サブマリン [Kindle]

著者 :
  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • ちょっと、上手くできすぎじゃなかろうか、というのが素直な感想。未成年、無免許での交通事故やインターネットに反乱する情報、あふれる罵詈雑言、ネットを悪用した脅迫などなど、最近の考えさせられる問題について、思うところがあったんだろうな、「家庭裁判所調査官」という設定を上手に活かして問題提起したんだな、とは思うのです。ただ、逆にその問題提起したかったんだな、というのが見えてしまうのはどうなのかしら。ニュースを見た世論と、実際に加害者になってしまった「少年」たちとのギャップとか。きっとあったりするんだろうし、どこまでニュースで見た「虚像」だけを頼りに、第三者が加害者を「攻撃」していいのかというのは考えるべきことなのだけれども、ちょっと分かりやすくまとめすぎたよね、という気がします。
    未成年で、無免許で、飲酒して、暴走して、交通事故なんてニュースを見ると、もう許さん!って気持ちにしかならないし、もしも自分の子どもが巻き込まれたとしたら、それは相手を許せるとは思えない。けれど、メディアのこっち側でニュースを見てるだけなら、報道された以上のことなんて見えないんだから、せめて「見えてない」ってことを認識しておくくらいしかできないんじゃないか、と思う。テレビの前で「ひどいよね、許せないよね」っていうことくらいは傍観者たちにも許されるかもしれないけれど、それ以上のネット上含めた”行動”は思いとどまっておきたいところ、かしら。…と、なんというか自分のこれまでの考えがこの本をきっかけに変わるほどではなかったなぁ。加害者が必ずしも「憎たらしいヤツ」ではない、というのはわかりやすく描かれていたかなと思うのですが。

    私が伊坂さんにハマったきっかけが、この前作にあたる「チルドレン」で、陣内が一体どんな風にまた登場するのかすごく気になっていたのだけれど、事前のイメージが強すぎたせいか、あの陣内さんもちょっと普通になってきたよねー、まだまだ変だけど、笑、くらいの印象で、ちょっと残念。仕事ぶりが見えると、意外といい上司だったりするしさ。最後に、前作の陣内さんの言葉を思い出したので、添えておきます。
    「大人がかっこよければ、子どもはグレないんだよ」
    さて、今の私はかっこいいだろうか。

  • 所々にグッとくる言葉があるなぁと思っていたら、陣内さんが出ていた「チルドレン」のレビューでも同じようなことを書いていた。
    何が良くて何が悪いのか、さらっと考えさせる書き方がいいです。問い合わせ窓口あったらいいなーと思うこと確かにあります。

    kindleになってハイライトがしやすくなったので、kindleにも星一つ。
    「チルドレン」の内容をすっかり忘れていたので再読しよう。

  • 大好きな伊坂さん、しかもチルドレンの続編だとか。
    それはもう読む前からテンションが上がる。
    というか上げすぎたのか、ちょっと物足りない気がした。

    ホントに正しいことってなんだろう。
    ホントの正義ってなんだろう。
    …そんな答えが出ない、重いテーマが多い彼の小説だけど、今回もそう。

    ただひとついえるのは、アタシは彼が書く文章の雰囲気がやっぱり好きだっていうことか。
    言葉の使い方とか選び方とか。
    また自作を楽しみにしていよう。

  • 間延び気味では?とか、木更津をもう少し動かしたら…とか、あれこれ思いながら読んでいたが、陣内のキャラに惹かれて読み進み、最後はほんのり良い気分で本を閉じる。

    辛いことが多くてやるせなくなってしまうけど、「それでも、もしかしたら…」と小さな明かりを灯してくれる伊坂幸太郎の小説。作者も厳しい現実と向き合いつつ、あきらめてないんだと感じる。

  • 筆者の作品は、正しいこととは何か、フェアとは何かをテーマしたものが多い。本書もそうだし、重力ピエロなんかもその典型だと思う。こうしたテーマは感動を呼ぶことも多いが、ワンパターンで展開が読める場合も多い。だが、筆者はテーマの追求にとどまらず、微妙に外す仕掛けをほどこすことによって、とても面白い作品に仕上がっている。
    しかし、本書はテーマの追求という視点ではひねりは加えず、登場人物達はかなり直球で向き合い、悩み、苦しんでいる。そして、狂言回しであり、正しいことの実践者である陣内さんは、常識外れで滑稽な人物になってしまっている。そうすることによって、筆者は俗に云う常識というものが正しいことからすでに大きくずれていることを鋭く描いていると感じた。更に、本書でも楽しい仕掛けが満載で飽きない。

  • 高田純次以上にテキトーな家庭裁判所の調査官に
    ブン廻される真面目なお兄さんのお話。

    変わり者だらけだけど、
    真実と人生を、
    キチンとみている人達が導き出す
    絡まる想いの物語。

    スガチャカなジャズとほろ酔いが
    読むのに適する話。

  • 永瀬さんがドラマを叩き、陣内さんが歌う、『パワー・トゥ・ザ・ピープル』の演奏を観てみたかったとは思った。(武藤)

    再読。
    陣内さん、相変わらず憧れないけどカッコいいな。
    『チルドレン』で交わらなかった武藤と永瀬も関わって改めて面白かった。

  • 正義とは何か

  • しゅ、出世している。

  • 大好きな伊坂幸太郎作品で「チルドレン」の続編ということで楽しみに読みました。

    陣内さんの傍若無人ぶりは健在でぐいぐいと引き込まれるように読みました。

    伊坂幸太郎の作品は言葉のひとつひとつのやりとりが本当に面白い。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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