チェンジング・ブルー-気候変動の謎に迫る (岩波現代文庫) [Kindle]

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  • 数万年におよぶ地球の気候変動をテーマにした科学エンターテイメント・ノンフィクションの傑作。ほとんど、一気読みした。

    「海底堆積物の中には 、それが形成された当時の 、海の環境情報がさまざまな形で記録されている 。 『古海洋学者 』と呼ばれる 、大昔の海洋環境を復元する研究者たちの仕事は 、その情報を読み解くル ールを見出すこと 、そして 、そのル ールを用いて過去の気候変動の歴史を読み解いていくことである」
    本書は、数千メートルの海底にある堆積物の採取方法、そして堆積物の酸素同位体の計測方法を冒頭に説明。そして、同位体の状況から数万年前の温度を突き止める過程を記述する。様々な研究者が登場。有孔虫の化石を数百匹集めて観察するという地味な研究経過の話は、面白い。冒頭だけでも、良質なエンターテイメントとなっている。

    中盤以降では、地球の首振りと気候変動の関係、気候変動に重大な影響を与える大洋のコンベアベルト、そして気候変動のスイッチについて記述。単なる学術書ではなく、南極の地底にある巨大な湖の話など、ワクワクするようなエピソードもある。

    繰り返すようだが、本書は良質のエンターテイメント・ノンフィクション。気候変動をテーマにしているが、二酸化炭素を絡めた説教じみた記述はない。お勧めの★5つ。

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著者プロフィール

大河内直彦 1966年京都市生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。その後、京都大学、北海道大学、米国ウッズホール海洋研究所など流浪の時代を経て海洋研究開発機構へ。現在、生物地球化学研究分野分野長を務めている。

「2023年 『石油のものがたり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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