文庫版 小説 土佐堀川 広岡浅子の生涯 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • NHKの連ドラがやっていたという話を小耳にしつつも、見たことはなく、太陽生命本社に伺ったときに会議室の待合にこの本が飾られていて、仕事の絡みもあるかと思って購入はしていたのだが、日本の私小説って細かいところ、内面とかを抉り出すような描写陰鬱なイメージがあって、読んでいなかった。

    最近、自己啓発的な本をいろいろと読んで読み疲れていて、毛色が違うであろうこの本にようやく手が伸びた。
    読んでみての感想は、伝記だなと。まあ、広岡浅子の生涯って書かれてるし。

    江戸から明治への動乱期に、両替商に嫁ぎ、事業の立て直し、海外の動きを機敏に察知し、他を先駆けた炭鉱の買収、銀行の設立、大同生命の創業、日本女子大設立の奮闘の様と、浅子個人の結婚・出産、結核、障害事件に巻き込まれて負傷、乳がんの治療等々、70年の生涯が描かれている。

    大体の年齢で見ていくと、
    20代で両替商加島屋を救うために奔走、
    35歳ごろ炭鉱事業、
    39歳ごろ加島銀行設立、
    53歳ごろ大同生命創業、
    56歳ごろ日本女子大設立。

    ビジネスの現場で、常に家業が潰れるかもしれないという緊張感の中、20代を過ごし、信用を付けつつ、生き残りをかけて時代の流れをつかみに行く姿勢が描かれていて、非常に読みやすかった。

    彼女の内面にまとわりつくような感じの描写はほとんどなく、外に向かって戦い続ける姿勢にフォーカスが当たっていて、いやな気持になることなく、楽しみながら読めました。

著者プロフィール

東京女子短期大学大学部卒。著書に「赤き心を」「風花の城」「一輪咲いても花は花」「性転換」「炎の河」など。日本文芸家協会会員。ヴィクトル・ユゴー文化賞受賞。潮出版社文化賞受賞。著書「小説土佐堀川」がNHK朝ドラ「あさが来た」の原案となる。

「2017年 『きっと幸せの朝がくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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