科学の発見 (文春e-book) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • ウィッグ史観の立場の主張が新鮮だった。科学の事実の発見ではなく科学の方法の発見に関する本であった。改めて科学史は面白いと思った。
    ワインバーグ氏ほどの人物でなければアリストテレスやデカルトを堂々と酷評することはできなかったと思う、「ギリシャの科学はポエムに過ぎない」などといった過激な主張は読んでいて痛快だった。
    ご冥福をお祈り致します。

  • 過去の偉大な科学者・哲学者の考え方の現代科学との違いを描き出すことで、現代科学の発見がいかに難しかったかを明らかにすることを目的としている書籍です。現代科学の観点から過去の科学者・哲学者の考え方や手法を批評することの是非は歴史学者からはタブーとされているものの、プラトンやアリストテレス、デカルトといった人物に軽くダメ出ししながら議論が進んでいくため非常に分かりやすいです。

    本書は四部構成となっており基本的に時系列に記述されています。第一部と第二部で古代ギリシャの物理学と天文学について論じるところから始まり、第三部では中世の時代にどのように古代の知識が保存されたのか、第四部では現代科学とそれ以前を分ける転換点としての科学革命という流れとなっています。

    一番印象的だったのは古典期の哲学者が誰一人自分の理論を検証しようとすらしていなかったということです。中世の時代の科学者がこういう姿勢だったのはなんとなく理解できますが、まだキリスト教に支配される前の古代の科学者すら検証する姿勢がなかったというのは、著者の言うとおりこの時代を買い被りすぎていたんだなと感じました。

  • 途中まで。あとで、じっくり読みたいのでちょっと積んどく。

  • 電子書籍ではなく、本の方が読みやすいと思った。

  • 著者は、電磁気力と弱い力を統合するワインバーグ=サラム理論を完成させ、1979年にノーベル賞を受賞した物理学者。歴史的大学者たちへの彼の皮肉交じり論評は、読んでいて思わず笑ってしまう。この本によると「仮説→検証」のプロセスが割と近年(ガリレオ以降)に成立したらしい。それまでは、仮説の言いっぱなしなので宗教とあまり差がなかった。とすれば、この概念を人類が獲得した以降の科学の発展が加速度的になったのもうなずける。

  • 著者のスティーヴン・ワインバーグは1979年ノーベル物理学賞受賞者。
    本書はテキサス大学の講義ノートから生まれたとある。
    タレス、アリストテレス、プラトン、プトレマイオス、ティコ、コペルニクス、ガリレオ、ケプラー、ニュートン。
    天文学と数学が物理学へと移っていく、その発見と歴史をつづる。
    現在の基準で過去を裁く「ウィッグ史観」は、歴史学研究の禁じ手とされるが、
    ワインバーグ自身は本書を「不遜な本」だと自ら言い、
    解説者のカリフォルニア大学教授の大栗博司も
    ワインバーグは確信犯であると記す。

    テクニカルノートは高校物理のレベルだと書いてあったが、
    まったくのお手上げ。
    物理は大の苦手でした。。。。
    本編は、難しいけれど読みごたえがあったと同時に
    ワインバーグの愛すべき人柄に興味を感じた。
     

  • ウィッグ史観(ホイッグ史観)上等の立場で、科学史を解説。科学とは何かという著者の立場から、アルキメデスやデカルトらをめった切り。ケプラーやガリレオらによる科学革命はあったという立場で、それ以降とそれ以前で科学は全く異なるものとなったとしている。比較的平易で読みやすい。
    科学が今日あるように昔もそうだったのだろうと、何となく思い込んでいたが、まったくそうではなかったということがよくわかった。万物の根源は水であると古代ギリシャのタレスはいったが、確かに今日の科学者であれば、その仮説の真偽を実験によって確かめようとするだろう。しかし、タレスはそうしようとは考えなかった。その時点でタレスは哲学者ではあっても、今日的な意味での科学者ではなかった。
    だとすれば、現在の科学に対する捉え方が未来永劫そうであるという保証はなく、何千年か後にはまったく違うものになっているかもしれないとも感じた。それがどんなものかは凡百の身には知るすべがなさそうだが。

  • アリストテレスとニュートンは星の動きを説明する、という点では同じだが、前者は科学的ではない。科学的とはどういうことかについて、主に天文学の歴史を通して説明していく。どれだけ理論が真実に迫っていても、観察や実験によって正当化をしなくては科学的とは言えない。

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