- Amazon.co.jp ・電子書籍 (213ページ)
感想・レビュー・書評
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たくさんかいてる玉木さんの本。経済史の人で、政治的な部分はかけているから、タイトルほどではないが、問題意識に基づいて、よくまとまっていた。ヨーロッパが世界に覇権を持つようになったのは、19世紀からにすぎないということ。イギリスの覇権は、ポルトガルやオランダのあとにつづいてできたこと。イギリスはポルトガルやオランダと比較して国家的に、中央集権的に事業を進めることができたことなどが、かかれていた。イギリス財政が消費税にたよってあたとおうのは勉強になった。
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この本はヨーロッパが、というよりイギリスがいかにして世界を支配するに至ったかという本である。対象となる時代は大航海時代以降。つまり『銃・病原菌・鉄』の力でアメリカを制覇したその後どうなったか、という話となる。流れをざっくりと書くならば、まずは軍事革命によって国家の形が決まり、次に経済力によって差がつき、そして世界のルールを決めたことでゲームの勝者が確定したというところだろうか。
これを読むとヨーロッパが覇権をとったのは、タイミングが良かったせいではないかと思える。ちょうど軍事的に強くなったところでアメリカ大陸が発見され、それによって圧倒的な経済力を手に入れる。さらにその支配を維持するためのシステムも用意できた。地球の広さとテクノロジーが釣り合うタイミングに立っていた覇者がイギリスというわけだ。コロンブスが想定していた大きさであったなら、勝者は違っていたかもしれない。 -
ヨーロッパ覇権史 玉木俊明
どこそこ朝があれこれでといったヨーロッパ域内での勢力争いの話ではなく、ヨーロッパがいかに域外に拡張し世界の覇権を握るに至ったか、というより大きなスケールでの世界史を扱っている。ウォーラーステインの近代世界システム論をベースにして、ヨーロッパの経済体制の確立とそれが世界に広がる過程が詳述される。そして、その過程の本質が通商、より狭くは海運の歴史として読み解かれるのが特徴的。海運から見たヨーロッパ史とも言える。
現代(=近代世界システムの終焉期)に入るとよくある資本主義批判に急になってしまうのは残念だけど、こういう大きな視点で世界の歴史を捉えるのはとてもおもしろい。
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