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感想・レビュー・書評
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上橋菜穂子『守り人』シリーズの第6作です。
前作に続いて『神の守り人』下巻となります。
この巻は、追われる立場となった女用心棒バルサと、人質の立場となった薬草師タンダの状況が、それぞれ描かれていきます。
その過程で、自らが守っている少女の正体を知った、バルサ。
追っているのはどのような者たちなのか。
そして相手はどのような考えを持って、彼女たちを追っているのか。
これらの攻防と謎解きが、本書の読みどころになっています。
そして今回の作品でも、以下のようなことを考えさせてもらいました。
・復讐を遂げたからといって、心の平安を得られるわけではない
・相手を倒さなければ自分が倒される、その状況で相手を倒すことは罪になるのか
・人は動植物の命がないと生きられないが、命を奪うのはどこまで許されるのか
上下2巻ということもあり、一連のシリーズの中でも印象に残る作品となりました。
以降の作品も、楽しみながら読んでいきたいと思います。
『守り人シリーズ5.神の守り人 上 来訪編』
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/B01CCE038U
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ロタ王国の物語後編。その国の伝説が、時を経て蘇る様子が、その舞台がいろいろな方向から整えられていくさまが、壮大な物語として楽しませていただきました。大きな物語に関わることになってしまった少女のその最後の決心など、人の心と大きな力への魅力との葛藤が真に迫って読ませてくれる内容です。人間の心は、悪にも善にもなるけど、やはり偉大だなと感動させていただきました。
今回は主人公はあまり目立っていません(強いというのが当たり前になってしまった主人公は面白みがちょっとね)。主人公を支える方々の魅力が、登場人物の魅力がさらに強まった、そう感じる内容でした。
食べること、住むこと、着ること。その世界で生活する活き活きとした内容の描写が楽しく、この世界に行って見たいと毎回思わされています。