マンガで読む名作 ソクラテスの弁明 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • Amazon unlimitedで名作のマンガ版シリーズをみつけたので、過去に読んだことのある「ソクラテスの弁明」を読んで見た。画にも迫力があり、原作を読んでからこちらを読むもよし、原作を読む前にこちらを読むもよしである。

    ***

    ペロポネソス戦争でアテナイがスパルタに敗北した。その敗因は誰にあるのか?-主戦論を唱え、不利になるや否やスパルタに走ったアルキビアデス。

    アテナイを恐怖政治に陥れたのは誰か?-市民1500人を処刑した、三十人僭主制の首領・クリティアス。

    その二人を教育した諸悪の根源は誰か?-ソクラテス。

    こうして、ソクラテスは民衆裁判所に引きずり出される。
    告発者は3名。弁論家リュコン、詩人メレトス、政治家アニュトス。

    市民500人が裁判官であり、議長を加えた501人の投票により判決が下される。

    最初に告発者メレトスが弁論を行い、それに対しソクラテスが対抗弁論を行う。

    そもそも、先の3名の告発は、恨みによるものであった。ソクラテスが真の賢者をもとめて対話をしていたときに、賢者ぶっているだけの存在であったこと暴露され、それを根に持ち、でっちあげの告発を行った。

    ソクラテスの弁明により、一つひとつ矛盾点が明らかにされていく。そして、その判決結果はいかに?

    告発者の一人アニュトスは、ニヤリと笑いつぶやく。
    「ソクラテスは決して媚びない。そして正しいことを誰かれ構わず押し付ける。相手がどう思おうとお構いなしにな・・・。だがそうれでは、この国の市民参加の民主裁判には勝てないということだ・・・。

    結果は221票対280票で「ソクラテスは有罪!」

    「正義が必ずしも勝つとは限らない」というのは、今の世も同じ。真実を見極めることができた市民と、見極めることができなかった市民。その幸・不幸について、このあとソクラテスはそれぞれに訴える。

    次の刑を決める裁判では、140票対361票で、「ソクラテスは死刑!」

    真実を述べた者が死刑に処されるという矛盾。ソクラテスの幼馴染クリトンは、処刑までにソクラテスに逃げることを提案する。(これは「クリトン」という作品)

    しかし、ソクラテスは正しい裁判の手法に則って下された判決に従わないのは、法律を破ることであるとして、最後は死刑の宣告に殉じ、毒杯を仰いだ。(これは「パイドン」という作品)

    ***

    本書は弟子プラトンの著である。プラトンは、当初、師のソクラテスに「政治家になりたい」と思いを語ったことがあるが、師の死後、「政治家になることより、正しい政治を行える世の中を作ることが大事である」ということに気づき、師の遺志を継ぐことを決意するのである。

  • サクッと読めた。「ソクラテスの弁明」、気にはなっていたけど、ちょっと読む気はしなかった。7~8年前に「国家」を読んだときえらい難解だったし、その理屈っぽさに辟易したからなあ(そういえば大昔、中高の時にも「ソクラテスの弁明」途中まで読んで挫折したことがあったかも)。という訳でコミックを手に取ったが、ざっと内容を知るだけならこれで充分だな。

    コミックで読んでも、ソクラテスの弁舌はちょっと理屈が勝ちすぎてる。屁理屈や詭弁と紙一重だな。こうやって論破していったら、敵を作ってしまうのも当然だ。

  • この本が書かれた背景やストーリーはよくわかる。
    ただ、この本を読んだだけでは、おそらく表面的なものしかつかめず、「古典を読んだ」と言えるまでの考察は得にくいと思う。

    あわせて別の解説書も読んだ方が良い。

  • 時代背景や、自分より賢い者がいると証明するために賢者を探した様、ソクラテスがなぜ死んだのかは、ストーリーとして理解できた。

    どの時代にも理不尽があり、正義を貫いた者が陥れられるというのは胸くそ悪いが、真実だと思った。


    ソクラテスは、正義を貫いて死刑される道を選んだ。善い生き方とは何だろうか?と考えさせられる内容だった。

  • Amazon Prime Reading で読みました。

    マンガなのですぐに読み終えました。
    哲学に興味を持つ、入り口にはなると思います。

  • 嘘のない人生とは。嘘にまみれた人生とは。

  • 2021.03.29.読了

    Amazon prime limited

    知っているような、知らない話で、
    面白かった。
    ソクラテスこんなふうに最期を迎えるとは!

  • 死というのはいいことかわるいことかわからないのだがら、死刑は罰にならない・・・なるほど。ソクラテス。

  • 現代に生きる私たちとは社会の成熟度も死生観も全く異なるので、何だかフィクションを読んでいるようで全く「なるほど!」と思えるところがなかった。
    この本だけで何かを得ることは難しいと思う。私にもっと教養があれば感じ方も違ったかもしれない…

  • ソクラテスの弟子、プラトンによる書籍のマンガ版。

    「無知の知」とは「死というものを知っている人間は、この世に一人もいない」ということであり、死が悪なのか、善なのか知る者はいないということ。死後の世界について「知らないということを自覚」しているということ。

著者プロフィール

山口大学教授
1961年 大阪府生まれ
1991年 京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学
2010年 山口大学講師、助教授を経て現職

主な著訳書
『イリソスのほとり──藤澤令夫先生献呈論文集』(共著、世界思想社)
マーク・L・マックフェラン『ソクラテスの宗教』(共訳、法政大学出版局)
アルビノス他『プラトン哲学入門』(共訳、京都大学学術出版会)

「2018年 『パイドロス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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