昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫) [Kindle]

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  • 河出書房新社
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感想・レビュー・書評

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  • ブックオフの100円コーナーで、か行の著者を発掘する企画。本屋大賞第二位&山本周五郎賞ノミネートだそうです。
    25歳の夫を亡くしたテツコと、その後も一緒に暮らす義父(ギフ)、その周りの人たちとの日常的な物語。
    テツコが悲しみを全面に出してこないので、表面上は穏やかな展開なんですが、きっと内面では悲しみや苦しみを感じているんだろうなあと。そういう心の機微を周りの人たちとのやりとりから読み取れると面白いのではないかなと思いました。かなり雲をつかむような感覚なので、残念ながら自分は今一つでしたが。
    重松清の解説を読んでから、本編を読み始めるのが良いかもしれません。

  • タイトル買い。
    ほんわかした連作短編、ほわほわしてとてもよかった。
    解説読んで、なんでほわほわするのかが、あーなるほどねと。
    こういう人の関係とかつながりとかもあるんだなあと、
    こういう生きる力もあるんだなあと、思った。


  • ギャンブルをする夫に妻が「賭け事をやめられないなら自分を刺せ」と包丁を差し出すエピソードが好き。
    仲里依紗さんでドラマ化してたのは知らなかった〜見たい〜

    『人は変わってゆくんだよ。それは、とても過酷なことだと思う。でもね。でも同時に、そのことだけが人を救ってくれるのよ』

  • 忙しない日々の中で、落ち着ける時間をくれた一冊でした。

    テツコとギフの関係が素敵で、お互いに踏み込みすぎず、でも大切に想っているだろうということが伝わってきました。岩井さん視点の二人の生活がとても穏やかで、周りからどう見られようが手放したくないことも納得でした。

    テツコが表立って悲観的ではないからほのぼのしそうになりますが、時折覗く一樹への深い愛に胸が締め付けられます。それでも、誰かと関わって生きていく幸せを感じさせてくれました。

    「動くことは生きること。生きることは動くこと」

  • いい本なのに、読み終えるまで、
    ずいぶん時間がかかった。

    それぞれの話で、今だったり、過去だったり。
    死んじゃったひとも今を生きてて、
    なんだか嬉しかった。みんな、繋がってる。

    ずーっと今のままで。変わりたくない。
    でも、そんな今も変わってきたものなんだよね。

    悲しい思いをしたから、より感じる。

    幸せって、ほんと思いようかもしれない。
    幸せなひとはきっといつでも幸せなんだろう。

  • ひとりひとりに、それぞれのストーリーがあって、
    それが、絡み合って、織りなされるストーリーに
    読み終えて、こころがあたたかくなりました。
    その余韻にしばしひたっています。

    誰もが何かにとらわれていて、
    時がきて手放せても、
    また、別の何かにとらわれる。
    執着と解放
    周りの景色がやさしく感じられました。

  • 再読。
    nothing happen に見える日常の中の、小さな変化や感情の機微に、人間て愛おしいな、という気持ちになる。
    登場人物がみんな憎めない人たちで、これまた愛おしい気持ちになる。

  • 人は変わってゆくんだよ。それは、とても過酷なことだと思う。でもね、でも同時に、そのことだけが人を救ってくれるのよ。p253

  • カレーもパンも大好きなので、この本

    7年前25歳で死んでしまった夫の一樹
    遺された嫁テツコは、今も一樹の父ギフと暮らす
    テツコの恋人岩井さんや、一樹の幼なじみと関わりながら、ゆるゆるとその死を受け入れていく

    解説は重松清さん

    岩井さんの、湿布を剥がしたら《大吉》の文字が出てくるシーン
    判りやすくあざといけど
    こういうの、私も笑ってしまうんだろう

    ゆるゆるとしたストーリー
    脚本家が書く小説ってこういう文体なのかな?
    文章に慣れたらシーンがありありと浮かぶ
    そして、うふふと声を漏らしてしまう

    悪い人が出てこない物語はやはり好きだ

  • なんだか、ほんわかとした内容だった。大切な人を亡くしながらも、毎日をゆるやかに過ごすテツコとギフ。その周りの一人一人の心の揺れ動きや、ちょっとしたトラブル、なんでもない日常、当たり前だけどみんなそれぞれ自分の人生を生きているんだなあと感じさせてくれるお話。ものすごく悪い人も、ものすごく良い人もいなくて、でも人生って色々あるよね、と思わせられました。

著者プロフィール

夫婦脚本家。ドラマ「すいか」で向田邦子賞、「Q10」「しあわせのカタチ~脚本家・木皿泉 創作の“世界”」で2年連続ギャラクシー賞優秀賞。他に「野ブタ。をプロデュース」等。著書『二度寝で番茶』など。

「2020年 『さざなみのよる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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