能力を信じないのではないが、仮に製品に依存しないと脳力が上がらないとしたら、それってタイトルの『脳を最適化する』という表現にもとるのでは、と感じた。まあそもそも筆者がブレインフィットネス業界で起業しているCEOなのだからポジショントークになるのは当然でしょうが。。。

    ・・・
     
     纏めると、この本はビギナーの方が脳の可能性を広く浅く学ぶ上では適していると感じました。特に中高年など認知能力や記憶力の低下が気になり始めた方向けの本だと思います。ただ、脳についての本は私ならば『脳を鍛えるには運動しかない』(著:ジョン・レイティ)を激押しします。この本の方が論のフォーカスが運動に定まっており効果についてもはっきりしているように感じました。

     すべての方のコンディションがよりよくならんことを。

  •  テレビを見るとバカになる。コロンビア大学の研究で証明されてしまった。コロンビア大学での、レジャー活動(読書、文章を書くこと、パズルゲームをすること、グループでの議論、テレビを観る、など)による脳機能の変化についての研究で、脳機能低下に結びついた唯一のものが、テレビを観ること。さらにテレビばかりを見ていた被験者の一部が年が経つにつれて認知障害を起こしていったという。つまり、パズルゲームや読書は認知障害のリスクを減らすが、対照的に、テレビを観ることは認知障害のリスクを増やすことにつながるという。またミシガン大学でのワーキングメモリに関する実験でも、テレビだけを見ていたグループと比較して、議論やパズルを行ったグループは課題のスコアが良かったという結果が出ている。

     本書では脳に適切な刺激を与えることで、脳機能を強化するだけなく、アルツハイマー病の発症を遅らせる、あるいは発症しても進行を緩やかにすることができる、ということを様々な実験結果をもとに示している。さらに脳のトレーニングだけでなく、ボランティアなどの社会的な活動、身体エクササイズ、食事の重要性などにも触れ、脳機能を強化することに必要なことは何かを明らかにしている。

     本書が一番伝えたかったことは、「脳は大人になると固まってしまい、後は機能低下するだけ」という常識を覆し、「大人の脳も良くなる」ということなのだろうが、「テレビを見るとバカになる」が証明されてしまったことの衝撃は大きい。薄々気づいていたものの明確な証拠がなかった事が2つの研究で示されてしまった。なお、ミシガン大学の実験では、テレビを観る時間を減らし、"節約した"時間を使って認知力を刺激する活動をすることでスコアが良くなることも明らかになっている。テレビを消す。これが脳機能を強化するために最初にするべきことのようだ。

  •  脳には可塑性があり、ただ単に老いて滅びていくのではなく、その都度形成され作り直されているのだという理論に基づいている。脳のフィットネスを提唱するものはほかにもいろいろあるが、様々な立場からの学問的根拠をあげようとしている点がユニークだ。
     結論から言うとここで紹介されていることが論証できるものであるのかは分からない。それは著者自身が繰り返していることである。学術的根拠はないが、それをやれば効果があがるであろうと考えられているものが列挙されている。
     脳機能の劣化を送らせるには、運動をしたり、創作や楽器演奏などの趣味的なことに力を入れること、勉強の習慣、食品の摂り方など、どれもこれまで語られてきたものであるので、目新しい情報は少ない。でも可塑性という大前提のもと、高齢者でも脳の成長は期待できると言い切っていることには勇気がもらえる。

  • これといって新規性のない話。

  • kindleの月替わりセールで購入

  • 本文の構成は、一般被験者による質問に対して、研究者が研究結果をもとに回答していく構成になっている。

    そのため、正確な回答をしようと研究内容の説明や他者の論文の引用などが多く、簡潔な回答までには至らず「可能性が高い」といった回答ばかりが続く。

    明確な回答を求めている読者にとっては、とても憂鬱な読書時間が続き、最新の研究結果を求める読者であれば、多くの論文を読む時間の節約になる。

    結果重視の方は、本書4012のAppendixから読むことをお勧めする。

  • 書籍名の通り、脳を鍛える(可能性が高い)方法が記載されている。一言で言えば、脳を鍛える方法に決定論はない。が、鍛えることは可能そうだ。飽くなき探究心を持ち、能力を高めたい人には、一読を勧める。

    余談だが、脳こそ、人類最後の未開の地なのかもしれないと思った。

  • 【脳の最適化】

    A.人間の脳には、約1000 億もの神経細胞(ニューロン)が存在し、これがネットワークを形成することで、脳は機能する。脳機能を支えるニューロン・ネットワークは、繰り返し刺激を与えるとつながりが強まり、刺激しなければつながりは弱まる。これは、「脳は鍛えることができる」ことを意味する。

    B.学習や新しい技術の習得は、脳の神経的な結合を構築し、強靭にする。例えば、ピアノ演奏を学ぶと運動野が激しく活動する。だが、上達するとニューロンの活動が低下するため、チャレンジの度合いを上げる必要がある。

    C.社会的なつながりが、認知力が低下するリスクを減らす。よって、図書館、病院、学校などでボランティアを行ったり、読書クラブなどに参加したりするとよい。

    D.慢性的なストレスは、神経細胞に悪影響を与える。ストレスをコントロールし、脳を健康な状態に保つには、瞑想、ヨガ、散歩などを通してリラックスするとよい。また、笑うことも、ストレス緩和に有益である。

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