- Amazon.co.jp ・電子書籍 (126ページ)
感想・レビュー・書評
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手足を使って数を数えだしたことにより、発生した数の概念。それを高度に抽象化したことで数学が始まった。つまり身体から始まった数学が、その身体を離れ・・・という話。これは実に面白い。数学だけやっている人間からは絶対に出てこないような発想で、著者の経歴を調べてみると、文系起源の数学屋さんなのである。やはり、世の中が進んでくるとハイブリットが面白いんだなー。
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まず、ヒトが指で数を数え始めたところから、数の概念を広げて記号を見つけ、さらに抽象的な世界まで至ることが説明される。身体や直観に依っていたものが虚数や高次元を扱う数学にまでいく。これも一つの進歩。
でもこの本はチューニングと岡潔を比較しながら、また数学が身体ひいては心に立ち返るルートまで示す。
前半の数学史や文化的な意味も面白かったけれど、後半の数学者二人を並べた論考も面白かった。チューニングは玉ねぎの皮を剥くように「機械でできる手順」を見つけ内側にある芯の「心」に迫ろうとした。岡は種の力を前提とし、環境要因や内面自身の変化によって刻々と変わりながら外側に広がるものが「心」そのものと捉えた。
二人はベクトルが違うけれど、それを数学というツールで解明しようとした。哲学を含む深い内容だった。
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・自然数1,2,3…は本当に自然なのか
・古代ギリシャの幾何学(証明のための数学)とインドの計算(実用のための数学)がアッバース朝ペルシャで出会い発展
・数学は数学そのものを記述するための学問へ
・10進法は人間の指が10本であることから。数字そのものに10進法である必然性はない。
・数直線を左から右に書くのは人間の都合
・コンピュータの原型を作ったチューリング…計算という人間の心の動きを機械に置き換える挑戦
・大学を離れ農業をしながら世界的な論文を書いた岡潔