心理試験 [Kindle]

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  • 2016年3月15日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 七月二十八日 石榴忌 江戸川乱歩の命日ですね。
    ちょっと思いついたのですが、手持ちの本が無かったので、青空で。
    1925年(大正14年) 明智小五郎シリーズ2作目
    学費にも事欠く優秀だけど貧しい大学生・蕗谷。綿密な計画を立てて、大金を溜め込む老婆を殺害。友人の大学生にその殺人の疑いがかけられるが、それさえも利用しようとする。
    この事件を担当した刑事が「心理テスト」を取り調べに利用する。蕗谷は、事前の練習でその心理戦に備え、乗り切った様に思えたが、ここで明智小五郎が登場。蕗谷に犯人のみ知る質問で自白に追い込まれる。
    「江戸川乱歩傑作選」からの再読。その時は、ドストエフキーの「罪と罰」を読む前でした。主人公設定や、刑事との緊張感ある問答場面など、類似性になるほど。この作品は、それを下敷きにしているとのことです。トリックについても、「罪と罰」からの変換とのことですが、まあ、そうなのかもしれないけれど、日本的な独自性があるんじゃないの?と読みました。

    • moboyokohamaさん
      「罪と罰」が下敷き!
      知りませんでした。

      財産家の持て余した金を、貧しい俺が使った方が役に立つんだ、そんな思いが蕗谷にはあったのではないか...
      「罪と罰」が下敷き!
      知りませんでした。

      財産家の持て余した金を、貧しい俺が使った方が役に立つんだ、そんな思いが蕗谷にはあったのではないかと思っています。
      2022/08/07
    • おびのりさん
      moboyokohamaさん、こんばんは。
      そうなんです。初読の時は、全く知らずに。
      でも、そう言われて読めば、納得の作品でした。
      罪と罰の...
      moboyokohamaさん、こんばんは。
      そうなんです。初読の時は、全く知らずに。
      でも、そう言われて読めば、納得の作品でした。
      罪と罰の主人公も、全くその通りで、貧しいだけで優秀な自分にお金が必要なんだと犯行に及びます。そして、最後になるまで反省しないのです。
      ちょっとした古典も面白いですよね。
      2022/08/08
  • もう、ボッコボコ。老婆を殺し金を奪った男は警察から容疑をかけられるが、その明晰な頭脳で、取り調べの心理試験を突破する。前半は男の犯罪や心理描写に費やされ、後半からは待ってましたとばかりに明智小五郎が登場。最終的に明智くんが犯人を言葉巧みに追い込み、犯行を自白させるわけですが、どうみてもオーバーキル。犯人がとっくに諦めてるのに彼の言葉は止まりません。というか犯行を暴くことを楽しんでるように見えました。明智くんそういうところあるよね〜。
    心理試験の診断表が掲載されていたりと、細かい部分まで考え抜かれた短編で、そこから炙り出される犯人の「躓き」がこの作品の醍醐味。人間の心理を的確に捉え、小説に仕上げられるのは、作者の類まれな人間観察力が成せる技か。

  • 明智小五郎が本人が知り得ないことをうまく引っ掛けて自白させる話。用意周到さと性格が仇となっており納得感があった。

  • 学費欲しさに老婆を殺害し、お金を盗んだ蕗屋。判事の仕掛けた心理試験に、バッチリ予習して臨み、無事クリアか…と思われたところで名探偵・明智小五郎の登場。目をつけたのが「コンマ1秒の違い」。えっ?そんな事で疑うのか…とガックリしそうになったが、それはただの前置きで、実は明智小五郎の心理試験にハマっていたのだった。…いやいや、でもそれは反則じゃね?とも感じたが、2人の心理合戦はとても面白かった。

  • これホント、何回読んでも解決編がすごい。
    古畑任三郎みたいな感じもする笑

  • 『D坂の殺人事件』から数年後の事件で、探偵術が世間から立派に認められた<明智小五郎>が登場します。素人心理学ながら容疑者の心理を連想診断することで、実行犯か否かの判断材料として<心理試験>を試みる予審判事(笠森)の応援に駆けつけた明智と容疑者との知恵比べが読みどころです。種明かしをされれば単純なトリックですが、<嘘発見器>の上をいく明智小五郎に凱歌があがった大正14年の作品です。

  • 頭脳明晰な青年が、己の学業のために殺人を犯す話。それに対するアリバイ作りも証言も、何なら心理試験も完璧だったけれど、それが逆効果になってしまった。短いながらも起承転結がきちんとまとまっており、物凄く読み応えがあった。

  • 明智小五郎が登場するシリーズ、初めて読みました。犯人の用意周到さが袋が身を滅ぼすってなかなか皮肉なものだなぁとは思ったけど、あそこの切り崩しこそが面白いポイント。あとは、心理戦自体も面白くて好きだった。

  • 青空文庫にて。
    前情報なしで読んだけど明智シリーズの2作目ってことだよね?

    わかりやすくちょうどいい長さでテンポよく飽きさせない。解決パートも気分爽快。江戸川乱歩の作品ではもっと気持ち悪いのが好みだけど、これは結構好きだった。さっぱりし過ぎでちょっと印象には残りづらいけど。

  • 夢野は一種の失望 と酷評したが個人的には蕗屋の思考経路の描写が面白かったので D坂より良かった。

    #読了
    #江戸川乱歩

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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