月刊群雛 (GunSu) 2015年 11月号 ~ インディーズ作家を応援するマガジン ~ [Kindle]

  • NPO法人日本独立作家同盟
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感想・レビュー・書評

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  • 安定感がある号だった。執筆陣に参加回数が多い方が揃ったのはもちろんだが、作品の出来も安定しているという事でもある。
    今号最大の目玉は最終回を迎えた「リアリストの苦悩」だろう。ミニマムな設定ではあるけれど、話のスケールは非常に大きかった。早くパッケージ化された作品が読みたい。でもって、その次に掲載されているのが「Yの悲劇」だったのが、久々に群雛らしい組み合わせだなと思わざるを得なかった(笑)

    ・夕凪なくも『99%の真実と、1%の嘘』
    こういうじわじわくる怖さが夕凪さんだよな~と久々に作品に触れて実感した。色々とスキを与え過ぎな主人公である。

    ・波野發作『オルガニゼイション』
    結局自分はどちらかと言うと、スローテンポのオルガニゼイションが好きなんだなと実感した。後編への期待が膨らむ。「階段を上る」という単調なシーンを、様々な表現で乗り切った箇所が秀逸。
    暇な時に海辺でボーッと水平線を眺めたりしているのですが、一歩間違えれば大地くんと同じ目にあっていたかもしれない。

    ・くろま『リアリストの苦悩』
    思わぬラストにびっくり。興奮のあまり第1話から読み返してしまった笑
    冒頭でも述べたが、必要最低限の登場人物とセットでここまで物語を膨らませたのは「お見逸れしました」の一言です。
    ただ、エピローグはもう少し場面を増やしても良かったかな? と思っている。その一方で、どのような狙いだったかは定かではないが、この物語の設定が「バブル時代」という点を考慮すれば少し想像力が膨らむ。斉藤茂夫氏の著作名を借りれば「飽食窮民」、大多数の幸せな人間とは極端に異なる「アウトサイダー」が悪い意味でエンターテイメントとして消費されてしまう時代だった。草壁高矢もそのワン・オブ・ゼムだったのだろうか?

    ・竹島八百富『Yの悲劇』
    竹島氏がやたらと「問題作」と連呼していたので、いやいや、「日本」も「運命」も「絆」も充分問題作ですから! と思ったのだが、なるほど、これはある意味問題作だ笑
    良識有る群雛の読者は、Yくんの前途を応援しているよ! とご本人に伝えて頂ければ幸いです。

    ・幸田玲『夏のかけら』
    徐々に文章として頭に入りやすくはなってきている。ただ、叔母を含めた三者で食事するシーンで思ったのですが、ストーリーで「無理」をしている部分がより少なくなっていけば良いと思う。

    ・神楽坂らせん『あいぽっど・とーく』
    テンポが「01ー20」と似ているのは、やはり1対1のシチュエーションが肝になっているからだろうか。ポップな丁々発止が心地よい。所々に挟んでいる小ネタにもニヤリとしてしまう。

    ・加藤圭一郎『現代日本の世界』
    社会を鋭く捉える視点。その一方で、シニカルさや風刺は物語の中にもっと溶け込ませていけば読みやすかったかも。

    ・きうり『ひまわり』
    安定の超能力カメラマンシリーズ。シリーズとして大分完成されてきているだけに、あのラストシーンは「えっ!」となった。次回の設定はどうなるのだろう。

    ・魅上満〈表紙イラスト〉
    40代という衝撃の設定に、天下のアマゾンも2日間書影掲載を拒否するほど(大嘘)
    以前拝見した「井の頭~」の挿し絵とも異なる作風にびっくり。あと、インタビューで制作の過程や狙いをきっちり述べている姿に好感を抱いた

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著者プロフィール

日米で育ち、バイリンガルとして講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わり、2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。GoogleのブックスキャンプロジェクトやAmazonのKindle発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。ブログ(oharakay.com)やツイッター(@Lingualina)を発信中。

「2015年 『日本の作家よ、世界に羽ばたけ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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