LEAK 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • シリーズの中で1番グッと来た内容かもしれない。
    ラストの比奈子の心情があまりにも純粋で、でもすごく良くわかる、信じたい、理想のようなものの気がした。
    人は簡単じゃない。もっと難しいものだ。
    どこにもなさそうな能力をもっていて、どこにもいなさそうな刑事だけど、どこかにはいそうな女の子なのが藤堂比奈子ちゃんな気がする。
    どうしてかわからないけど、頭で想像しながら読んでいるといつも思い出す友人がいて、いつの間にか彼女が藤堂比奈子ちゃんになっている。不思議だ。
    いつも頑張って走り回ってる感じが似ているからかもしれない。

    ドラマ版LEAKとはやはり筋書きは異なっていたけれど、この展開も好きだなぁと思う。
    死神女史とガンさんの応酬や、厚田班のメンバー、三木捜査官のやりとりがただただ微笑ましくて楽しい。
    今作では比奈子の初めての取り調べのシーンが。
    取調べともいない取り調べだけれど、それが比奈子らしくて惹きつける。
    作品を重ねるごとに成長して行く比奈子を見られるので、時間の経過を感じられて読み応えがある。
    2作目ではもっと捜査会議で思いっきり発言して!頑張って!と思っていたけれど今はおずおずながらも意外と図太くするりと言いたいことは言っているので、比奈子ちゃんその調子だ!と応援してしまう。
    原島を訪ねて行くシーンは、ここであの時の約束が果たされるのか!と感動。

    猟奇犯罪と聞くと、ただの快楽殺人や残酷な話がイメージされ気持ち悪かったり、逆に非日常に高揚感を感じる読者もいるかもしれないけれど、このシリーズは特に人の脆さや歪さ、不完全さが際立ち物悲しい印象を受ける。

    ラストの都夜の再登場はドラマで見ていてわかってはいても、また出ちゃったかーと期待半分呆れ半分です笑
    展開的にと言うことではなく、彼女は本当に病的で、自分勝手で傲慢だから、いろんなことに共感できなかったと言うのが大きいと思う。
    コンプレックスや過去の自分にすがりつきたい欲求は人は誰しももっていて、だからこそあそこまで突き抜けたキャラクターだと同族嫌悪ともまた違うのかもしれないけれど、目も当てられないと思ってしまうのかもしれない。

    まとめて購入してからしばらく読めていなかったので、早く次作も読みたい。

著者プロフィール

2月20日生まれ。長野市出身、在住。長野県立長野西高等学校卒。デザイン事務所経営。2014年、日本ホラー小説大賞読者賞受賞作『ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』でデビュー。ほかの著書に『ON』につづくシリーズの『CUT』『AID』『LEAK』『ZERO』『ONE』『BACK』『MIX』『COPY』『BURN上・下』、スピンオフ『パンドラ』『サークル』『OFF』、「東京駅おもてうら交番・堀北恵平」シリーズ『MASK』『COVER』『PUZZLE』『TURN』など著作多数。

「2023年 『LIVE 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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