- Amazon.co.jp ・電子書籍 (513ページ)
感想・レビュー・書評
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「益田くんはぼくのことを救ってくれた。ぼくを救ってくれた唯一の親友だから」
「自分のことを必要としてくれる友達に初めて出会えて、本当に嬉しかったんだ」
こんな言葉を自分にかけてくれる職場の同僚が、過去に殺人を犯していたとしたら。
それも、日本中を震撼させた幼児連続殺害の犯人の「元少年A」だったとしたら。
かつて「正体」(染井為人著)のレビューを投稿した際に、友人から「薬丸岳の『有罪』を思い出した」とコメントをもらい手に取った。
ジャーナリスト志望の益田純一は、埼玉県川口市のステンレス加工会社に就職。
夢破れ、アパートも出なければならなかった彼が、とりあえず就職した社員寮つきの会社だ。
同日に、同じ27歳の鈴木秀人と入社した。
尋常ではない雰囲気で、周囲との交流を避けていた彼とも益田は打ち解けていく。
事務員の藤沢美代子には消してしまいたい過去があった。
「別に悪いことなんかしてないじゃないか。人を殺したわけでもないし、罪を犯したわけでもない。逃げ回ることなんかないよ」
親しくなった鈴木は、美代子にこう言葉をかける。
元交際相手に執拗に追いかけ回され、人生をめちゃくちゃにされてきた美代子の心にほんの少しの明かりが差す。
人の過去を詮索してみたいと思うのも、人間。
かつての凶悪犯を許せず、安全地帯からの正義感でつるし上げてしまうのも、人間。
そして、目の前の人を何よりも大切にしたいと思うのも、人間。
天国も地獄も。
菩薩も畜生も。
穏やかな心も怒りの心も。
すべて同じ人間の生命。
それは縁によって呼び出されてくる。
人間の尊さも醜さも、徹底して描ききられている。
だからこそ、人を殺してはいけない。自分で生命を絶ってもいけない。
絶望的な人生に散々苦悩し抜いた先に、見えてくる本当のもの。
どんなことがあっても、人間は生きて生きて、生き抜いていかなければならない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
全体的に重い内容ですが、非常に繊細な内容でもあります。
重い。
辛い。
悲しい、悲しい、悲しい……。
だけど、ラストは温かかったです。
犯罪者と友達でいられますか?
凶悪犯が見せる優しさなどを信じられますか?
など、色々と問いかけられてる感じです。
泣きそうなのを堪えて読みましたが、結構勇気のいる本だと思います。 -
親友が、少年時代に残忍に人を殺した過去のある殺人犯だったら。それでも友達でいれるのかという重いテーマ。人を殺した罪を償うことなどできるのか。成長し校正した青年と過去の過ちを後悔し苦しみ泣き叫び懺悔の中で生きている。それを知ったら許せるだろうか。そう問われる
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最後の9頁に収斂させるために、それまでの全てが書かれてる。SNSとか、マスコミとか、自粛警察とか、関係ない第三者の興味が、凄く残酷な武器になるなと改めて感じた。
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なんとも重いテーマ。話の続きは知りたいけど、怖くて一気に読み進めるわけにはいかなかった。益田がどうするのだろうと思ったけど、結局とても納得できる終わりになっている。作者の緻密な想像力に敬服する。実際に自分の身に起こったらどうするだろうか。私は想像力がなくて鈍感力があるから意外と平気かもしれない。弥生がチョーかわいそうだと思ったけれど、最後に救われたようでよかった。やっぱり誠意は通じるんだなぁ。私はそこまで本気で生きてないかも。
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映画を先に観てしまい
原作から読めばよかったと後悔。
過去に殺人を犯した人が
友達としていて
自分だけそれを知っていたら?
平然といられるだろうか?
重たい作品ではあるが
とても考えさせられる作品。
薬丸岳さんの作品、気になりだしました。 -
記録