ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉――株式投資の不滅の真理 (日本経済新聞出版) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • インデックス投資、合理的市場仮説の聖典のように崇められている本の、昨年出版された最新改訂版。だが、以前の版よりも合理的市場仮説についての主張は大きく後退しているようだ。リーマンショックその他の金融市場の混乱が頻繁に訪れ、行動心理学の重要性が増すにつれ、合理的市場仮説の旗色は悪くなっている。ただし、幅広く分散したインデックスファンドの長期投資が最良である、と言う結論は揺るがない。売買を繰り返すアクティブファンドに比べてインデックスファンドが常に上回ることへの裏付けは、21世紀になってからの星取表でも、さらに強固になっているのは確かだ。
    改訂を繰り返したせいもあるだろうが、主張の明快さや論理性に欠ける箇所はけっこうある。そのへん、シーゲル教授の「株式投資」のような有無を言わせぬ説得力はない。特に笑ったのはチャート分析への批判の消化不良というか苦し紛れ感w。教条的なチャート信仰をウイットに富んだ描写で批判するが、ここに書かれているような四角四面の教義と考えず、最新の結果が反映され続ける分析ツールと考えればこれほど有用なツールは少ないはずだろう。チャートは決算が大きく悪ければ急降下するなどなど、ファンダメンタルの修正も表すツールでもある。この調子で合理的市場仮説のほうを批判する一章もあれば、さらに充実した著作になるだろうw。
    インデックスファンドの優位性が覆しようのない定説となった現在、この本の価値は単なるインデックス投資指南本だけでなく、株式市場史本としても面白い。その上でスマート・ベータや行動経済学など新しい事象についても紹介されている。

著者プロフィール

プリンストン大学名誉教授
1932年生まれ。プリンストン大学経済学博士(PhD)。同大学経済学部長(1974-75、77-81)、大統領経済諮問委員会委員(75-77)、エール大学ビジネススクール学部長(81-88)、アメリカン証券取引所理事などを歴任。世界的な投信会社バンガードの社外取締役としても活躍。

「2023年 『ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第13版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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