月刊群雛 (GunSu) 2015年 12月号 ~ インディーズ作家を応援するマガジン ~ [Kindle]

  • NPO法人日本独立作家同盟
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感想・レビュー・書評

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  • 意欲的な作品が多く、自分自身も「負けられない!」と思った12月号。SF要素のある作品も多いが、ストーリー自体はベタでわかりやすい。そして、唸らされる展開がある。また、登場人物が個性的で頭に残りやすいのも、他の号とは異なる点だろうか。
    掲載回数だけを見れば、常連さんと新人さんという構図になってしまうが、キャリア云々で作品を語る事はできないだろう。特に「鼠の家」の矢樹氏や「夢のつづき」の泉氏のクオリティは、別の作品も手に取ってみたいと思わせるものだった。

    ・結城浩が語る『セルフブランディングで大切にしていること』
    ゲストコラムには普段言及しないのだが、結城氏の当コラムはホームランの一言。ゲストコラムの私的年間大賞は「僕の電子書籍元年」と本作のどちらにしようか悩ましい。
    結局のところ、「信頼」とは「普段の振る舞い」と密接に関わっており、善き振る舞いを継続して貯めていく事がセルフブランディングなのである。目先のテクニックばかりに囚われず、頭に入れておこうと思う。

    ・波野發作『オルガニゼイション』〈連載最終回〉
    今回で最終回。こちらも群雛の歴史を刻む連載作品になったと思います。
    最終回で一つの到達点に達したというか、これまで線で見えていた「オルガニゼイションの世界観」がそれぞれ交錯し、蜘蛛の巣のように広がっていったと感じました。って、まだまだ続くと書いてあるのを考えると、作者の想像力の深さと広さに脱帽。

    ・矢樹純『鼠の家』〈読切〉
    1回目に読んだ時はラストに「えっ!?」となり、2回目に読んだ時は途中で「あっ!?」と気がつく。そんな技巧が光る作品。単純に「ラストにびっくり」という作品は数有るのですが、本作は驚き以上に「巧い、やられた!」という気分にさせてくれます。ミステリーという視点でも、ヒューマンドラマという視点でも面白いストーリー。お見逸れしました。

    ・米田淳一『6人の出張』〈読切〉
    米田さんの真骨頂はお仕事モノだ! 云々とよく言っているのですが、これも外見は学校モノなのですが、本質は一種のお仕事モノなのかもしれません。以前当方の作品にもこのかたちで言及して下さったのですが、ジオラマで縮小された世界の中に、実社会の現実を投影させるという手法はやっぱり興味深い。

    ・川瀬薫『青い欄干』〈読切〉
    時代や場所はもっと具体的に明示しても良いと思いました。何となくこの時代で、この場所かな? というイメージはあるのですが…。若年層の読者に伝えたいのならば、なおさら。前作よりも物語の起伏があったので、少し勿体ない印象です。

    ・幸田玲『夏のかけら』〈連載第4回〉
    脇役にはどんな役割が付与されているのだろう? と思ったら何かを演じることも無くフェードアウトしてしまった? 主人公二人の関係はだんだん読みやすくなっているので、やはりこういう部分に集中力を持ってかれてしまうのが気になる。残り2話なので、あとは物語の締め方を暖かく見守るのみである。

    ・編集長コラム
    一文だけ引用させて下さい。「少なくとも私は、毎日ロボットのように似たような宣伝投稿ばかり繰り返す人の作品に、興味が湧くことはありません」。本当にこれよーこれーー!!!

    ・晴海まどか『一小路真実は興味がない』〈連載第1回〉
    まずはじめに謝りたいことは、「一小路真実」では気がつかず、「間宮くん」で「これってアレの続編じゃん!」となったことです。いやあ、間宮くんはよく覚えています、凄くイケメンなのにアh(ry)あと、稲浜南高校は稲浜西高校とわりと校風が違うのでしょうか…笑
    久々に「体育館~」も読んだのですが、なるほど、こういう風に繋がっているのかと納得。待望のシリーズ作を引き続き楽しみたいところです。

    ・和良拓馬『戦術ナドロ』〈読切〉
    自分の。あとがきと言い訳は下記リンクをご参照下さい。
    http://will-be-rugby.blogspot.jp/2015/11/blog-post_27.html
    ちなみに、今年のNECは最下位争い中で割とヤバいです。嗚呼…。

    ・泉鳴巳『夢のつづき』〈読切〉
    物語全体から流れる暖かさが凄く良い。自分の好みにドンピシャだった。劇中劇の部分は、登場人物の老人が語りかけているようなテンポになっている。米田さんの作品とはまた異なる視点で、「つくること」への根源的な問いかけをしてるな、と思いました。

    ・よたか『尾張名古屋共和国』〈読切〉
    キャッチコピーがくだらねー、と思いつつ座布団2枚差し上げたい。いや、ちゃんと意味のあるキャッチコピーだと、読んで改めて思ったのですが。
    スケールが大きい話故に、ちょっと駆け足でストーリーが進んでしまった事が勿体ない印象だった。でも、こういう大きい話自体は自分の好み。長編作品として読みたい。あと、「サッカー少年マニュアル」の続編もいち読者として希望しております笑

    ・浅野佑暉『パトリシア』〈読切〉
    「ヒューマノイドが書いたエッセイ」という設定が興味深い。大きなテーマを軸にし、物語へと溶け込ませる事ができている。ここで完結しているお話というよりも、まだまだ続きそうな印象があるのだが、今後の予定はあるのでしょうか?

    ・長鳥たま『紅潔し』〈表紙イラスト〉
    前年がクリスマスで洋風だったけど、本年は和風!? 胸と太股の両方を楽しめるお得な表紙です。

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著者プロフィール



「2023年 『数学ガールの秘密ノート/数を作ろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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