カルト村で生まれました。 (文春e-book) [Kindle]

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  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 八日目の蝉でも題材にされていた、ヤマギシ会出身の人の回顧コミックエッセイ。
    本人の天然っぽいコメントがかえって皮肉っぽくもあり、それに対するフサオさんのツッコミもバランスがよい。
    そこの世界がすべてで生まれ育ったにもかかわらず、このテンポで描くのは、やろうと思ってなかなかできることじゃないなと思った。淡々とした書き口の裏に、ものすごい産みの苦しみがあったのかもしれない。

  • こんな村で育った子供がひたすらかわいそうだった。休みなく毎日奴隷のよう。学校に行くのさえ、世話係の気分次第。
    村の考え方が、なるべくお金をかけず都合の良い労働力にすることを念頭におかれていて、ゾッとした。
    両親も、考え方がおかしくて、怖い。
    村が理想の社会というなら、結婚式の時に村のことは話すな、と言わずに、村のことを聞かれたら丁寧に答えたら良いのに。
    矛盾だらけ。中にいる子供はこんな矛盾したところで生活していたら、精神がおかしくなると思う。
    村に学校を作る話が出た時、却下されて本当に良かった。

  • 内容は興味深いけど、

    本当に記憶をただ思い出して書いたという感じで、

    ストーリー性とかは無い。

    (それでも十分興味深いが)

    子供に対する教育というか躾?的な部分がなかなか酷くて、

    読んでると辛い気持ちになってしまう。。。

  • 2016年2月16日発行。 著者は高田かや。

    「所有のない社会」を目指す「カルト村」で生まれ育った女性が、その体験を書いた漫画。

    村上春樹の『1Q84』はカルトが大きなテーマのひとつなのだが、その中に取り上げられていた宗教のひとつのモデルが、「ヤマギシ会」という団体で、「カルト村」とは恐らくヤマギシ会の事だと思う。

    ヤマギシ会は私有財産をすべて渡して村に入り、そこで農業に従事しながら集団生活をする団体で、結構怖い。

    この漫画は子供だった作者が、どんな風に村の中で育ったかが、かわいいイラストでコメディっぽく書かれているのでエグさはないのだが、実際には色々な問題があったようで、ヤマギシ会について書かれた本なんかもかなり興味深い。

    体罰が激しかったり、1日2食の生活で子供が低血糖で倒れたりと、普通に引くエピソードが沢山書いてあるのだが、作者がポジティブなのか、あえて柔らかく書いているのか、悲壮感はあまりない。 

    親と子供を別々の村で生活させて、2か月に1回しか会えないというシステムが悲しすぎて、考えただけでも恐ろしい。親に甘えたい時期にちゃんと甘えられる環境にあるって事が、どんなに幸せな事なのかはじめて理解出来た気がします。

    個人的にストイックな暮らしは好きだし、大人が自分の意志で村に入るならいいのだが、子供を強制的にそこで生活させるのは違うと思う。文明から引き離されて野生化した子供達の行動は、ちょっと笑えます。

    19歳で村を出た作者は今35歳で旦那さんと幸せに暮らしているのだが、子供の頃親と引き離された悲しさがあるので子供は産みたくないとか、いつもお腹を空かしてたから今でもカップラーメンを沢山食べちゃって顔に吹き出物が出るとか、切ないエピソードには心が痛みました。

    今でもヤマギシ会の村は日本に26か所あり、海外にもあるらしいです。そんな現状を知るためにも、多くの人に読んでもらいたい作品です。

  • カルト村で生まれ、19歳まで暮らした作者のコミックエッセイ。
    世話係やおしおき、労働などの(現代の私たちから見た)問題はあるものの、ある意味とても健康的な生活かもしれないと思ったりする面も。
    何より食事は健康そう(笑)

    作者もきっと辛いことはたくさんあったと思うけど、そこは抑えられてる分、じんわりと感じるものがあります。

    カルト村の経験と、現代の日本の暮らしをうまくミックスして前向きに生きている作者には脱帽です。
    おすすめ。

  • 所謂カルト村の生活を綴った1冊。
    のほほんとした絵柄だけど読んでいるととてつもなくむかむかしてくるのですよ、幼い子供は生きる場所を選べません。なんたる理不尽、不条理。
    世話係にも苛苛しっぱなし。なんてくそみたいな世界。
    信教の自由はあるけれど、これは異常だし虐待だ…。としか思えない。文化を尊重すると人権が蹂躙されるのはどうなんだ。
    可哀想だけどこんな子供たちが身近にいたら嫌だなと思うし差別もしてしまうと思う。
    読んでいる間ずっと思考が止まらない。
    (悪い意味で)感情を動かされるので名書なのは間違いない。

  • 両親がカルト村の村人だったために、カルト村で生まれ育った著者。その世界しか知らず、中学しか出てないのに、よく一般社会に抜け出して、いい仕事もいい伴侶も見つけられましたね。本人の人柄と能力ゆえでしょうか。
    とても考えさせられました。

  • カルト村で生まれ育った著者が、その生活を漫画形式で淡々と紹介する一冊。

    もちろん、著者も違和感を感じて生きてた部分も多々あったんだろうが、批判めいた文言はあまりなく、主観を極力排した状態で描かれており、それが逆に現代社会から見るといびつな実態を浮き上がらせていた。

  • 異文化の衝撃みたいなのは、あまりなかったが、絵柄もかわいく、子供らしさみたいなのが存分に表現されていてよかった

  • タイトルととおり、カルトな思想を持った村で育った人のお話。ただし、ここでいうカルトは、いわゆる宗教的なものではなくて、ある特定のイデオロギーによって支えられた一種のコミューンのようなもの。貨幣経済の否定、親子は別々に暮らすなど、どちらかといえば左寄りの思想を実践。
    それでいて子供は一般の小学校に通わせるなど、一般社会との関係もそれなりにある。だから、自分たちのコミューンが一般とは違うことを感じながら成長していくわけで、そこでどのように人格が形成されていくのかは興味深い。わりと淡々とコミューンでの生活エピソードが続き、人格形成の過程を深掘りしていくわけではないが、とはいえ所々にそういう片鱗が見えるのが面白い。

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著者プロフィール

唐戸俊一郎(からと・しゅんいちろう)。1949年、福岡県生まれ。1968年、東京大学入学、1977年、東京大学理学博士。1989年、アメリカに移住。ミネソタ大学教授を経て、現在イェール大学教授。地球惑星物質の研究を通して地球や惑星の起源やダイナミクスを理解することを目指し、ミクロとマクロを結ぶ学際的な研究を続けている。専門論文の他に『レオロジーと地球科学』(東京大学出版会)、“Rheology of Solids and of the Earth”(Oxford University Press)、“Deformation of Earth Materials”(Cambridge University Press)など編著書多数。日本学士院賞、ラブ・メダル(ヨーロッパ地球科学連合)、レーマン・メダル(アメリカ地球物理学連合)などを受賞。

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