戦国の陣形 (講談社現代新書) [Kindle]

著者 :
  • 講談社
3.50
  • (2)
  • (6)
  • (4)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 39
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (210ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 戦国の陣形が巷で言われているように画一的なものではないということを主張した本。
    書かれていることはひどく全うだが、よくよく考えたら当たり前のことであるようにも思う。
    関ケ原に関する考察はちょっと興味深かった。
    それにしても、年月はどんどん過ぎていくのに文献研究が進んで新たな考察が生まれるものなんだなぁ。。。

  • 日本史の陣形というより戦術の解説。
    面白いが、大筋では言っていることは当たり前だが、細部は眉唾な感じ。
    信玄の陣形とか、上杉の兵種別編成とかどこまで本当か?
    川中島の戦いも霧の中の偶発戦説のほうが説得力があるし、関ヶ原の戦いはそこまで違えば、なぜ今の通説が伝わってきたのかと思う。
    小説にしたほうがいい内容だが、読んで面白かったので星3つ。

  • 意欲的な本。著者は日本中世史において研究者が不在のため、通説がまかり通っている軍事の部分に焦点をあて、実際の戦国時代における戦争の実態を、一次史料を元に説明しようと試みており、非常に興味深い。
    ただ、致命的に知識が足りていない様子。一番まずいと感じたのは陣形がどうこうという題名の本で、武経七書の一つ『李衛公問対』の著者を李衛などと書いていること。これは腰が砕ける。また、李衛(正しくは衛公李靖だが)自身が書いた兵法書だと思っているフシがある辺りや、成立年代の取り方などにも慎重さを欠いている。軍事史を述べるのに、現代語訳本も刊行されている本に関する基礎知識が曖昧なのでは、この著者が引くその他の史料に関する検討も、果たして妥当なのか見当がつかなくなる。よく単著を出せたと感心する。

  •  魚鱗! そんなものはない!
     魚鱗と鶴翼で激突したと言う武田信玄と上杉謙信、諸葛孔明が考案したと言う八陣は実際にはいかなるものだったのか。軍団、武士、大名、それぞれの時代の軍隊の統制と集団戦法を再検討し、後世の創作推察を取り除いて、戦国における大規模戦闘を問い直す一作。個人的には室町の合戦の軍団が「一揆」と称されていたことが目から鱗でした。

  • 戦国時代の陣形として鶴翼、魚鱗などがよく知られているが、実はこれらは江戸時代以降に作られた創作であったとは・・・

  • 戦国時代を扱ったドラマやゲームでは必須の陣形という概念。日本の戦争史を紐解いていくと、国内での戦いではあくまで概念としてあったのみで実際に使われた形跡がないということがわかります。様々な思惑を持った主人たちに率いられた部隊を、一つにまとめて運用するなど、どうやっても不可能。陣形や戦略は不可能。あったのは戦術。それは非常に有効で大きな影響を与えるものでした。中国からの輸入はたくさんありますが(条坊制しかり)そうそう当てはまらないものなのだなと面白く感じながら読ませていただきました。

  • 簡単な入門書のつもりで手に取りました。

    よく、中世から近世にかけての戦争がモチーフの作品では軍師が華麗な用兵を行い、柔よく剛を制するかのように少数で多数を翻弄し勝利に導きます。

    近代の軍隊では将校(と言うより幹部候補生?)は、きちんと座学で戦術を学んで運用しているという話をよく聞きます。

    戦術と言う物が、物事に対する対処の参考になればと興味がありました…

    しかし、本書は古代日本から時系列を追いながら軍隊の運用手段などを考察し、現場ではどう言う部隊運用が出来たかなどを考察し、その上で陣形について考察しようとします。
    その結果、中世から近世にかけての日本では大軍を規律のある均一の軍隊として運用は出来ない。だから、「戦国時代に使われた陣形と言う物は無い。後世の創作である。」と結論づけています。ただし、陣形自体は武田信玄の時代に甲斐武田が考えていたことはありそうだ、とも濁しています(学問的な裏付けが無い机上の空論以下のような扱いですが)。

    と言う事で、戦術としての陣形については全く触れられていない本ではありました。期待通りではありませんでしたが、軍隊の運用としての隊形などに関しては考察が割かれており、それなりに楽しめました。

    タイトルから期待される内容とは違うので、星は-1で。

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

乃至 政彦(ないし・まさひこ):歴史家。1974年生まれ。高松市出身、相模原市在住。平将門、上杉謙信など人物の言動および思想のほか、武士の軍事史と少年愛を研究。主な著書に、『戦国の陣形』『平将門と天慶の乱』(講談社現代新書)『謙信×信長 手取川合戦の真実』(PHP新書)がある。テレビ出演、監修、講演などでも活躍する。

「2024年 『戦国武将と男色 増補版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

乃至政彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×