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感想・レビュー・書評
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問題に対する答えが見えない状況で、「どう答えを生み出していくか?」はよくある悩み。このような複雑で絡み合った問題は、これまで誰も解決したことがないし誰も答えを知らない。こうした問題には新たな答え=イノベーションを起こすことで解決が可能になる。
U理論は複雑な問題に直面したとき、「どうやるか?」ではなく「どう在るべきか?」を導く方法論。
U理論とは
C・オットー・シャーマー博士(マサチューセッツ工科大学講師)が考えた、過去の延長線上ではない変容やイノベーションを個人やチームで起こすための原理と実践の手法を明示した理論のこと
図にすると「U」を描くイメージ。降りるパート「センシング」、底のパート「プレゼンシング」、昇るパート「クリエイティング」のプロセスで構成される。
問題には2種類あり、ジグソーパズル型とルービックキューブ型がある。
ジグソーパズル型の問題(煩雑な問題)
→自分が問題の外からアプローチする。問題解決に向け、論理的に解決していく。問題を分割してもお互いに影響されないため、それぞれ独立した対応ができる。積み上げた分だけ前進できる。
ルービックキューブ型の問題(複雑な問題)
→自分が問題の一部になっている。要素が複雑に絡み合っているため、論理的解決が難しい。問題を分割してもお互いに影響されるため、片方に対応し前進させるともう片方が後退する。
どれだけ手を尽くしても問題が解決しない、前進もしないと感じるものはルービックキューブ型の問題かもしれない。ルービックキューブ型は複雑で問題を特定するのが困難で、これまでのやり方は通用しない。
このような問題に直面したとき、U理論で考えていくと解決の糸口が見えるかもしれない。
U理論ではイノベーションを起こすため、行為者のあり方に注目している。ポイントは2つ。「執着を手放す」ことと「可能性の未来を出現させる」こと。
執着を手放すとは、これまでの自分の価値観、主義、やり方を捨て、ゼロから考えていくこと。こうすると、周囲から必要な情報が入りやすくなり、今まで見えなかったものが見えるようになる。思考が開かれた状態になる。
可能性の未来が出現するとは、思考が開かれた状態で、アイディアを湧き出させること。「まるで未来から解決策がやって来た」と表現される。降りてきたアイディアは「わけもなく確信がある」もの。それを「なんとなくこうしたほうがいい」と思う方法で進めていく。
アイディアを進ませるうえで大事なのは、質の高い試行錯誤をすること。体験してみるのが良く、手を動かしてとりあえず形にしてみる。そこから周囲のフィードバックを得ていき、具体化していくと良い。形にすることで違った視点で考えられるようになり、良いアイディアが浮かびやすい。注意点は、当初のアイディアに固執しないこと。常に周囲から学び磨きあげる精神を忘れない。
本書はマンガでストーリーによる具体例を出して説明していた。ただ本書の主要なテーマが人間関係を解決することになっており、自分が期待していた内容ではなかった。自分が期待していたのは、工程で起きている問題をどう解決に導くか?を知りたかった。
でも本書を読んで、自分が過去に直面した問題も複雑に絡み合った解決策の見えないものだった。そして解決(というより納得を得られた結論)は閃きを伴っていたし、最初から計画的なものではなかったことに気づいた。
U理論は7つの習慣や人を動かすに似た考えがあると感じた。特に「まず理解に徹し、そして理解される」や「シナジーを創り出す」に似ている。仏教の「執着しないこと」や「瞑想」の考え方も入っていると思う。7つの習慣よりすぐに使える実践的な考え方だなあと思った。7つの習慣でイマイチ効果がない方はマンガU理論が良いかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示