天国でまた会おう 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • フランスを舞台に、第一次世界大戦からの復員兵を主人公として、彼と彼を取り巻く人々との、めくるめく展開されていく出来事を追う。冒険小説、という分野のようなんだけど、主人公は内気で気弱、戦争でのトラウマにも悩まされ、それゆえ心躍る物語、とはなっていない。しかし!そんな主人公を中心に据え、円を描くように、あるいは他の登場人物が描く円と同心円状に交わっていくストーリーの進行のさまは、「いったいこの話はどこに向かっていくのか?」というスリリングな期待を抱かせ、さらに物語の終点においての着地のさせ方には感慨深いものを感じさせてくれた。なかなか読ませられます、秋の夜長にぜひ。

  • 2022/7/13 Prime Day Kindle Saleにて369円でDL購入。

  • 長編小説。
    ジャンルはミステリーではなく文学作品だとか、冒険小説だとか言われているよう。
    史実と虚構を織り交ぜた小説であるのは間違いない。

    第一次世界大戦のフランスがドイツを破るところから始まる。
    主人公はフランスの兵隊である、アルベールとエドゥアールの二人の青年。

    この二人の所属する部隊の上官であるプラデルの命令で、ほとんどドイツの降伏が見えているドイツ部隊に突撃を命じられるが、部隊の士気は上がらない。
    そこでプラデルは味方兵を偵察に行かせるのだが、その兵二人を背後から撃ち殺す。
    そして他の兵の士気を高め、戦闘に行かせる。
    その事実を分かってしまったアルベールは、プラデルによって穴に落とされ、生き埋めにされる。
    それをエドゥアールが助けてくれたのだが、エドゥアールは口を撃たれ顎がなくなってしまう。

    アルベールはエドゥアールを看病し、そしてエドゥアールが死んだことにして、他人になりすまし帰郷する。
    エドゥアールの父親は大富豪であり、エドゥアールには姉がいる。
    プラデルはエドゥアールの姉のマドレーヌと結婚する。
    父親、姉、プラデルはエドゥアールが死んだと思っている。

    プラデルは義父の後ろ盾もあり、汚い手を使い事業家としてどんどん儲けていく。

    一方アルベール達は密かに暮らしていたのだが、エドゥアールの思いつきで 慰霊碑を造るという詐欺を思いつく。

    物語は進み プラデルの悪行は暴かれる。
    エドゥアールはたまたま走ってきた父親の車に飛び込み死ぬ。
    アルベールは彼女と二人で詐欺で手に入れた金を共に高飛びする。


    ざっと、こんな粗筋だが、感情が入り乱れ本当に面白かった。
    ただ ラストがあまりにも 呆気なくそこに至るまでが濃密だっただけに、もう少し厚みのあるラストにして欲しかったというのが感想である。
    ラストがもう少し濃厚なら、間違いなく星5つにしていた。

  • (2021/238)エドゥアールが計画した大それた詐欺話にアルベールも同意してしまう。フランス中を巻き込むことになる計画がどうなるのか、神経質で不安を隠しきれないアルベールを通して見ている僕もハラハラさせられっ放し。一方、汚いやり方で儲けようとしてきたプラデルは窮地に立たされ、詐欺を計画した奴を見つけ出さないと身の破滅。アルベールの悪夢の一つであるプラデルが追い始めたことで僕のハラハラは最高潮に。ミステリじゃなくても、こんなにのめり込むストーリーを描き切るルメートル氏に脱帽。

  • 前回読んだルメートル作品が『死のドレスを花婿に』でして、こちらは正直残念な感想だったのですが、『天国で~』は本当に楽しかった!個性豊かな登場人物たち。第一次世界大戦直後のフランスの空気。冒頭で主人公ふたりはひどい目に遭わされるも、そこから単純な復讐劇にすすむでもなく、曲がり曲がって物語は意外な終幕へと。映像化したらさぞかし豪華な作品になるでしょう。

  • うーん、期待はずれ。
    どのキャラも好きになれなかった。

  • 第一次世界大戦後のフランスを舞台にした退役軍人の話。終戦直前、上官プラデルの強引で無茶な作戦でひどい目にあったエドゥアールとアルベールの物語。
    「終わりに・・・」を読むと、一部は史実(兵士の遺体発掘事件)に基づいた話のようである。また、様々な作家(ホメロス、ガルシア=マルケス等)から借用された部分があるらしい。「その女アレックス」のインパクトには負けているが、「その女アレックス」とはまた違う味わいでよかった。ハヤカワミステリ文庫から出ているが、ミステリのカテゴリーに入らない。

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