日経サイエンス2016年4月号

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  • 日本経済新聞出版社 (2016年2月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・雑誌
  • / ISBN・EAN: 4910071150466

日経サイエンス2016年4月号の感想・レビュー・書評

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  • 惑星Xの記事は面白かった。あくまでも仮説だが、興味深い。系外惑星の話しはどこかで聞いたことがあるような。

  • 特集は「惑星X」。
    ある程度の年齢以上の人なら、子供の頃、太陽系の惑星を、太陽から近い順に「水(星)・金(星)・地(球)・火(星)・木(星)・土(星)・天(王星)・海(王星)・冥(王星)」と覚えていただろう。この9つの惑星の中で、紆余曲折を経たのが冥王星。軌道が海王星と交差するがために、1997年から1999年までは、最後の2つが入れ替わって「・・・冥(王星)・海(王星)」となった。ところがその後、冥王星と同程度かまたはそれより大きい大きさの天体が複数発見され、これらも惑星に含めるのか、それともこれらも冥王星も惑星から外すのかが議論の対象となった。国際天文学連合は冥王星とそれに類する天体を「準惑星」と定義し直し、かくして太陽系の惑星は8つとなった。
    一度は8つに落ち着いた太陽系惑星だが、実は真の「第9の惑星」があるのではないかという見方がある。実際に確認されたわけではない。謎の第9惑星は、存在するとするならば、かなり遠く(200~1000AU:AUは天文単位で地球と太陽の距離に相当する)にあると見られている。そう推測される理由は、多くの外縁天体の奇妙な軌道である。これらが遠くにある大きな「惑星X」の引力の影響を受けていると仮定するとつじつまが合うのだ。
    もちろん、これらの天体の軌道が奇妙である理由には、銀河全体に働く大きな力の存在や、太陽系がまだ若かった頃に他の恒星から受けた影響など、他の可能性もある。
    とはいえ、ずっと遠くに、地球の「大きなお兄ちゃんか弟」がまだ知られずに太陽の周りを巡っているかもしれないというのは、何やらロマンのある話である。

    素粒子物理と地球物理のトピック、「素粒子で地球を透視」。
    レントゲン写真は人体内部を知るために、よく使用される技術だが、素粒子を用いて、大きな建造物や火山などを「レントゲン撮影」する技術がある。
    素粒子であるミュー粒子や近年話題のニュートリノを当て、透過した粒子を観測することで、内部構造を知ろうというものである。
    ミュー粒子を使った「透視」(ミュオグラフィ)の最初の試みはピラミッドを対象としたものである。この技術を使えばピラミッドに隠し部屋があるかどうかがわかると考えられたのだ。残念ながら隠し部屋は実際には見つからなかったが、このプロジェクトは技術的向上をもたらし、この技術が多くの分野に展開される呼び水となった。現在、火山の内部観察、小惑星の内部探査などへの応用が実行・検討されている。人の立ち入りが難しい福島第一原発の炉心の観察にも、ミュオグラフィを使う試みがなされており、より高精度の観察を行う準備がされつつある。
    ニュートリノはさらに大きな規模のもの、例えば地球内部や太陽内部の探査に役立ちうると見られている。

    医学から「遺伝子スイッチ」。
    遺伝子治療は、タンパク質の遺伝子をDNAの形で生体内に導入し、RNA、さらにはタンパク質を作らせて、いわば内側から体に足りないかまたは薬理作用があるタンパク質を投与しようという療法である。ある種のタンパク質が作れない遺伝性疾患や、あるいは癌に対して、長く有望と目されつつも、臨床ではうまくいかない事例を数多く生じてきた。その大きな原因は、導入した遺伝子の活性を制御できなかったためである。遺伝子が発現する場所や量を制御できず、副作用を引き起こす例が多かったのである。「暴走状態」のようなものだ。
    そこで患部だけで作用させようとする「スイッチ」の発想が生まれてきた。スイッチとしては例えば、DNAレベルで直接働くものとRNAレベルで間接的に働くものがある。DNAレベルのものは、通常は発現されず、ある薬剤を入れるとスイッチが入るようになる。RNAレベルのものは、通常、RNA転写まで進むが、そこで自滅する形のスイッチを持ち、ある薬剤を入れると、負のスイッチが切り離されてタンパク質まで形成される形式である。
    スイッチの1つとして有望視されているのは、昆虫が脱皮する際に働く「エクジソン」である。昆虫ホルモンの一種で、ヒトには特段の作用を持たない。これをスイッチとして使い、癌細胞に特異的にサイトカインを投与する臨床試験が始まっており、ある程度有望な結果が出てきているようである。

    医学から「人々のためのゲノミクス」。
    小さなコミュニティとゲノム医療との出会いの話題である。
    米国には、アーミッシュなど、宗教的理由から、近代的な生活様式を避けて暮らしているを人々がいる。彼らは同じ信条を持つ少数の人によるコミュニティを作っている。
    コミュニティが小さい場合、往々にして遺伝病が顕在化する。成長するにつれて、症状が重くなりがちだが、彼らは高度医療を望まず、また高額の費用の支払いも困難である。
    だが、現れやすい疾患がわかれば、早期に診断し、早期に治療を始めることで、症状の発現を未然に防ぐことも可能である。コミュニティの人々の出資などで、こうした遺伝病に早期対処するクリニックが設立された。
    大きな集団の中で、すべての新生児に対して遺伝病を手当たり次第にスクリーニングすることは現実的ではないが、小さなコミュニティでは、親族などの病歴から、生じうる疾患が予測可能であり、症状の出る前に手を打つこともできる。
    こうしたクリニックに集まった知見からは、予防医学の観点からも、疾患自体を理解する上でも、学ぶべき点は多いと思われる。

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