帰ってきたヒトラー 上下合本版 (河出文庫) [Kindle]

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制作 : 森内薫 
  • 河出書房新社 (2016年5月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (354ページ)

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帰ってきたヒトラー 上下合本版 (河出文庫)の感想・レビュー・書評

  • 「こんにゃく問答」という話がある。
    禅問答(?)に自信のない住職に代わって、こんにゃく屋のおやじが旅の僧の挑戦を受ける。こんにゃく屋が勝つのだが、双方にその問答の意味を聞いてみると、まったく噛み合っていない。この噛み合っていないのに、問答が成立してしまったのが笑いどころの話なのだが、こんにゃく屋と僧の立場をヒトラーと現代ドイツの大衆に置き換えると?
     2011年8月のドイツに突如蘇ったヒトラーはあくまでヒトラーとして行動を始める。
    現代にヒトラーが居るはずないと思っている民衆は、彼の言動をコメディアンの風刺として解釈する。
    ヒトラーも現代の知識を鋭くも彼なりの偏った思想で解釈している。
    双方の噛み合わなさを読者は笑いながらも、その根底となっている現代社会の諸々やヒトラーがやったことを考えたとき、この状況が噛み合わないまま進行していく事に、ものすごい皮肉と恐ろしさが潜んでいる気が付くだろう。
    正にブラックすぎるユーモアである。

  • ドイツでバカ売れして世界中に翻訳されまくってすぐに映画化されて、、、期待して読んだのですがブラックユーモアなので戦中のドイツを知ってるかどうかで評価が分かれるかと。私はあまり知らなかったのでいまいち評価が低くなった。事前に新書ででもナチスドイツの基礎知識と登場人物を頭に入れておいたほうがより楽しめるでしょう。
     その知識無くても、メルアドをヒトラーが設定する場面や芸人だと勘違いされて本名は何と聞かれても頑として本名で貫く場面は普通に面白かったけどね。

  • どうやって翻訳したのか不思議に思うほど感心しつつ、言葉の解釈のズレやニュアンスまで面白おかしく日本語で読破。また、訳者注が入っているので史実に精通していなくても苦なく読めた。あとがきなどで「恐ろしさも感じるはず」と書かれていたが、コメディーとして面白く読めてしまうためわたしは小説内でそれを感じることはなく、「ヒトラーを肯定的にとらえることになりはしないか」と出版の影響を考えた時に初めて不安に思った。

  • 話題になっていたので、ドイツに行くことだしと思い、旅のお供に購入。
    ヒトラーについて詳しくは知らないけれど、まじめに面白く描かれていてとても面白かった。また、面白いと思う一方で、実際に置き換えてみるとどうなんだろう?昔とはいえ、まだ数十年前の話、いったいこの世界はどうなっているのか考えさせられる本でもある。

  • 現代にタイムスリップしたヒトラー。
    そっくりさん芸人として担ぎ上げられながら、本人はいたって真面目に、強い信念を持って進んでいく。
    その姿に大衆は少しずつ惹かれ始め・・・
    といったストーリー。

    ドイツにおいてタブーとされるヒトラーをこれだけイジリ、
    国内で大ヒットさせたという意味で、とても興味深い作品。

    政治への風刺もコミカルに織り込まれ、気づけばすっかり入り込んでヒトラーがどう進んでいくかが気になってしまい、久々の睡眠不足小説。

    とても面白かったものの、やっぱり不謹慎かなぁと星4つ。

  • 映画版を見た備忘。
    原作から視点は第三者に移り結末も違う流れになるのだが、訴えるメッセージはより鮮明に。

    総統閣下!総統閣下!と爆笑し、手を叩きながら見ていたら、スクリーンの裏側に立つ縦縞の囚人服を着た大勢の老若男女が、沈黙の中でこっちを見つめているのに気づいてしまった。

    そんな恐怖と居心地の悪さが笑いの中に同居する。
    実に優れた作品だ。

  • 映画が面白そうだったので、一足先に原作を読んでみました。ブラックだなー、というか、今のドイツで現実にこんな形でヒトラーが(仮に芸人と誤解されたにしても)受け入れられるものなのか、とちょっとびっくり。最後はそれなりに丸く収まるかと思ったら暗い未来を暗示するような終わり方でした。「文学」の出来としてはちょっとどうかな、という印象ですが、一読の価値はあり。

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