2016年 日本 116分
監督:行定勲
原作:加藤シゲアキ『ピンクとグレー』
出演:中島裕翔/菅田将暉/夏帆/柳楽優弥/岸井ゆきの/小林涼子
河田大貴=愛称りばちゃん(菅田将暉)は、小学生のときに大阪から埼玉に引っ越してきて、同じ団地の鈴木真吾=愛称ごっち(中島裕翔)、石川紗理=愛称サリー(夏帆)と仲良くなる。りばちゃんはサリーを好きだが、サリーはごっちが好き。しかしサリーは転校していき、男子二人は一緒にバンドを組んだりずっと親友で居続ける。ある日渋谷で遊んでいた二人はモデルのスカウトを受け、それがきっかけで芸能界へ。人気俳優として頭角を現しはじめたごっち=芸名:白木蓮吾に、りばちゃん=芸名:河鳥大はどんどん差をつけられ、二人はいつしか疎遠に。数年後同窓会で再会し、旧交を温めるが、翌日ごっちは、りばちゃんに遺書を残して自殺してしまい…。
原作は既読。結構前なので細部は忘れてしまったけど、映画は大胆な順序の入れ替えをすることで、中盤でどんでん返しを用意してあり、そこは素直に感心しました。手法としては『アヒルと鴨のコインロッカー』の映画版に近い印象。
冒頭でまずいきなりごっちの首吊り自殺場面、そこから回想になり、再び冒頭の場面にいきつくまでに60分ちょっと、ここでいきなり、実は今までの映像はすべて「劇中映画」であったことが明かされる。画面はモノクロ(つまりグレー)になり、虚実が逆転。ごっちを演じていた中島裕翔は、実はりばちゃんであり、ごっちの死後、彼についての書籍を出版、自らごっち役を演じて映画化され、今まで観客が見せられていたのはその映画だったという種明かし。ここまではとても面白かったし、原作でも少年時代のごっちとりばちゃんは微笑ましかったので、映画もセトウツミ味があって良かった。
問題はすべてが反転してからの後半。菅田将暉はつまり、りばちゃん役を演じていた俳優で、夏帆もサリーを演じていた女優という役どころ。演じ終わった二人は、りばちゃんでもサリーでもなく、芸能界に染まった感じの悪い俳優たち。本物のごっち(なんと柳楽優弥!)の死を踏み台に出てきた本物のりばちゃんは、彼らによく思われておらず、ゴシップの洗礼を受けることに。ちなみに本物のサリー役は岸井ゆきの。
個人的にはこの後半部分が超絶つまらなく、モノトーンの映像も退屈。原作は確か時系列通りで、りばちゃんはごっちを演じる過程で、ごっちの死の真実に迫っていく…みたいな感じだったと記憶してるのだけど(おぼろ)、映画は終盤で急にごっちの幽霊を出してきて、二人を対話させ、結局ごっちは、前衛舞踏をやってて舞台上で自殺したお姉さん(小林涼子)のことを好きだっただけ?みたいな謎のオチ。そこで急にカラーに戻り、りばちゃんはごっちへの劣等感や呪縛から解放される的な終わり方。
ジャニーズの先輩原作ゆえの主演だろうけど、中島裕翔はなかなか良かった。個人的には前半の、ごっちを演じていたときのほうがはまっていたと思う。あと菅田くんはやっぱり良い。前半の勢いを維持できれば、かなり面白い作品になったと思うんだけど、後半で失速しちゃったのが惜しい。