フランス組曲 [DVD]

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監督 : ソウル・ディブ 
出演 : ミシェル・ウィリアムズ  クリスティン・スコット・トーマス  マティアス・スーナールツ  サム・ライリー  ルース・ウィルソン 
  • KADOKAWA / 角川書店 (2016年6月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988111249777

フランス組曲 [DVD]の感想・レビュー・書評

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  • ドイツ軍人の制服と筋肉マッチョが好きな友人に勧められて視聴。ロマンス映画。いわれが興味深い。
    ウクライナ生まれでフランスで活動したユダヤ人作家、イレーヌ・ネミロフスキーの原作が映像化された今作。この作家はアウシュビッツ(ナチス・ドイツがユダヤ人などをホロコーストと呼ばれる組織的に行った大量虐殺と強制労働により、最大級の犠牲者を出した強制収容所)で獄中死するという波乱万丈な人生を送った。『フランス組曲』は彼女の代表作で、死後未完だった作品を娘によって発見され出版に至っている。

    舞台は戦時下のフランス。田舎町で良家へ嫁として生活していたリュシルは、出征した夫ガストンを厳格な義母と屋敷で待ち望んでいた。戦争がリュシルの街まで魔の手を伸ばし、ナチス・ドイツに占領される。時計もドイツ時間に合わされてしまう。戦争はすべてを奪っていく。
    そんな中、リュシルと義母が住む屋敷にも将校が宿泊することになってしまった。そこに現れたのがブルーノ中尉だった。

    リュシルは食糧を貯え小作人から圧政を強いる義母に不信感と反抗心を抱いていた。何より小作人の中に、マドレーヌとブノアという友人がいたからだ。
    初めこそは恐怖にかられ、怯えながら暮らしているものの、ブルーノはリュシルの父が送ってくれたピアノを弾きたいと申し出てきた。夜な夜な聞こえてくる知らない曲の音色に耳を澄ますリュシル、彼女も音楽を愛していた。

    占領下の町で紳士的なドイツ軍に心寄せる若人もいれば、横暴な彼らに祖国の敵と恨みの籠った目で見つめる老婆もいた。
    町長の賄賂によって城で宿泊する予定だったドイツ将校が、マドレーヌのボロ家にも宿泊することになってしまった。マドレーヌの魅力に満足する将校は、足の悪いブノアの前にして彼女をいかがわしい口振りで語り掛ける。

    「戦争は人の本性を暴く」冒頭のセリフだ。それに従うように、横暴なドイツ軍は人を女を値踏みし、心が冷え切った人は国を越え身を寄せ合い、貴族と小作人は同じフランス国民でさえいがみ合い、欺瞞し、惑わせ、暴力的になり、狂気じみた愛憎を抱かせる。

    その間、リュシルはブルーノと音楽を通して心を通わせていた。彼女も夫がいるが父が死の間際取り決めた縁談で、ブルーノにもドイツに妻がいるが結婚した年に出征していた。欠けたものを補い合うよう惹かれ合う二人。息子ガストンが強制収容所にいることをドイツ将校ブルーノから聞き出した義母は、まるで汚らわしいもののようにリュシルの気持ちを嗅ぎ分け非難した。それがさらに拍車をかけるとも知らずに。
    ブルーノの仕事は領民から情報を得ること。情報といってもゴシップじみた噂話だ。弱みを握って制圧する糸口を得るのが彼の仕事だった。その中にリュシルは夫ガストンが愛人を持ち、子供もいることも知ってしまう。愛があると思い込もうとしていた気持ちを裏切られたリュシルは、ブルーノの求めにされに揺らいでしまっていた。

    木曜には義母が家に帰ってこないことを伝えるリュシル。浮かれてディナーの用意をしていると友人のマドレーヌが飛び込んできた。

    夫ブノアが町長の屋敷に忍び込み、リュシルの家同様、良家が隠す備蓄を密かに盗んでいる姿を夫人に見つかってしまったのである。通報され、ドイツ軍から逃げるブノア。しかし、その追跡者の中には妻マドレーヌに淫らな思いを抱えていた将校もいた。「お前が逮捕されている間、俺がかわいがってやるよ」という言葉を聞いたブノアは堪らず襲い掛かりその将校を殺してしまう。そのため、マドレーヌが助けを求めてリュシルの元へやってきたのだった。

