月刊群雛 (GunSu) 2016年 02月号 ~ インディーズ作家と読者を繋げるマガジン ~ [Kindle]
- NPO法人日本独立作家同盟 (2016年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (172ページ)
感想・レビュー・書評
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新レギュレーションの一発目は「原点回帰」という印象を抱きました。この点については別冊でも同じ印象です。
また、焦って書いている作品がここ数号多かったのですが、2月号は良いテンポで読ませてくれる作品が出てきました。それを特に感じさせたのが、約2年振りの登場であるかわせさんと初登場の東方さんだから興味深いものがありますね。
・晴海まどか『一小路真実は興味がない』
最終話もテンポよく終わった印象。でもって、第2話から最終話までの間に、ちょうど群雛文庫版も読ませて頂きました。それを踏まえて感想をば。
本連載及び群雛文庫版を読むにあたり、ティン! ときたシーンとそうでないシーンがそれぞれありました。それを調べてみると、ティン! とくるのは「シチュエーションが限定されたシーン」、要するに閉鎖的な空間であればあるほど、真実&間宮は非常にイキイキしているのです。
それを一番実感したのは文庫に掲載されていた「白雪姫~」だったりします。演劇パートのテンポの良さ、そして登場人物たちの丁々発止はまさに「シチュエーションコメディ」の王道だと感じました。最終話も似たような傾向にあります。
「真実ちゃんはもっと外に出た方がいいよ」という間宮の台詞とは裏腹に、今後もこの二人は狭い場所でどんちゃんやって欲しいところです。シチュエーションコメディを演じられる役者なのですから
・波野發作『エピソード・ゼロ』
連載も先月で終わりかと思いきや、なんと前日箪がやってきた・・・笑 うーん、これを読んだ後に「ヴェニスンの商人」を読んだら、もっとわかりやすく世界観に入り込めたかもしれない。というか、「ヴェニスン~」が昨年の2月号なので、オルガニゼイションシリーズも祝1周年ですね
・かわせひろし『こんにちは赤ちゃん』
群雛誌上で久々にスローテンポの作品を読んだなあ、と。SFショートショートと定義すると切れ味云々という気持ちもあるが、こういう穏やかな作品は自分の好みでもある。展開や構成は王道そのもので、安心して楽しめる一品。
・青海玻洞瑠鯉『Gold』
卒論お疲れさまでした。久々の青海玻洞節を堪能。惜しむらくは、タイトルに人物名を入れて欲しくなかったかなと。読みながら「何を表象しているんだろう?」と考え、インタビューで答え合わせ…というのも楽しみ方の一つではないかと。
・東方健太郎『珈琲』
こちらもスローテンポな作品。緩急で言えばもう少し「急」の要素を混ぜても良いのかもしれない。でも、飽きずに読ませる力はあった。次の作品にも期待したい
・米田淳一『もう一つのアスタリスク』
ハリウッド版「鉄研でいず」というスケール。流れるようにストーリーが展開されていくのですが、米田さんのここ数作品は少しテンポが「急」かな? という気がしています(別冊しかり)。僕が好きな米田さんは「記念運転」くらいのテンポだったりするので。
・幸田玲『夏のかけら』
単体で見れば文章が読みやすくなってきているのですが、やはり連載作品としての評価をすると厳しいものになってしまいます。
一番がっかりしたのが「伏線」を回収していない、というか「伏線」という意識を持たずに物語をつくっている感じがしたことです。あの展開や登場人物はどうなるの? というのを置いてきぼりにして、えっ、この人キーパーソンだったっけ?? と。
「読まれる作品」とは、外部とのコラボレーションや熱心な宣伝活動がどれだけできたかではなく、自らの文章にどれだけ魂を込めて書けているかどうかが肝ではないかと僕は考えています。
・神谷依緒『雪解鬼神図』
思わず9月号の表紙を見返してしまった。先ほど表紙作成までの過程を記したポストを拝見したのですが、なるほどそういうバックグラウンドなのかと。深い世界観。そして正統派イケメンである詳細をみるコメント0件をすべて表示