    めかしこんで街のアバズレと同じようにブルーノの帰りを待っていたリュシル。マドレーヌはそれに気づいて恥知らずと吐き捨て出て行ってしまう。彼女の言葉に傷つき、自らがどれだけ愚かだったのか思い知ったリュシルはブノアをかくまうことにした。

    町ではブノアの捜索が大々的に行われていた。戦時下ではドイツ軍の成すことはすべて正義となる。家々から家具や書類や陶器が投げ出され、捜索の名目の元、蹂躙されていく。全てが奪われ、壊されても泣きじゃくるしか町民には残されていなかった。占領されるとはそういうことだった。

    ブルーノは将校を殺したブノアの捜索の指揮を執っていた。リュシルに見せた優しく穏やかな紳士ぶりを、戦争はいとも簡単に裏切らせていく。
    かくまわれたブノアの代わりに町長は銃殺刑に処されてしまう。誰でも良い、5人殺せという命令に、ドイツ将校がせめて町長ひとりに責任を負わせた結果だった。
    町長の死体の血が引き摺られていく後を残しながら、リュシルは独白する。

    「ドイツ兵も同じ人間だと思いたかったのに やはり和解できない 永遠の敵だ」

    これはリュシルだけの言葉だろうか、と背景を知ってしまうと、邪推してしまうように印象的だった。


    リュシルはブノアをパリに逃亡させるために、ブルーノに検閲を無事に通れるよう通行許可書の発行を求める。ブルーノは明日の夜、屋敷を出て移動することになっていた。
    リュシルとブルーノが出会い、惹かれ合い、気持ちを重ね合わせていくに必要だった時間はたった三か月。それでも互いに想い合っていることが如実に現れるのはこのやり取りだ。
    リュシル「大切にして その命を」
    ブルーノ「価値のある命だと」
    リュシル「ええ 私にとって大切よ」


    友人が進めてくれた通りに、ロマンチックでピアノの音が愛の激情と悲しさと密やかさを際立たせる。
    敵対する同士という許されぬ立場にいながらも、同じ人間として通じ合い、そして状況によっては決別する悲しさが際立つ。
    ブルーノの死を知り、二人は結ばれることはなかったが、リュシルの音楽を聴くと彼を思い出してしまうという言葉は、別れた人の姿を追い求めるように、相手の男性のたばこの匂いを求めるのと似て慎ましく深い。
    戦争という背景を抱えながらも、愛に触れてしまった女性の悲しさと、ブルーノという将校の占領するドイツ軍としての苦しさが胸を打つ、そんな作品だった。

  • とにかくマティアス・スーナールツが良い。
    リュシルはどこかで見たことあると思ったら、シャッターアイランドの奥さん役、ミシェル・ウィリアムズ。
    レニー・ゼルウィガーにちょっと似てる。

    地味だしありがちなテーマではあるけど、いい雰囲気の映画。
    ブノワがいきなり大義を志したり、リュシルがそれを助けたり、そこらへんがちょっとついていけなかったのと、語りが多い気がしたので、もうちょい心理描写丁寧にしてほしい。

  • 2016.10.9 視聴

  • 義母の心境の変化がすこし唐突すぎた気も。が、胸つぶれるストーリー。エンドロールのネミロフスキーがアウシュヴィッツで書いた自筆原稿は涙なしで見られない。

  •  ロミジュリ的な禁じられた愛物語は大好物でして、あらすじをどこぞで読んで、飛びついてしまいました。
     が、そんな下世話なお話ではありませんでした。
     戦時下でありながら、もっと、人間の本質に迫る作品でした。
     洋画に明るくないので役者さんはまったく分かりませんでしたが、ドイツ軍中尉がカッコよかった。
     主人公のヒロインはもっと美人さんでもいい気がしたけれど、それはそれでリアリティが無くなってしまうだろうから、ちょっとハナペチャな彼女でちょうど嫉妬心無く観られたのかも。
     劇場に置いてあった冊子にあったコメントで、作家の山内マリコ氏が「女性視点で見た戦争は、どこまでも日常の延長上にあってとてもリアル」とあった。
     まさにそのとおりで、小さな田舎町の生活が変化してゆく様は大きな歴史の中のほんの一部分でありながら、とてもリアルだった。
     戦争が関わる映像だと、むごたらしいものを想像するけれど、幸い、この作品は、そこそこリッチなお宅が舞台なので、みじめったらしい悲しい気分にはならずに、それもまた私の性分には合っていたと思う。

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